加瀬英明のコラム
  • メールアドレス登録をすると最新のコラムをメールでお送りします。
  • メールアドレスの登録/解除はご自身で自由に行えます。

  中国は前車ソ連の轍を踏むことになるのか
    Date : 2018/11/14 (Wed)
 米中貿易戦争――あるいは関税戦争をめぐって世論がかまびすしいが、米中関係のごく一部しか見ていない。

 トランプ大統領は中国の共産体制を崩壊させることを決意して、中国と対決してゆく方針を固めた。

 習主席は面子にこだわって、関税戦争を受けて立っているが、中国経済がアメリカ市場に依存しているために、すでに蹌踉(よろめ)いている。

 いまではワシントンで、この間まで親中派だった国務省、主要シンクタンクも、中国と対決することを支持している。アメリカの中国観の地殻変動だ。

 トランプ大統領が中国という“悪の帝国”を倒す戦略の中核にあるのが、テクノロジーだ。同盟諸国とともに、先端技術の中国への流出を阻む、兵糧攻めにするのだ。関税戦争や、軍拡競争は脇役になる。

 かつてレーガン大統領が、“悪の帝国(イービル・エンパイア)”と極め付けたソ連を追いつめたのも、アメリカを中心とする、自由世界のテクノロジーの力によるものだった。

 中国はテクノロジー後進国だ。宇宙ロケットを打ち上げられても、ジェット機のエンジンをつくれないので、ロシアから買っている。

 中国の指導部は何千年にもわたって、中華思想による知的障害を患ってきたために、弱い相手は呑み込むものの、まともな対外戦略をたてられない。力を持つようになると慢心して、外国を見下すために、傲慢に振る舞う。

 中華思想は、中禍思想と書くべきだ。ロシアは戦略が巧妙だが、中国は中華主義の自家中毒によって、視野が狭窄している。

 中国は今世紀に入ってから、かつてのソ連と同じように、自壊への道を進むようになっている。ソ連は1991年に崩壊した。

 効率が悪い計画経済によって病んでいたのに、無人のシベリア沿海州の開発に国力を浪費し、東ヨーロッパの衛星諸国という重荷をかかえたうえに、第3世界に進出するのに力を注いだために、アメリカとの競争に耐えられなくなって、倒壊した。

 クレムリンの最高指導者は、非科学的なマルクス主義の予言に従って、ソ連が世界を支配するという使命感にとらわれて世界制覇を急いだために、墓穴を掘った。

 習主席も「偉大なる5000年の中華文明の復興」という、自らの掛け声に陶酔して、見せかけだけが壮大な「一帯一路」計画と、大海軍の建設を強行しているが、第2次大戦後にソ連が歩んだ道程によく似ている。

 中国は分離独立闘争を恐れて、新疆ウィグル自治区や、チベットをはじめとする西域や、中部や、北部に過大な投資を行っている。

 「一帯一路」計画は、アジアからヨーロッパまで70ヶ国近くを、“幻(まぼろし)の中華圏”に取り込もうとする杜撰(ずさん)きわまる大計画だが、マレーシア、ミャンマー、パキスタンなど多くの諸国で、すでに挫折するようになっている。

 ソ連は1950年代から、60年代にかけて、日本についで経済成長率が高かった。私はソ連が1957年にアメリカに先駆けて、人工衛星『スプートニク』を軌道に乗せた時に20歳だったが、よく覚えている。その4年後に世界最初の有人衛星飛行を行って、アメリカの朝野を震駭させたものだった。

 ソ連では1970年代に入ると、少子高齢化が進むようになって、旺盛な高度成長を支えた、豊富な安い労働力が失われるようになった。中国でも同じことが、起っている。

 私はかねてから、中国人は昔から「吃(ツー)(食事)」「喝(フー)(飲酒)」「嫖(ピャオ)(淫らな遊女)」「賭(トウ)(博打(ばくち))」「大聴戯(チーティンシ)(京劇)」の5つを、生き甲斐にしていると、説いてきた。

 清朝の歴代の皇帝も、毛沢東、周恩来、江青夫人も、江沢民元主席も、みな京劇マニアだった。

 京劇は甲高い声に、耳を聾するけたたましい音曲と、大袈裟な所作によって、誇大妄想を煽る舞台劇だ。

 習主席が好む大規模な軍事パレードや、急拵(こしら)えの航空母艦を中心とする大海軍や、絵に描いた餅のような「一帯一路」は、京劇の舞台装置を思わせる。清朝を崩壊させた西太后も、京劇マニアだった。

 現在、中国海軍は艦艇数が317隻で、アメリカ海軍の283隻を上回る。西太后が日清戦争前夜に、北京西郊の頤和園の湖岸に、巨額の国費を投じて建造した、大理石の巨船の“21世紀版”だ。


  悪意に満ちた国連委員会の対日非難
    Date : 2018/11/08 (Thu)
 8月に、スイス・ジュネーブで国連人種差別撤廃委員会が「対日審査会」を行い、慰安婦、韓国人・朝鮮人に対するヘイトスピーチ、委員会が先住民とみなすアイヌ・沖縄県民、朝鮮学校問題などを取りあげて、3日にわたって日本を嬲(なぶ)りものにした。

 私はこの討議の一部を動画で見たが、どの委員も日本が性悪な国として、こき下ろした。

 戦前の国際連盟が本拠だった「パレ・ウィルソン」(パレは宮殿)で開かれ、会合での対日非難は悪意にみちたものだった。

 韓国の委員の鄭鎮星(チョンジュソン)女史は「性奴隷(セックス・スレイブ)」といって、「慰安婦の残酷な状況は、当時の文書、映像、証言など多くの証言によって、裏付けられている」と、日本政府代表団に迫った。

 アメリカの黒人女性のマクドゥガル委員は、日本政府代表団が反論したのに対して、慰安所を「強姦所」と呼び、「事実を議論すべきではない。これは女性の尊厳の問題だ。慰安婦の大多数が韓国人だった」と、詰め寄った。事実は、大多数が日本女性だった。

 ベルギーのポッソート委員は、日本において韓国・朝鮮人が迫害されており、「日本に住む40万人の韓国・朝鮮人の大多数が、植民地時代に強制的に日本に連行された」と、攻撃した。事実は同じ国だったから、自由に往来できたために、より豊かだった日本本土に、仕事を求めて移ってきたのが、正しい。

