加瀬英明のコラム
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  グローバリズムを破壊したトランプ政権の功罪
    Date : 2019/02/12 (Tue)
 トランプ大統領は、大手マスコミによれば乱暴・粗暴で、勝手な思い込みによって、相手構わず独り芝居をしているといわれるが、昨年11月で2年が経過した。

 トランプ大統領は、それまでアメリカの政治のまったくの部外者だったが、登場したことによって、世界に激震が走り、世界のありかたが大きく変わった。

 トランプ政権の2年間をひと口でいえば、国際主義――グローバリズムが支配していた世界を破壊して、世界の潮流を逆流させた。僅か2年で、それぞれの国を伝統的な姿――というと、古い世界に戻した。

 グローバリズムが何だったかといえば、世界経済を支配下に置こうとする、アメリカの大企業がもたらしたものだ。
アメリカの大企業は利潤のみ追求して、自国の大衆を犠牲にして、無国籍な経営を行い、製造業を中国などの低賃金の諸国に放り投げてきた。

 そのために、どの国においても所得の格差が拡がって、伝統的な共生社会が破壊され、人と社会、人と人との繋がりが断ち切られた。

 そのかわりに「個」を尊重して、いっさいの差別や、区別を悪とみなすようになった。オバマ政権のもとで大統領令が発せられて、自分が信じる性によって、男女どちらのトイレを使ってもよいことになり、LGBTをはじめとする人々が、大手を振って闊歩するようになった。

 『ニューヨーク・タイムズ』紙をはじめとするアメリカの大手新聞は、LGBTQとかならず書いているが、日本ではさすがにQを省いている。Qはqueer(クイアー)、変態の意味であって、変態も先天的な個性とされ、今日のアメリカでは「私は変態だ」と、胸を張っていえるようになった。

 アメリカの大手メディアや、著名研究所や、富裕層、高所得の識者は、大企業によって養われて、潤(うるお)ってきたから、トランプ非難の大合唱を行っている。

 大手メディアは「トランプ大統領が、アメリカ社会を分断している」と、糾弾している。

 だが、事実はまったく違う。グローバリズムによって、アメリカ社会が分断されていたから、我慢できなくなった大衆が立ち上がって、トランプ大統領が誕生したのだった。

 金銭は国境を越えて動くから、国籍がない。グローバリズムは結局のところ、拝金主義だった。

 もっとも、拝金主義は忌まわしいが、国を富ませ、国民の活力を増すために、金(かね)を稼ぐことは、おおいに奨励されるべきことだ。

 福沢諭吉が「文明は金銭だ」と断じているが、江戸時代後期に日本精神を明らかにした国学者の本居宣長は、「金銭は有用であって、金銭が穢いという漢意(中国の偽善的な考え)に染まってはならない」と、説いている。金銭はあくまでも国力を強め、国民の福祉のために役立てなければならない。

 日本でも戦後73年にわたって「国際化」とか、「国際人」がもて囃され、グローバリズムによって蝕まれてきた。

 財務省による報告書『国際収支状況』によれば、日本企業による平成17(2005)年から平成25(2013)年までの海外直接投資額は、アメリカが1位で18兆5634億円、2位が中国で7兆890億円、3位がオランダで6兆4千億円強、4位がイギリスの5兆円強、5位がケイマン諸島の6兆2千億円あまりだった。

 多くの日本企業の工場が、アメリカ、中国、イギリスに存在するものの、オランダにはゴーン前日産会長の豪邸がある他には、ケイマン諸島と同じように何もないから、納税を回避するのを目的としていたと思われる。

 トランプ政権の「アメリカ・ファースト」は、アメリカの国益を重んじようという雄叫びだ。時代が「日本ファースト」に立ち戻ることを、求めている。


  憲法改正には、女性の声がどうしても必要だ
    Date : 2019/02/05 (Tue)
 私は仕事で、アメリカや、ヨーロッパをしばしば訪れてきた。いまでも毎年、ワシントンに春と秋に通っている。