 コンゴ民主共和国をはじめ、諸国の委員がつぎつぎと日本を誹謗した。

 このような国連委員会が世界の世論をつくって、日本の名誉を大きく損ねてきた。

 委員会の会合は、荒唐無稽としかいえないにもかかわらず、日本政府代表団が一つ一つ、丁寧に答えていた。私は代表団を率いた大鷹正人外務審議官や、法務省員の苦労を心からねぎらいたいと思った。

 私も英語屋だが、大鷹審議官の英語は流暢で、素晴しかった。ところが、日本政府の代表が「お詫びし、償い金を支払っている」といって、委曲をつくして答えるほど、弁解しているように見えた。

 私だったら弁明に終止せずに、相手を積極的に攻撃して、その歪んだ根性を叩きなおそうとするだろう。

 韓国の委員には、「韓国が独立を回復してから、貴国の国軍は日本の旧軍の制度を受け継ぎましたが、国軍の将兵の性処理のために、『慰安婦(ウィアンプ)』と呼ぶ女性たちが働く売春施設を、つくっていました。『慰安婦(いあんふ)』は旧日本軍とともに姿を消したはずなのに、韓国軍に長いあいだにわたって存在しました。慰安婦がそんなにおぞましいものだったら、どうしてこの日本語を韓国語として発音をして、使っていたのですか?」と、たずねたかった。

 アメリカの委員には、「アメリカでは1960年代に入るまで、黒人は選挙権を認められず、白人と黒人の性関係が犯罪とされ、水飲み場、便所から、食堂まで区別されて、ひどい差別を蒙っていたし、今でも苦しんでいます。日本が先の大戦を戦って有色人種を解放したおかげで、黒人が白人と同等の公民権を勝ち取ったのではないですか?」と、質問する。

 委員会が国際連盟を創設することを提唱した、アメリカ大統領の名を冠した「パレ・ウィルソン」で開かれたのも、皮肉だった。

 ウィルソン大統領はアメリカ南部のジョージア州とサウスカロライナ州で育ち、有色人種が優生学的に劣っていると説いた、人種差別主義者だったために、ウィルソンが創学者のプリンストン大学では、学生たちがその銅像の撤去を求め、アメリカ議会が創立したシンクタンク「ウィルソン・センター」を改名すべきだという運動が、行われている。

 私だったら、委員たちに「パレ・ウィルソン」の名を改めることを、提案しただろう。

 このように愚かしい委員会で、日本政府の代表が暴れれば、世界のマスコミが取り上げて、日本の主張が理解されることだろう。


  「日本国憲法」という邪教を信じたままでよいか
    Date : 2018/11/08 (Thu)
 「日本国憲法」は、邪教だ。

 日本がアメリカによって、自主独立を完全に否定されていた時に、押し付けられた現行憲法は、邪教そのものだ。

 現行憲法は護ろうとする者は、邪教の信者である。

 現行憲法の前文は、日本の安全を「平和を愛する諸国民の公正と信義に」委ねると、うたっている。いったい、ロシア、中国、北朝鮮、韓国が、何よりも平和を愛し、公正で信義を重んじる国なのだろうか?

 前文は現行憲法の精神を要約しているが、このように噓八百で始まっている。

 私たちの生命や財産を、外国人のお情けに預けなさいと、いっているのだ。

 憲法は世界の全ての諸国民について、性善説をとっているのに対して、日本人についてのみ、性悪説をとっている。もっとも、私たちがこの前文を書いたのではなく、戦勝国だったアメリカが、日本を苛(いじ)めるために強要したのだから、自虐的だとはいえないが、多くの日本国民がこの押し付けられた憲法を、なぜか、信心するようになっている。

 戦後、日本国民が自虐的になってしまったのは、この憲法のせいである。

 しかし、社会生活において、まったく自尊心を失ってしまった者が、真っ当な生活を営むことができるはずがない。国際社会においても、まったく同じことだ。

 第9条は「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と、規定している。世界のどの国も、一国の独立と、国民の生命・財産を守るために、国防を国民の義務として定めているのに、日本だけが軍を保持することを禁じられている。赤児が腹をすかせた虎や、狼、ジャッカルがうろついているジャングルに、置きざりにされたようなことだ。

 平和は健康と同じように、努力して守るものだ。

 アメリカは現行憲法を、占領下にあった日本に強要した時に、その時のアメリカの都合に合わせて、日本からいっさいの軍備を奪うことによって、日本を子々孫々に至るまで、アメリカの属国とすることを、目論んだのだった。そのために、今日の日本はみすぼらしい小国でしかない北朝鮮の脅威に対しても、アメリカの保護なしに対応できない。

 だが、いったい、アメリカが今後、日本を永久に守り続けてくれるものだろうか? トランプ政権は「アメリカ・ファースト」(アメリカ優先)を唱えて、アメリカの都合を何よりも優先すると表明している。

 現行憲法とアメリカによる保護は、一体のものなのだ。

 せめて、現行憲法に国を護るために自衛隊を保有することを、一日も早く書き込みたい。

 どのような国であれ、誇りが国家を形成しているのに、現行憲法は日本人から日本人の誇りを、奪ってしまっている。
私たちの日本はいま現在だけによって、存在しているのではない。2000年余年にわたる歴史と、祖先である先人たちの願いによって、形成されている。毎日を生きるのにあたって、祖先をないがしろにしたら、天罰が降ろう。

 尊いものは、目に見えない。刹那(せつな)だけしかないのでは、魂がない抜け殻でしかない。

 現行憲法は日本を魂がない、禽獣(きんじゅう)の国としている。

 このまま、邪教を信じてゆけば、私たちは地獄に落されてしまおう。


  麦の穂青し、空は一片の雲も留めず
    Date : 2018/11/05 (Mon)
 来年5月に全国民が慶祝に涌きかえるなかで、126代の天皇陛下が即位される。

 天皇は日本を統べて下さる要(かなめ)であり、民を安ずる使命を授かった御存在である。

 皇室のない日本を想像することが、できるだろうか。

 天皇は他国の君主と違って覇者ではなく、敵対する者が存在しない。古代・中世の一時期さえ除けば、武力を用いたことがなかった。

 天皇は日本でもっとも謙虚な人であり、日本の国柄が結晶した方であられる。日本の祭り主として2000年余にわたって皇祖を祀り、つねに国民の幸せと平和を祈ってこられた。

 御代替りが、来年5月に迫っている。そのために、私はあらためて天皇の存在について考えた。

 昭和20(1945)年のアメリカは「天皇を処刑せよ」という世論で沸騰していた。

 だが、日本は惨憺たる敗戦を蒙ったにもかかわらず、どうして天皇を戴く国のかたちを、守ることができたのだろうか。

 大西瀧次郎中将を偲ぶ

 私は9月に同志とともに、靖国神社の靖国会館において、『大西瀧治郎中将を偲ぶ会』を催した。

 大西海軍中将といえば、昭和19年10月にフィリピンにおいて、最初の神風特攻隊を編成して送り出したことから、「特攻隊の父」といわれてきた。

 当日、200人あまりが「偕行の間」に集まったが、その前に昇殿参拝した。

 私は代表して、次の祭文を捧読した。

 「謹んで大西瀧次郎海軍中将の御魂と、先の大戦中に散華された英霊に申し上げます。

 わが国は先の大戦を自存自衛のために、国を挙げて戦ったのにもかかわらず、連合国に『ポツダム宣言』を受諾することによって敗れましたが、世界史にまったく類例がない特攻作戦を空に海に敢行することによって、連合国の心肝を寒からしめ、名誉ある条件付き降伏を行うことができました。

 『ポツダム宣言』は、『われらの条件は左の如し。われらは左の条件から逸脱することなし』と述べて、『日本国軍隊の無条件降伏』のみを要求しています。

 特攻作戦こそは、高貴な日本精神を発露したものでありました。特攻隊員と、アッツ島から沖縄まで戦場において玉砕した英霊の尊い犠牲によって、わが国の2600年以上にわたる美しい国体が護られて、今日に至っています。

 日本国民は特攻に散った英霊が悲惨な亡国から、日本を救って下さったことを忘れません。御遺志を継いで日本を守ってゆきますことを、お誓い申し上げます」

 日本が国民を挙げてよく戦ったために、連合国が昭和20(1945)年7月26日に『ポツダム宣言』を発することによって、連合国側から和平を申し出た。トルーマン大統領はこの4日前に、アメリカ陸海軍(まだ空軍はなかった)に、「オリンピック作戦(オペレーション・オリンピック)」と名づけた九州上陸作戦を、11月に実施するように命じていた。

 アメリカ統合参謀本部は、7月はじめに「対日計画案」を大統領に提出して、日本本土侵攻作戦に500万人の兵力を必要とするが、日本は1947(昭和22)年まで戦い続け、アメリカ軍死傷者が100万人を超えようと見積っていた。

 そのためにトルーマン政権は、前政権が日本に「無条件降伏」を強いる方針をとっていたのを改めて、条件付降伏を求めることを決定した。

 今日では多くの国民が特攻隊や、最後まで戦った将兵が徒死(むだじ)にだったというが、日本の悠久の国のかたちが、この尊い犠牲によって守られたのだった。

 先の対米戦争はアメリカの不当な圧迫を蒙って、已(や)むに已(や)まれずに戦ったものだった。

 和平派だった東郷茂徳外相と、戦後、本誌『カレント』を創刊された賀屋興宣蔵相は、『ハル・ノート』に接して、もはや已むなしとして、開戦の詔勅に副署した。

 『海ゆかば』の合唱

 偲ぶ会は、東映の協力によって、バリトン歌手・斎藤忠生氏の先導によって、『海ゆかば』の合唱から始まった。

 特攻隊員が整列をして水盃を戴くと、次々と離陸して、敵艦に命中するか、対空砲火によって、海面に激突する実写が上映された後に、東映若手男優3人が特攻隊の飛行服に、日の丸の鉢巻を締めて登壇して、1人1人、特攻隊員の遺書を朗読した。

 そのうえで、藤田幸生・特攻隊戦没者慰霊顕彰会理事長(元海幕長)、劇映画で大西中将を演じた父・故鶴田浩二氏の令嬢で、女優の鶴田さやか氏などが、短い挨拶を行った。

 講話が終わった後に、壇上に戻った3人の若手俳優と、参会者が『同期の桜』を合唱したが、全員が頬を涙で濡らした。

 参会者が、再び『海ゆかば』を合唱することによって、閉会した。

 特攻作戦は、大西中将が発案したのではなかった。昭和19(1944)年7月にサイパン島が失陥すると、少壮将校から海軍部内に敗勢を挽回するために、特攻を行いたいという声が、澎湃(ほうはい)として起った。特攻作戦が採用され、特攻兵器の開発が始まっていた。

 私には特攻について、多くの関係者の話をきいてまとめた英文の著書があるが、特攻作戦は長い歴史によって培われた、日本国民の愛国心と熱誠が表われたものだった。

 会が始まる直前に、実行委員の1人のF君が、「冒頭で『君が代』を斉唱しましよう」というので、私は反対した。特攻隊が出撃する時には、『海ゆかば』が合唱されたが、『君が代』が歌われたという例は、きいたことがない。

 『海ゆかば』は、防人(さきもり)を司る兵部少輔だった大伴家持(西暦717年〜785年)の歌で、『万葉集』に収録されている。『万葉集』は私たちの魂の故郷(ふるさと)である。『君が代』は平安朝初期の『古今和歌集』にある祝歌(ほぎうた)で、悲壮な出撃にふさわしくなかったのだろう。

 閉会する前に、F君から「聖寿万歳によって、会を締め括りましよう」と耳打ちされたので、私は「それはやめましよう」と答えた。

 大西中将の自刃後に、淑恵夫人がインタビューで、中将が戦争末期に「天皇は国民の前に立たれるべきなのに、女官に囲まれている」と憤ったと語っており、部下に「この戦争は国民ではなく、天皇の側近たちが敗れたのだ」と、切り捨てたという証言がある。

 天皇家は京都の御一家であって、武家の棟梁ではない。私たちにとって、天皇は文化的な存在である。

 特攻について1冊だけ、本をあげるようにといわれたら、『麦の穂青し』(勉誠出版)を勧めたい。特攻隊員の遺書が集録されている。全家庭に1冊常備したい本だ。

 題名は、昭和20年4月29日に九州から飛び立った23歳の特攻隊員が、出撃寸前に書いた遺書からとっており、「一二一五搭乗員整列。進撃は一三〇〇より一六三〇の間ならん。空は一片の雲も留めず。麦の穂青し」という短いもので、心の動揺なく出撃したことが証されている。進撃時間は沖縄の上空に着く時間を見積ったものだ。