 欧米ではカーナビをはじめ、さまざまな案内や指示が、男性の声によって行われているほうが多い。ところが、なぜか、日本ではほとんどが、女性の声だ。

 交差点では、交番の拡声器から女性警察官の声で、「左右をよく見て、お渡り下さい」という注意が流れてくる。

 なぜなのだろうか。どうして案内や、指示というと、日本では女性の声が用いられるのだろうか。

 日本は女性が優っている国なのだ。女性が家庭を取りしきって、支配している。父親ではなく、母親が家庭の中心だ。男たちは幼い時から、母親によって育てられ、躾けられる。

 日本では男たちは、女性の声には安心して従うものの、男性の声だと反発して、すなおに受け容れない。

 日本では祖国を、母国と呼ぶ。出身校は母校だ。敷地のなかで、もっとも大きな家は母屋(おもや)だ。乳母車(うばぐるま)や、トラックにかかっているホロを、「母衣(ほろ)」と書くが、武士が戦場で首筋を守るために、後頭部にかけた鎖の綱のことだ。いつも、母が守ってくれるのだ。

 英語、ドイツ語では、「母国」(マザーランド、ムターラント)ともいうが、「父国」(ファーザーランド、ファータラント)とも呼ぶ。フランス語になると、「父国」(ラ・パトリ)しかない。

 母親はできる子も、できない子も、均しく愛してくれる。父親はできる子と、できない子を区別する。日本が平等な和の国であるのに対して、西洋は厳しい競争社会だ。

 西洋は男尊女卑の社会だ。女は弱者だから大切に扱われるが、女のほうが男に甘えて我儘(わがまま)になる。弱い者のほうが我儘になり、強い者は耐えるものだ。日本では男が我儘で、女性が男が我儘であるのを許す。男が弱者だ。

 日本では女性が男性に対して、「男らしくしなさい」と叱るが、西洋では男から男にしか「ビー・ア・マン!」(男らしくしろ)といわない。西洋では夫が家計を握っているが、日本では夫が妻から小遣いを貰う。

 日本神話の主神は、女神の天照大御神でいらっしゃるが、西洋ではギリシャ、ローマ、北欧神話など、どの神話をとっても、主神が男性神であって、厳格な独裁神である。

 日本は歴史を通じて人と人との和を、もっとも大切にしてきたために、平安時代の400年、江戸時代の260年にわたって、平和が保たれた。このように長く平和を享受した国は、世界のなかで日本しかない。これも、女性が優っている国だからだろう。

 いま、日本を取り巻く国際環境が激変している。日本の平和を守るために、現行憲法を一刻も早く修正する必要に迫られている。

 ところが、12月に終わった国会会期では、憲法審査会が開かれたのに、野党が改憲について論議するのを拒んだので、憲法が論じられなかった。

 野党は憲法を軽視して、おろそかにしている。もし、真剣に護憲を主張しているのなら、「日本がアメリカの占領下のままでいるべきだ」と、どうして堂々と主張しないのか。

 日本の平和を保ってゆくためには、憲法を厳しい現実に合わせなければならない。

 憲法を改めるためには、女性の声がどうしても必要だ。女性が男たちを励まして、憲法改正運動の先頭に立ってほしい。


  意味不明な言葉に頼る「専守防衛」  国防と防衛の違いとは
    Date : 2019/01/22 (Tue)
 12月に、平成31年度政府予算案が発表された。

 防衛費が7年続けて脹らんで、前年比で1.3%増の5兆2594億円となるかたわら、『いずも型』ヘリコプター搭載・大型護衛艦を、空母に改装することとなった。

 日本が講和条約によって独立を回復してから、66年以上もたって、ようやく旭日旗を翻した航空母艦が、最新鋭ステルスF35Bを載せて、日本の海の守りにつく。

 といっても、岩屋防衛相が「状況に応じて戦闘機を載せるから、他国への脅威とならない」と述べ、読売新聞が「常時戦闘機を搭載せず」という大きな見出しを組んで、報じた。

 さらに、自民・公明与党が、新空母について「専守防衛の枠内で運用する」という、確認書を交換した。

 私は多くの読者と同じように頭が悪いので、艦載機を危機が迫ってから載せると、どうして専守防衛に変わるのか、理解できない。艦載機を常時搭載しないで、訓練、運用に支障はないのだろうか。

 「専守防衛」という言葉は、英語をはじめとする外国語に訳することができない、まったく意味不明な言葉だ。
英字新聞は、”defense-oriented policy”と訳しているが、「防衛を主とした政策」であれば、どの国もそう装っている。アメリカは国防省、中国、韓国も国防部を称している。