 語らざる悲しみもてる人あらむ

 天皇皇后両陛下が平成24年に、イギリスに行幸啓された。

 その時に、前大戦中の元イギリス兵捕虜が、沿道に並んで、抗議行動を行った。

 この時に、皇后は大戦後イギリス軍の捕虜となって、処刑された国人(くにびと)を思いやられ、和歌をよまれた。

 「語らざる悲しみもてる人あらむ母国は青き梅実の頃」という御製を拝して、私は「麦の穂青し」を思って、恐懼した。

 終戦の日ごとに、テレビで玉音放送の録音が流されるが、「朕は茲(ここ)に国体を護持しえて」と仰言せられるのを謹聴するたびに、特攻に、玉砕に殉じた先人たちを誇りたいと思う。


  「国連」は諸国の権力闘争の場 「平和の殿堂」にあらず
    Date : 2018/10/24 (Wed)
 自民党総裁選挙が終わったが、石破茂氏が立候補したことを、多としたい。

 野田聖子氏でも、誰でもよかったが、もし、安倍首相が無競争で選出されたら、安倍政権のイメージが損なわれたところだった。

 安倍首相は憲法改正に取り組むことを鮮明にしてきたが、安倍首相が第9条の「戦力は、これを保持しない」という二項をそのままにして、自衛隊を書き加えようと主張しているのに対して、石破氏は2項を残して、自衛隊を挿入するのは、論理に反すると反対した。

 安倍首相は9月に自衛隊高級幹部会同で、「諸君の自衛隊員としての歩みを振り返るとき、時には心ない批判にさらされたこともあったと思う。同じ時代を生きた政治家として、忸怩(じくじ)たる思いだ。すべての自衛隊員が強い誇りを持って、任務を全うできる環境を整えるのが、政治家の責任だ」と、訓示している。

 石破氏が憲法の整合性を云々するのなら、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全を保持」するという、前文を削除することも、説くべきだった。

 私は憲法第9章「改正」の第96条が「改正の手続」とうたっているが、「改正」というと全面的に改めるような印象を与えるから、「憲法修正」と呼ぶべきだと、親しい国会議員たちを促してきた。多くの国民が現実に適うよう修正する必要があることを、感じているはずだ。

 自衛隊は国際的に軍として認められているが、国内では軍でないというが、日常生活でこのような詭弁は許されないだろう。

 現行憲法は冒頭から、大嘘によって始まっている。日本国民は作り事の世界に生きてきたために、現実を直視する力を失っている。

 ニューヨークに「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」と呼ばれる国際機関がある。

 もともと「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」は、ルーズベルト大統領が真珠湾攻撃直後の1942年1月1日に、日本と戦っていた26ヶ国の代表をワシントンに集めて、同盟諸国を「ジ・ユナイテッド・ネーションズ(連合国)」と呼ぶことにしたものだ。

 私たちが誤まって呼んでいる「国際連合」は、先の大戦中に日本が沖縄戦を戦っている時に、連合国が戦後世界を経営するために、サンフランシスコで創設され、軍事同盟の名をそのまま受け継いだ。国際連合という国際機関は、どこにも存在していない。

 今日の「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」の5つの公用語の1つの中国語では、「連合国(リエンホーグオ)」だし、韓国、北朝鮮でも「連合国(ヨナブグク)」だ。同じ敗戦国のドイツでは、国際連盟が「ディ・フルカーブンド」だったのに対して、ドイツが戦った連合国と変わらない「ディ・フェアインテ・ナツィオネン」(連合国)と呼んでいる。イタリア語でも「レ・ナツィオニ・ウニテ(連合国)」だ。

 憲法を「平和憲法」と呼んで現実を目隠してきたように、日本国民を骨抜きにするために、「連合国」を戦前の国際連盟をもじって、「国際連合」と誤訳したものだ。このために、日本国民は「国連」が諸国の権力闘争の場なのに、憲法の前文が描いている「平和の殿堂」なのだと思って、ひたすら崇めてきた。

 今日の日本は嘘っぱちというと、無いものをあるように信じていることが、多すぎる。

 日本社会が、このようにモラルハザード漬けになっているために、健全であるべき国防意識が欠けてしまっているのだ。


  自壊へと誘う覇権主義の幻想
    Date : 2018/10/10 (Wed)
 トランプ政権が発足してから、もうすぐ2年になる。

 トランプ政権は異端だといわれる。このあいだに、アメリカと世界のありかたが、何と大きく変わったことだろうか。

 日本をとれば、戦後、アメリカを日本を守ってくれる親鳥だと見做してきたが、はじめて外国として見るようになった。

 いったい国家が幻想によって、動かされるものだろうか?

 アメリカは第2次大戦後、世界のためにアメリカが世界の覇権を握るべきだという、幻想にとらわれてきた。アメリカはこの幻想から、世界に軍事基地網を張りめぐらせ、アメリカに従う諸国の国防を肩代わりしてきた。

 このもとで、グローバリズムという幻想が世界に撒き散らされたが、世界をアメリカの経済的覇権のもとに置くという、身勝手な欲望と一体になっていた。

 アメリカの大企業はこの幻想に乗じて、製造部門を中国を頭とする人件費が安い海外へ移すかたわら、安い製品を輸入して、国内の労働者の犠牲のうえに、懐(ふところ)を富ませてきた。

 トランプ大統領は「アメリカ・ファースト」(アメリカの国益を第一にする)を唱えて、この幻想を吹き払う世直し一揆の先頭に立っているために、グローバリズムの利得者であってきた民主党幹部、大企業、大手マスコミ、著名シンクタンクから袋叩きにあっている。

 トランプ大統領は共和党にとっても、部外者だった。そのために、異端者の烙印を押されている。

 トランプ大統領が習近平国家主席に関税戦争という、強烈な足払いをかけている。 

 習主席は中国経済がアメリカ市場という脚のうえに立っているために、大きく蹌踉(よろめ)いている。

 中国は今世紀に入ってから、かつてのソ連と同じように自壊への道を、ひたすら驀進するようになっている。

 習主席は「偉大なる五千年の中華文明の復興」という幻想に酔って、身の程を知らずに、見せかけが壮大な「一帯一路」計画と、大海軍の建設を中心とする軍拡を強行している。

 そのかたわら、分離独立闘争を恐れて、新疆ウィグル自治区や、チベットの西域や、中部、北部に、巨額の投資を行っている。

 「一帯一路」計画はアジアからヨーロッパまで、70ヶ国近くを“幻想の中華圏”に取り込もうとする、野心的というより杜撰(ずさん)な大計画だが、すでに多くのアジア諸国で、破綻するようになっている。

 ソ連は1991年に瓦解した。計画経済によって病んでいたのに、シベリア沿海州の開発に浪費するかたわら、東ヨーロッパの衛星諸国という重荷をかかえ、第3世界に進出するために力を注いだうえに、アメリカとの大規模な軍備競争に耐えることができなくなって、無様(ぶざま)に崩壊してしまった。

 ソ連は1950年代から60年代にかけて、日本についで経済成長率が高かった。

 私はソ連が1957年に、アメリカに先駆けて、人工衛星『スプートニク』を軌道に乗せた時に、20歳だった。その4年後に、世界最初の有人衛星飛行を行って、アメリカの朝野を狼狽させたことを、よく覚えている。

 ソ連では1970年代に入ってから、少子高齢化が進むようになり、往年の旺盛な高度成長を支えた、豊富だった労働力が失われた。いま、中国で同じことが起こっている。

 クレムリンの最高指導者も、マルクス主義の予言に従って、世界を支配するという使命を負っているという幻想にとらわれて、世界制覇を急いだために、墓穴を掘った。

 日本は占領下でアメリカによって下賜された「平和憲法」があるかぎり、アメリカが日本を子々孫々に至るまで、守ってくれるという幻想に、安全を託している。

 護憲主義者は日本国憲法とともに、滅びる道を選びたいのだろうか。


  国家自立の気概、憲法修正で示せ
    Date : 2018/10/05 (Fri)
 北朝鮮危機が日本のうえに重くのしかかるもとで、北朝鮮によって捕われている拉致被害者を一刻も早く救い出すことが、悲願となっている。

 それなのに、その糸口を掴むことさえ、まだできないでいる。

 横田めぐみさんが北朝鮮の工作員によって攫われて、北朝鮮に拉致されたのは、1977年11月15日のことだった。すでに41年もの時が、流れている。同じ時期に、他の多くの日本国民が同じように日本国内から拉致されて、北朝鮮に捕われたままでいる。

 いったい、拉致被害者は誰の被害を蒙っているのだろうか?

 これは、テレビも新聞も、誰もいわないことだが、拉致被害者は“平和憲法”と呼ばれる日本国憲法の被害者である。なぜ、それをいう者がいないのか。

 もし、日本が1952年に対日講和条約によって独立を回復してから、数年以内に現行憲法を改正して、それぞれ日本の人口、GDP(国内総生産)が、ともに半分しかない、イギリスか、フランス程度の軍備を整えていたとすれば、みすぼらしい小国にしかすぎない北朝鮮によって、多くの日本国民が日本の国土から、拉致されるようなことはありえなかった。

 イギリスも、フランスも、国土と国民を守るために、核ミサイルを搭載した潜水艦や、航空母艦を保有している。もちろん、イギリスもフランスも全世界から、平和国家として認められている。

 いったい、多くの自国民が隣国によって拉致されても、傍観するほかない国を、「平和国家」と呼ぶことができるものだろうか?

 アメリカは日本が占領下で主権を奪われていた時に、アメリカの平和を守るために、日本人の精神の非武装化と、日本の物理的な武装解除を企てて、占領下にある国の基本法を変更することを禁じた国際法を踏み躙って、現行憲法を押しつけたのだった。そのために、占領軍は日本国民が、この憲法を自主的に制定したという嘘を強要して、体裁を繕(つくろ)った。

 現行憲法は多くの日本国民によって、“平和憲法”と誤まって呼ばれているが、日本の平和ではなく、“アメリカの平和”をはかったものである。

 現行の「日本国憲法」は、アメリカが対日占領を始めた1年2ヶ月12日後の翌年の1946年11月に公布され、その翌年5月に施行された。

 ところが、その僅か4年1ヶ月後に、まだ日本は占領下にあったが、朝鮮戦争が勃発したために、アメリカは日本を“丸腰”にしてしまったことを悔いて、慌てて警察予備隊という、疑似的な“軍隊”を創設することを、命じた。

 自衛隊、疑似国家の疑似軍隊で良いのか

 占領軍が強いた「日本国憲法」の耐用期限は、4年1ヶ月しかなかったのだ。今日、私たちは耐用年数が、68年も前に切れている自転車か、自動車に、毎日乗っているようなものであって、危険きわまりない。

 この「日本国憲法」でさえ、第1條で「国民が主権者」であることを謳って、規定している。

 主権者ということは、日本国民が日本の所有主であることを意味している。それなのに、「日本国憲法」が「戦力の保持」を禁じているために、日本国民は今日に至るまで、自らの手で国を守ることを拒んでる。

 自分の所有物を守ろうとしないのでは、とうてい主権者といえない。主権者のいない国家は、国家に価しない。

 今日の日本は、疑似国家でしかない。このような国家のありかたは、軍隊ではないとされている自衛隊に、双生児のようによく似ている。 

 先の大戦が終わってから、多くの日本国民が現実を直視することを、避けるようになった。敗戦までの日本が邪しまな国家であったという、ゆわゆる東京裁判史観が、多くの国民によって信じられ、自虐史観にとらわれている。

 産経新聞のソウル駐在客員論説委員として、韓国における生活が長い、黒田勝弘氏が今日の韓国について、「韓国民の反日感情というのは、日本による朝鮮半島支配が終わった後、日本においては戦後、彼らにおいては、いわゆる解放後に形成されたものである」(『それでも私はあきらめない』黒田福美著、あとがき、WAC株式会社)と、述べている。

 日本の朝日新聞社をはじめとする、偏向左翼による自虐的な「反日」も、敗戦後に形成されたものだから、韓国を笑うことができない。

 また夏が巡ってきた。今年は異常な猛暑が続いたが、8月になると先の大戦の敗戦を回顧することが、年中行事となっている。

 だが、対米戦争と敗戦は、日本が自ら招いたものではなかった。

 これは、歴史的事実である。日本政府と軍部は開戦の直前まで、戦争を避けようとして、ひたむきな努力を傾けた。アメリカも日本と同じように、真剣に平和を求めているはずだと誤って信じたために、ルーズベルト政権が仕掛けた罠に嵌ったのだった。

 もし、異論がある読者がおいでになったら、拙著『大東亜戦争で日本はいかに世界を変えたか』(KKベストセラーズ)、私が編者となった『日米戦争を起こしたのは誰か・フーバー大統領回顧録を論ず』(勉誠出版)を、お読みいただきたい。

 今年は、アメリカの対日占領が終わってから、66年以上が過ぎている。

 日本の惨状、いつまで米国のせいにするのか

 それなのに、多くの保守派の人々が、アメリカの占領政策のお蔭で、日本国民が自立心を失なったといって、アメリカを批判する。

 これらの人々は、これから10年、20年、いや、30年、40年たっても、アメリカの占領政策によって、日本の国民精神が歪められてしまったと、アメリカのせいにし続けるのだろうか?