 国家の安危と国民の生命を、このような意味不明な言葉に、依存してよいものだろうか。 

 戦後の日本の政治家や、マスコミは、脳腫瘍を患っていて、言語障害におちいっている。これでは、国を守ることができない。

 11月に、私はワシントンで政権の友人たちと会食した。
なかに、国家安全会議(NSC)補佐官がいた。
「ドイツの国防費は、GDP(国内総生産)の1.15%だ。自国を守る価値がないと思っている国を守るために、アメリカの青年たちが、血を流すだろうか?」といった。

 オバマ政権下で、北大西洋条約機構(NATO)ヨーロッパ27ヶ国は、GDPの2%を国防にあてることを、約束した。ところが、イギリスなど7ヶ国しか、約束を守っていない。GDP比で日本の防衛費は、ドイツ以下だ。

 政府も、私も「防衛費」といっていることに、注目してほしい。「国防」は禁句とされている。

 なぜ、国防といってはならないのか。日本の国防は米軍が行うことで、自衛隊は米軍をわきから援けて、防衛に当たるからだ。

 空母に常時艦載機を載せると、周辺諸国に脅威を与えるというが、中国、北朝鮮、韓国を除く他のアジア諸国は、日本が空母を保有することを、双手を挙げて歓迎しよう。「刺激してはならない」というのでは、中朝韓3ヶ国がまるで暴力団の組事務所のようで、失礼ではないか。

 日の丸を翻す空母が登場するのは、60年遅かった。もし、独立を回復した後に、空母が出現していたら、北朝鮮によって多くの日本国民が、拉致されることがなかった。

 拉致被害者は、「日本国憲法」の被害者なのだ。

 人体の健康と同じように、平和は守らなければならない。平和を守る努力をしないのは、平和を大切にしないからだ。


  日本という太陽が世界を照らす
    Date : 2019/01/07 (Mon)
 6年前に、セルビア共和国のアダモヴィッチ・ボヤナ大使によって、大使館に昼食に招かれた。

 私は挨拶を終えると、すぐに第一次世界大戦後のパリ講和会議において、日本全権団が戦後世界を管理する国際機構となる国際連盟憲章に、「人種平等条項」をうたうように提案したのに対して、セルビアが賛成票を投じてくれたことに、御礼を述べた。

 すると、女性の大使が驚いて、「着任してから、このことについて御礼をいわれたのは、はじめてです」といって、喜んでくれた。

 11月に、パプア・ニューギニアでAPEC(アジア太平洋経済協力機構)サミットが開催され、安倍首相も参加した。

 3年前に、私は都内の夕食会で、パプア・ニューギニアのガブリエル・J・K・ドゥサバ大使と同席した。すると、大使が「私の父親は先の大戦中、日本軍の連隊を助けて、密林のなかを、オーストラリア軍と戦いました。日本のおかげで、独立を達成することができました」といって、連隊長の名と連隊番号をあげて、感謝した。

 ニューギニア島は東半分がオーストラリア、西半分がオランダによって、領有されていた。

 パリ会議は、ヴェルサイユ会議としても知られるが、1919年2月に日本全権団が「人種平等条項」を提案したところ、11票対5票で採択されそうになったが、議長をつとめていたウィルソン・アメリカ大統領が、「このような重要な案件については、全会一致でなければならない」といって、日本案を葬った。

 小国が賛成票を投じたのに対して、アメリカはフィリピンを領有し、国内で黒人を差別していたが、英仏などの植民地帝国が反対した。

 今年は、日本全権団が「人種平等条項」を提案してから、百周年に当たる。

 日本は先の大戦で、大きな犠牲を払って戦って敗れたが、西洋が数百年にわたり支配していたアジア諸民族を解放し、その高波がアフリカ大陸も洗って、次々と独立していった。

 その結果、日本の力によって、長い人類の歴史における最大の革命となった、人種平等の理想の世界が、はじめて招来された。

 不平等条約改正と、人種平等の世界を創ることが、幕末からの日本国民の大きな夢だった。

 日本という太陽が昇って、世界を隅々まで照らした。

 私事になるが、オノヨーコが私の従兄姉に当たるので、ジョン・レノンとも親しかった。今年がジョンとヨーコが結婚してから、50周年に当たるために、内外でさまざまなイベントが催される。