 これでは、韓国が35年にわたった日韓併合時代が終わってから、すでに73年もたったというのに、日本統治を非難することに没頭して、自立することができずにいるのと、まったく変わりがないではないか。日本がいつの間にか、“第二の韓国”となってしまったのだ。

 8月に、防衛省が28年ぶりに、自衛官の採用年齢の上限を、今年10月から6歳引き上げて、32歳にすることを発表した。少子化によって、応募者が減少しているからだというが、いま、はじまったことではない。陸上自衛隊の定員が15万人と定められているのに、2万人が欠員となっていて、13万人しかいない。

 少子化のために、全国で定員に届かない大学が多いが、このような大学の学生の質は、当然低い。自衛隊員のなかには、優秀な隊員が少なくないが、定員を満たすことができないために、全体の質と士気が低い。

 海上自衛隊も護衛艦が、定員に満たない人数で、出航している。

 東日本大震災では、予備自衛官に招集をかけたが、1パーセント以下しか招集に応じなかった。即応予備自衛官も招集に応じた者は、半分以下だった。

 そのうえ、若者が自衛隊に応募しないために、自衛隊は世界のなかで、もっとも高齢化した軍隊となっている。旧軍では陸軍の中隊長は20代だったのに、陸上自衛隊では40代末か、50歳が珍しくない。

 予算がないので、必要な装備も足りない。

 これも、憲法に自衛隊の存在が書かれていないからだ。

 国防意識回復のため憲法に自衛隊明記を

 国民が国防意識を回復するために、1日も早く憲法第9条に自衛隊を保有することを、書き加えなければならない。

 これは全面的に改定するのではないから、「憲法改正」というより、「憲法修正」と呼ぶべきだ。

 「親中」「媚中」が、戦後の日本の歩みを大きく狂わせた。

 1972年に田中角栄内閣のもとで、日中国交正常化性急に行われた時に、私は『文藝春秋』『諸君』の誌上で、中国は信頼できないといって、強く反対した。日本が、日中国交正常化を煽り立てる新聞世論によって、押し流されていた。

 いま、もはや「日中友好」を唱える声がきかれなくなったというのに、「子々孫々に至る日中友好」を叫んでいた大新聞から、反省の声がきかれない。

 そのかたわら、いまだに議憲派が国論を2分する力を持っている。

 憲政民主党は“憲法解釈”による、「専守防衛」を堅持すべきことを主張しているが、敵軍が日本国土に上陸するか、航空機、ミサイルが国土の上に飛来するまで、迎え撃ってはならないと説いているから、大戦末期に「一億総特攻」「本土決戦」を呼号した、狂信的な旧軍将官の再来でしかない。
 だが、枝野幸男氏をはじめとする議憲派が、そこまで常規を逸しているはずがない。

 議憲派は、どのような状況のもとでも、アメリカ軍が「子々孫々」に至るまで、日本をしっかりと守ってくれると信じて、疑わないのだろう。

 日本国憲法は、アメリカ軍の保護なしに、成り立たない。

 議憲主義は自立心を捨てて、アメリカへの甘えを表わしたものでしかない。「日本国憲法」は独立国としての誇りと、自立心を捨てた国民でなければ、憲法として戴くことができない欠陥法だ。

 議憲派は、“媚米派”である。中国であれ、アメリカであれ、外国に媚びるのは、恥しい。媚びるほど、卑しいことはない。

 このままでは、国家の存在を危ふくする。 


  安倍首相は日本のために新たな国造りをしてほしい
    Date : 2018/09/28 (Fri)
 8月にテレビ番組で、「平成がすぐに終わりますが、平成をどのようなことによって、記憶されますか?」と、たずねられた。

 私はとっさに「平成の30年の間に、憲法を改められなかったことだ」と、答えた。

 現行の「日本国憲法」は、アメリカによる対日占領が始まってから、僅か1年3ヶ月後に公布された。この「憲法」は、大日本帝国憲法を改正した体裁をとっているが、大幅な改定であって、占領軍による強要がなければ、とうてい1年で行えるものではなかった。

 私はついでに、戦後の73年を振り返ったら、どう思うだろうか、考えた。

 「日本国憲法」が公布されてから、71年になる。日本が講和条約によって独立を回復してから、66年の歳月が流れた。それなのに、なぜなのか、この憲法がいまだに私たちの上に居座っている。

 「日本国憲法」は冒頭から、大嘘で始まっている。「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの生存と安全を保持」(前文)すると述べて、すべての国が平和を愛し、公正と信義を重んじていると説いている。誰が読んでも、嘘偽りではないか。

 今日でも、政府、大手新聞・テレビは、日本が連合国に「無条件降伏」したというが、これも大嘘だ。学校教科書も「無条件降伏」したと記さなければ、検定に合格しない。

 日本は『ポツダム宣言』を受諾して降伏した

 日本は『ポツダム宣言』を受諾して降伏したのであって、「吾等ノ条件ハ左ノ如シ。吾等ハ左條件ヨリ離脱スルコトナカルヘシ」と述べて、「日本国軍隊ノ無條件降伏」のみを、求めている。事実は、名誉ある条件付降伏を行ったのだった。

 1950年6月に、占領下で朝鮮戦争が勃発すると、その2ヶ月後に占領軍は「日本国憲法」によって「陸海空軍その他の戦力」の保持を禁じたはずなのに、日本政府に警察予備隊という軍事組織の創設を命じた。