 ジョンは『イマジン』の曲で有名だが、日本が先の戦争によって、戦争前に誰も想像(イマジン)すらできなかった、人種平等の世界を創ったことを高く評価して、ヨーコと2人で靖国神社に参拝している。


  現行憲法下では自衛隊は国防の傍役でしかない
    Date : 2019/01/07 (Mon)
 私は春と秋に、年2回、ワシントンに通っている。

 いま、世界の未来が、アジアのありかたにかかっている。

 トランプ政権は発足してから、11月に次の2020年の大統領選挙の折り返し点になった2年が過ぎたが、前半の2年に起ったもっとも重要な出来事は、中国と真正面から対決することになったことだ。

 中国の習近平政権は中国の力を過信して、アメリカが内に籠ろうとしていると判断して、アメリカを追し退けて、世界の覇権を握ろうとしているのに対して、アメリカが反発して、立ち塞(ふさ)がったのだ。

 習近平主席は、南シナ海に埋め立てた7つの人工島を「軍事化しない」と、オバマ大統領と固く約束したのにもかかわらず、ミサイルを配備して、南シナ海を支配しようとしているのをはじめ、軍事先端技術でアメリカを凌ごうとするかたわら、中国からアジアを通ってヨーロッパまで、70ヶ国あまりを取り込もうとする、「一帯一路」戦略を露骨に進めているのに、アメリカが堪忍袋の緒を切らしたのだ。

 米中対決は、“米中新冷戦”と呼ばれているが、これはトランプ政権だけによる決定ではない。共和、民主両党をはじめ、アメリカの識者、著名シンクタンク、大手新聞・テレビによる、コンセンサス(合意)だ。

 トランプ政権のもとで、アメリカは世界を一手に守ってきた重荷を軽くして、ヨーロッパや、日本などの同盟諸国が分担することを期待している。多くのアメリカ国民が諸国の防衛を、アメリカに押しつけられてきたと思って、不公平だと考えるようになっている。

 アメリカは国防費にGDP(国内総生産)の3.1%を、支出している。オバマ政権下でNATO(北大西洋条約)に加盟しているヨーロッパの27ヶ国が、GDP2%を国防費にあてると約束したのにもかかわらず、約束を守っているのは、イギリスなど7ヶ国にしかすぎず、ヨーロッパ第一の大国のドイツは、1.2%でしかない。

 11月に、ワシントンを訪れた時に、トランプ政権の旧知の関係者と会食したが、なかに国家安全会議(NSC)の幹部がいた。

 「ドイツの国防費は、1.2%にしかならない。ドイツ国民が自分の国の価値が、それしかないとみなしているのなら、どうしてアメリカの青年たちが、自国を大切にしない国を守るために、血を流す必要があるのだろうか」
 といった。

 日本はNATOの計算基準を当てはめると、防衛費として1.15%を支出している。

 ここで、私が「防衛費」という言葉を使っていることに、注目していただきたい。「国防費」ということは、許されないからだ。

 日本は現行の「日本国憲法」のもとで、「国防」はアメリカに委ねて、自衛隊はアメリカ軍を補助して「防衛」に当たることになっている。アメリカが日本の国防の主役であって、日本は傍役(わきやく)なのだ。

 日本国民は非常の場合には、アメリカが守ってくれると思い込んでいるから、国防意識が低い。これでは、日本が亡びてしまう。

 韓国の文在寅(ムンジェイン)政権は、親北朝鮮政権であって、在韓米軍が撤退することもありうる。

 憲法を改正して、自衛隊を保有することを憲法にうたうことを、急がなければならない。


  本気のアメリカと慢心する中国 米中の冷戦の先に見えるもの
    Date : 2018/12/27 (Thu)
 私は11月にワシントンで、5日間過した。

 アメリカは、中国の超大国化の野望を挫いて、中国を抑えつけることを決意した。この決意はトランプ政権だけに、よるものではない。

 国家安全会議(NSC)、国防省、国務省などが協議して決定したものではなく、誰がどうというより、政権、与野党、アメリカの中国専門家、シンクタンク、識者などのコンセンサスであって、有機的にひろく形成されたものだ。

 習近平主席が訪米して、オバマ大統領と会談した後の共同記者会見で、南シナ海に埋めたてた7つの人工島を、絶対に軍事化しないと誓約したのにもかかわらず、ミサイルを配備して、世界の通商の4分の1以上が通る南シナ海を内海に変えようとしていることや、異常な軍拡を行っていること、世界制覇を企んで「一帯一路」計画を、強引に進めていることなど、傍若無人に振る舞うようになったのに、堪忍袋の緒が切れたものだ。

 今後、中国がすぐに引き下がることを、期待できないから、米中対決は長く続こう。

 私が前号で書いたように、貿易・関税戦争は入り口でしかない。

 アメリカが中国と対決することに決したのは、トランプ政権が2016年に発足してから、最大の決定だといわねばならない。

 中国の野望を砕く戦略の中核にされているのが、中国への先端技術の移転を停めて、中国の超大国化の源泉となってきた、先端技術の池の水を抜こうとすることだ。

 私は福田赳夫内閣、中曽根内閣で、首相特別顧問という肩書を貰って、カーター政権、レーガン政権を相手に対米折衝の第一線に立ったから、ワシントンは旧戦場だ。

 ホワイトハウスに向かって、右側にオールド・エキュゼキュティブ・ビルディングという、副大統領の執務室もある、古い煉瓦造りの建物がある。2016年にトランプ政権が舟出した時には、ここにハイテクノロジーの担当者が1人しかいなかった。現在では、ハイテクノロジーの担当者たちが、1(ワン)フロアを占めている。

 習主席の中国は、「野郎自大」だ。「夜郎自大」は中国最古の正史である『史記』に、夜郎という小国の王が、漢が広大で強大なことを知らず、自らの力が勝っていると思い上がって、漢の使者に対して傲慢に振る舞ったという、故事によっている。

 中国は歴代の統一王朝が、自分が全世界の中心だという、“中華主義”を患ってきた。私は“中禍主義”と呼んでいるが、慢心して他国を見縊(みくび)る、自家中毒症状を病んできた。

 アメリカとソ連が対決した冷戦の舞台は、ヨーロッパや、朝鮮半島、アフガニスタンであって、陸上の争いだった。
米中“冷戦”の主舞台は、陸ではない。海だ。

 この冷戦は、米日対中の冷戦だ。トランプ政権が「太平洋軍」の呼称を、「インド太平洋軍」に改めたのは、新たな冷戦の性格を表わしている。

 中国にはソ連になかった、脆弱点がある。中国は世界貿易と、先進諸国からの投資に依存してきた。

 そして20世紀と違って、製造・金融の拠点を国境を越えて、短時間で移転することができるから、中国の“仮想空間”である巨大経済を維持することが、難しくなろう。


  日本を守るD 憲法改正で国家の安全と国民の生命を守れ
    Date : 2018/12/27 (Thu)
 安倍政権が憲法を改正しようとするなかで、憲法談義が喧(かまびす)しくなっている。

 北朝鮮の核、中国の脅威が募り、米国が「アメリカ・ファースト」のもとで、同盟諸国に応分の国防責任の分担を迫っている。

 日本は国際環境の激変に合わせるために、憲法のごく一部を修正しなければならない。

 ところが、野党は憲法を軽んじている。野党は11月に閉会した国会で、憲法改正を論じる憲法審査会を開くことを拒否した。もし、国民に護憲を訴えたいなら、なぜ、審査会の場で、米軍による占領時代に戻るべきことを、堂々と主張しないのか。

 米中“新”冷戦が、日本とアジアの未来を決めることとなる。米ソ間の冷戦は陸上を舞台にしたが、米中冷戦の舞台は、米国がハワイに司令部を置く「太平洋軍」を、先日「インド太平洋軍」と改名したように、海だ。

 12月に、政府は「いずも型」ヘリコプター搭載護衛艦を、F35B戦闘機が発着する空母に改装することを決定した。日本が対日講和条約によって独立を回復してから、66年以上もたってから、空母が、旭日旗をひるがえして、日本の守りにつくのだ。

 だが、岩屋防衛相がこの改修に当たって、「任務に応じて戦闘機が載せても、攻撃型空母にあたらず、他国に脅威を与えない」と、述べた。読売新聞によれば、「必要な時だけ、戦闘機を搭載する方針」だそうだ。