 日本はその1年8ヶ月後に独立を回復し、3ヶ月後に警察予備隊を保安隊と改称し、1954年にさらに自衛隊に改めた。

 今日、自衛隊は国際的には軍隊として認められているが、国内では政府、国会が軍隊ではないと言い張っている。日常生活でこのような詭弁は、とても許されないだろう。

 自衛隊には「普通科連隊」「特科連隊」という、一般の国民に理解できない部隊が存在しているが、歩兵と砲兵のことだ。自衛隊が軍、兵でないと偽ってきたからだ。このために、自衛隊には意味不明な用語が多い。

 占領下で連合国による、いわゆる「東京裁判」が行われ、敗戦までの日本の指導者が「アジアを侵略した罪」によって裁かれた。

 だが、連合国は敗戦翌年の5月から3年半にわたって“裁判”が行われていたあいだ、オランダ、イギリス、フランス軍が、日本が大戦中に解放したアジアの民を再び植民地支配のもとに置こうとして、アメリカに援けられて、侵略戦争を戦っていた。

 戦勝国こそアジアを侵略していた

 この事実だけでも、「東京裁判」が勝者による不法な私刑(リンチ)でしかなかったことが明白なのに、今日でも多くの国民が「東京裁判史観」という嘘を、鵜呑(まるの)みにしている。

 国民があからさまな嘘を信じて、よいのだろうか?

 ニューヨークのマンハッタンに、「ジ・ユナイテッド・ネーションズThe United Nations」と呼ばれる国際機関がある。UNの略称で知られているが、先の大戦中に日本が沖縄戦を戦っている時に、連合国が戦後世界を経営するために、サンフランシスコで誕生し、日本は1956年に加盟することを許された。

 日本では「国際連合」と訳されて、「国連」と略されているが、このような名称の国際機関は、世界のどこにも存在していない。

 もともと「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」という呼称は、ルーズベルト大統領が真珠湾攻撃直後の1942年1月1日に、日本と戦っていた26ヶ国の代表をワシントンに集めて、「ジ・ユナイテッド・ネーションズ(連合国)」と呼ぼうと、提案したことによった。

 「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」は、第2次大戦を戦っていた一方の軍事同盟の呼び名である。サンフランシスコで国際機関の「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」が結成された時に、日本と戦っていることが加盟資格とされた。

 加盟資格について「すべての平和愛好国」と規定されたが、日本、ドイツをはじめとする枢軸国と戦っていることが、「平和を愛好する国」の条件とされた。そのために、多くの国が「平和を愛好する国」として資格をえるために、日本とドイツに急いで宣戦布告した。

 「国際連合(国連)」は「連合国」の偽名だ

 マンハッタンにあるのは、連合国(ジ・ユナイテッド・ネーションズ)の本部だ。

 日本でも「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」は、敗戦の11月までは「聯合國」と正しく訳されていた。今日、日本で「国連憲章」と呼ばれる連合国憲章を起草するために、連合国の代表がサンフランシスコに参集したが、当時、日本の外務省は当然のことに「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」を、「聯合國」と訳している。

 ところが、11月から「聯合國」が「國際聯合」と曲訳されるようになった。

 連合国憲章を「国連憲章」と訳してきたが、外務省による正訳では、「国連憲章」は「われら連合国の人民は‥‥」(原文は「ウィー・ザ・ピープルズ・オブ・ジ・ユナイテッド・ネーションズ」)から始まっており、「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」を、「連合国」と正しく訳している。

 日本はうそ偽りを精神の拠り所としてきた

 冒頭で「連合国」と訳しているのに、「ザ・チャーター・オブ・ジ・ユナイテッド・ネーションズ」は、「国際連合憲章」と誤訳している。翻訳では同じ言葉を同じように訳さなければならないのに、おかしい。

 「ジ・ユナイテッド・ネーションズ」は誕生した時から、5つの公用語の1つである中国語では、「連合国(リエンホーグオ)」である。韓国と北朝鮮も「国連」を正しく、「連合国(ヨナブグク)」と呼んでいる。

 同じ敗戦国のドイツでは、ドイツ語で国際連盟が「ディ・フルカーブンド」であったのに対して、「国際連合」はドイツが戦った連合国と変わらない「ディ・フェアインテ・ナツィオネン」(連合国)と呼ばれている。イタリア語でも「レ・ナツィオニ・ウニテ」であって、「連合国」だ。

 敗戦を「終戦」、占領軍を「進駐軍」と呼んで、現実を誤魔化したように、「ジ・ユナイテッド・ネーションズ(連合国)」を、戦前あった国際連盟をもじって、「国際連合」に擦り替えたのだった。

 この誤訳のために、日本国民は「国連」が諸国の権力闘争の場でしかないのに、「平和の殿堂」だと誤解して、崇めてきた。

 日本政府も、「国連」が中心をまったく欠いているのに、つい十数年前まで「国連中心主義」を、外交の基本方針としていた。

 日本国民の精神の拠り所となってきた「日本国憲法」も、「国際連合」も、うそ詐(いつわ)りでしかない。

 日本国憲法は日本を夢遊病にしている

 日本国民は作り事の世界に生きてきたために、現実を直視する力を失ってしまっている。

 占領下では自由を奪われていたために、無法に従わなければならなかったから、仕方がなかったが、独立を回復した後も、嘘を崇める国となっているのは、なぜなのか。

 私は幼い時に祖母から嘘をつくと、閻魔様に舌を抜かれると教えられたが、日本人はあのころより全員が、はるかに冗舌になっているから、祖母の話は迷信だったにちがいない。

 安倍首相が自民党総裁選挙に出馬するのに当たって、「平成の先の時代へ向けて、新たな国造りを進めていく、先頭に立つ決意だ」と述べているのに、大いに期待したい。


  旧ソ連と同じ道を歩むか 中国の「一帯一路」計画の成否
    Date : 2018/09/25 (Tue)
 トランプ大統領が、習近平国家主席に関税戦争という、強烈な足払いをかけている。

 習主席は中国経済がアメリカ市場という脚のうえに立っているために、大きく蹌踉(よろめ)いている。

 だが、それだけではない。中国は今世紀に入ってから、かつてのソ連と同じように、自壊への道を、ひたすら驀進するようになっている。

 ソ連は1991年に瓦解した。効率が悪い計画経済によって病んでいたというのに、シベリア沿海州の開発に国力を浪費するかたわら、東ヨーロッパの衛星諸国という重荷をかかえ、第三世界に進出するために力を注ぐうえに、アメリカとの大規模な軍備競争に耐えることができなくなって、無様(ぶざま)に崩壊した。