 さらに、自民・公明与党間で、「改修はあくまでも専守防衛の範囲内である」ことを明記した、「確認書」が交わされた。

 常時、艦載機を載せないで、訓練、運用に支障がないのか。危機が迫ったと判断して載せたら、どうして専守防衛になるのか。

 「専守防衛」という言葉は、英語をはじめとする外国語に、訳することができない。国家の安全と国民の生命を、まったく無意味な言葉に預けて、よいものだろうか。

 中国、北朝鮮以外のアジア諸国は、常時、艦載機を載せても脅威と感じまい。中国や北朝鮮、韓国を刺激してはならないというのは、近くの暴力団の事務所を刺激してはならないというのと同じで、3ヶ国に失礼なことだ。

 平成が、31年で終わる。この間、北朝鮮から拉致被害者を救えなかった。もし、日本が独立を回復した後に、日本の経済規模の半分しかない英仏と同じ軍事力を持っていたら、国民が国土から拉致されなかった。拉致被害者は、「日本国憲法」の被害者なのだ。


  日本を守るC 世界各地で高まる緊張
    Date : 2018/12/26 (Wed)
 日本は生まれ変わらなければならない。米国に一方的に頼る時代は、終わった。

 トランプ政権は、米国が世界を一手に守ってきた重荷を軽くして、ヨーロッパや、日本などの同盟諸国が分担することを求めている。

 多くの米国民が、外国を防衛する重荷を担うのが、不公平だとしている。

 米国は国防費にGDP(国内総生産)の3.1%を、支出している。

 ところが、オバマ政権下でNATO(北大西洋条約機構)に加盟するヨーロッパ27ヶ国が、GDP2%を国防費にあてると約束したのにもかかわらず、約束を守っているのは、イギリスなど7ヶ国だけで、ヨーロッパ第一の大国のドイツは、1.2%でしかない。

 11月にワシントンを訪れた時に、トランプ政権の関係者と会食したが、なかに国家安全会議(NSC)の幹部がいた。

 「ドイツの国防費は、1%ちょっとにしかならない。ドイツ国民が自分の国の価値が、それしかないと思っているなら、どうして米国の青年がそんな国を守るために、血を流す必要があるだろうか」と、いった。

 日本はNATOの計算基準を当てはめると、防衛費として1.15%を支出している。
 
 ここで、私は「防衛費」という言葉を使っていることに、注目していただきたい。「国防費」ということが、許されないからだ。

 日本は現行の「日本国憲法」のもとで、「国防」は米国に委ねて、自衛隊は米軍を補助して「防衛」に当たることになっている。米国が日本の国防の主役であって、日本は傍役(わきやく)なのだ。

 日本国民は非常の場合には、アメリカが守ってくれると思い込んでいるから、国防意識が低い。

 緊張がたかまっているのは、日本がある東アジアだけではない。ヨーロッパでは、いつ、ロシア軍がバルト3国や、北欧を奇襲するか、緊迫した情況が続いている。中東も予断を許さない。もし、イランがペルシア湾の出入り口を封鎖すれば、米軍が出動する。

 米国はもはや同時に二正面で戦う能力を、持っていない。もし、米軍の主力がアジア太平洋からヨーロッパか、中東に移動したら、日本の周辺が手薄になる。

 日本が平和を享受し続けるためには、国防に真剣に取り組まねばならない。

 憲法を改正して、自衛隊を保有することを書き込むことを、急がなければならない。


  日本を守るB 「中華思想」で視野狭窄 ソ連崩壊と似た道
    Date : 2018/12/25 (Tue)
 米中対決は、どこへ向かうのだろうか?

 習近平主席の中国龍は、トランプ大統領の米国鷲に襲われ
て、鱗(うろこ)が飛び散るようになっている。

 トランプ政権が、中国という“悪の帝国”を倒す戦略を進めている。

 かつてレーガン大統領が、“悪の帝国(イービル・エンパイア)”と極め付けたソ連を追いつめたが、中国もソ連と同じ自壊への道を、進むようになっている。

 ソ連は、効率が悪い計画経済によって病んでいたのに、無人のシベリア沿海州開発に国力を浪費し、東ヨーロッパの衛星諸国という重荷をかかえていたうえに、第3世界に進出するのに力を注いだために、米国との競争に耐えられなくなって、1991年に倒れた。

 ソ連の最高指導者は、非科学的なマルクス主義の予言に従って、ソ連が世界を支配するという使命感にとらわれて、世界制覇を急いだために、墓穴を掘った。

 習主席も、「偉大な中華文明の復興」という、自らの掛け声に陶酔して、見せかけだけが壮大な「一帯一路」計画と、大海軍の建設を強行しており、ソ連が第2次大戦後に歩んだ道程に、よく似ている。

 中国は分離独立闘争を恐れて、新疆ウィグル自治区や、チベットをはじめとする西域や、中部や、北部に過大な投資を行っている。 「一帯一路」計画によって、70ヶ国近くを“幻(まぼろし)の中華圏”である、仮想空間に取り込もうとしているが、多くのアジア諸国で挫折するようになっている。

 ソ連は1950年代から、日本についで経済成長率が高かった。ソ連は1957年に米国に先駆けて人工衛星『スプートニク』を軌道に乗せ、4年後に世界最初の有人衛星飛行を行って、米国を震駭させたものだった。

 ソ連は1970年代に入ると、少子高齢化が進んで、旺盛な高度成長を支えた、豊富な安い労働力が失われるようになった。中国で同じことが、起っている。

 中国の指導部は、何千年にわたって自分が世界の中心だという中華思想による知的障害を患ってきたので、傲慢に振る舞ってきたために、まともに対外戦略をたてられない。

 私は中華思想を“中禍思想”と呼んできた。プーチン大統領のロシアは戦略が巧みなのに、中国は中華主義による自家中毒におちいって、視野が狭窄している。

 日本は米中対決の狭(はざ)間にある。米国が勝つことになるから勝ち組につくべきだ。


  日本を守るA トランプ政権 ハイテクの中国流出を遮断
    Date : 2018/12/20 (Thu)
 私は11月後半に、ワシントンに戻った。
 “米中対決”は、1991年にソ連を崩壊に導いた「東西冷戦」に続く、「米中冷戦」と呼ばれるようになったが、これはトランプ政権だけによる決定ではない。

 上から音頭をとったのではなく、共和、民主両党の議会の総意であり、米国の識者、主要シンクタンク、大手メディアによって、有機的に生まれたコンセンサスである。

 中国龍に跨(またが)る習近平主席が、中国の力を過信して、米国を見縊(みくび)って、世界の覇権を握ろうとしているのに対して、米国鷲が立ち塞(ふさ)がった。

 習主席は、南シナ海に埋め立てた7つの人工島を、「軍事化しない」と、オバマ大統領に固く約束したのに、ミサイルを配備して、世界の主要な通商路である南シナ海を支配しようとしているのをはじめ、中国からアジアを通ってヨーロッパまでの諸国を取り込む「一帯一路」戦略を露骨に進めているのに、米国が堪忍袋の緒を切らした。

 米中はすでに関税戦争で火花を散らしているが、11月のアルゼンチンのG20サミットにおいて、トランプ大統領が習主席と会談して、米国がさらに対中関税を引きあげるのを、90日間猶予することを約束した。だが、90日間で複雑な交渉が、決着するはずがない。鷲と龍の格闘劇の中休みにしかすぎない。

 トランプ政権は、中国龍を躾けようとしているだけではない。真意は、中国共産党体制を打倒することを、はかっている。

 米中関税戦争は、序の口でしかないのだ。中国のファーウェイなどの通信企業に対する締めつけも、軍拡競争も、傍役でしかない。

 米中対決の主役は、中国にハイテクノロジー――先端技術が流れ込むのを絶ち切って、枯渇させることだ。暴れ龍の血液の循環を、停めるのだ。

 ホワイトハウスに向かって、左側に「オールド・エキュゼキュティブ・オフィス」と呼ばれる、煉瓦造りの古色蒼然とした建物がある。ここに歴代の副大統領の執務室も、置かれている。

 先端技術の発達の速度は、いっそう加速化している。トランプ政権が2年前に船出した時には、ハイテクノロジーの担当者は1人しかいなかったが、今では100人以上がワン・フロアを埋めて働いている。

 日本は先端技術競争に、遅れをとってはならない。


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