 クレムリンの最高指導者は、マルクス・レーニン主義の予言に従って、ソ連が世界を支配するという使命感にとらわれて、身の程を知らずに世界制覇を急いだために、墓穴を掘ってしまった。

 習主席も、「偉大なる5000年の中華文明の復興」という掛け声に、自ら陶酔して、身の程を知らない、見せかけが壮大な「一帯一路」計画と、大海軍の建設を中心とした軍拡を強行しているのを見ると、第2次大戦後にソ連が進んでいた道程に、何とよく似ているだろうかと、思わざるをえない。

 中国は分離独立闘争を恐れて、新疆ウィグル自治区や、チベットをはじめとする西域や、中部、北部に、巨額の投資を行っている。

 「一帯一路」計画は、アジアからヨーロッパまで、70ヶ国近くを“幻想の中華圏”に取り込もうとする、野心的というよりも、ぞんざいきわまりない大計画だが、すでにマレーシア、ミャンマー、パキスタンなどの多くの諸国で、破綻するようになっている。

 ソ連は1950年代から、60年代にかけて、日本についで経済成長率が高かった。

 私はソ連が1957年に、アメリカに先駆けて、人工衛星『スプートニク』を軌道に乗せた時に20歳だった。その4年後に、世界最初の有人衛星飛行を行って、アメリカの朝野を狼狽させたことを、よく覚えている。

 中国では、少子高齢化が進むようになって、往年の旺盛な高度成長を支えた、豊富だった安い労働力が、失われるようになっている。ソ連では1970年代に入ってから、同じことが起こっている。

 私はかねてから、中国人は昔から「ツー(吃――食事)」、「フー(喝――飲酒)」、「ピャオ(嫖――淫らな遊女)」、「トゥ(賭――博打(ばくち))」、「チーティンシ(大聴戯――京劇)」の5つを、生き甲斐にしていると、説いてきた。清朝の歴代の皇帝も、毛沢東、周恩来、江青夫人も、江沢民元主席もみな京劇マニアだった。

 京劇は甲高い声に、耳を聾するけたたましい音曲と、大袈裟な所作による演劇で、誇大妄想を煽るものだ。習主席が好む軍事パレードや、急拵(こしら)えの航空母艦を中心とする大海軍や、絵に描いた餅のような「一帯一路」は、京劇の舞台装置を思わせる。

 現在、中国海軍は艦艇数だけなら317隻で、アメリカ海軍の283隻を上回る。

 今春、中国最初の国産空母が進水して、艤装中だが、西太后が日清戦争の前夜に、北京西郊の頤和園の湖水の岸に、巨額の国費を投じて建造した、大理石の巨船の“21世紀版”だ。西太后もやはり、京劇マニアだった。


  世界を席巻する“トランプ現象”の猛威
    Date : 2018/09/10 (Mon)
 トランプ政権があと数ヶ月で、2年になる。

 トランプ大統領のもとで世界のありかたが、劇的に変わろうとしている。というよりも、世界の仕組みが大きく変わりつつあったから、トランプ大統領が2年前の11月に登場したというのが、正しいと思う。

 トランプ候補が、大手のマスコミによって本命だとされた、ヒラリー・クリントン候補を破って、ホワイトハウス入りを遂げてからも、トランプ大統領が「暴言」を乱発し、衝動的、気紛れであって、大統領として不適格だという非難を、浴びせ続けている。

 だが、このような“トランプ現象”は、アメリカに限られているのだろうか?

 トランプ候補は「アメリカ・ファースト」を約束して当選したが、アメリカが未来永劫にわたって、世界の覇権を握り続けるという、神話を覆すものだった。「メイク・アメリカ・グレイト・アゲイン」という呼び掛けは、アメリカの国益を世界よりも、優先させようというものだった。

 トランプ政権が誕生する前に、イギリスが国民投票を行って、EU(ヨーロッパ共同体)から脱退することを、決定していた。

 このところ、EUは箍(たが)が緩んで、蹌踉(よろ)めいている。EUはヨーロッパを一つに統合しようと、目論んだものだったが、ヨーロッパでは、ハンガリー、ポーランド、スイス、オーストリア、イタリア、ラトビア、ノルウェー、ブルガリア、ギリシアで、自国の利益を優先する“右翼政党”が、次々と政権を担うか、連立政権に加わるようになっている。

 アメリカや、ヨーロッパの大手メディアは、このような動きを「ポピュリズム」と呼んで蔑み、これらの政党を「右翼政党」ときめつけて、貶(おとし)めている。

 「ポピュリズム」は、エリートと既成政党が支配していた“良識的”で、“真っ当”な体制に対して、大衆を煽動して、誤った方向へ向かわせることを、指している。

 トランプ政権の登場も、イギリスのEU脱退も、ポピュリズムによるものとされている。

 ヨーロッパでナショナリズムが復活しているのは、イスラム難民が大量に流入したためだというが、それだけではない。

 アメリカが、よい例だ。アメリカの勘定高い大企業の経営者は、“グローバリズム”と自由貿易体制を礼讃してきたが、製造部門などを中国などの低賃金の諸国へ移して、自国の労働者の職場を奪ってきた。

 トランプ候補はアウトサイダーとして、“良識ある”体制に果敢に挑戦した。

 アメリカでは“弱者”を尊重するあまり、オバマ政権下では、LGBT(レズビアン、ゲイ、両性愛者、性転換者)に、「自分が信じる性に従って、男女どちらのトイレを使ってもよい」という大統領令――法律を発した。

 日本でも同様なことがみられるが、“良識ある”体制が押しつけてきた、いっさいの“差別語”を追放しようとする、行き過ぎた“言葉狩り”が暴走して、先祖伝来の生活環境を破壊するようになっている。

 大手マスコミや学者が、「ポピュリズム」と呼んで貶めているが、“グローバリズム”を信奉する富裕層やエリートに対して、大衆が伝統的な、落ち着いた生活を守ろうとして立ち上がったと、考えるべきである。これは、大都市対地方の戦いだ、といってよかろう。

 大手マスコミや、著名研究所(シンクタンク)、有名大学は、巨大企業によって養われてきたために、ナショナリズムを嫌って、“グローバリズム”を支持している。

 だが、“グローバリズム”を支えてきた国際秩序は、アメリカが自由貿易体制を通じて、巨額な貿易赤字を負担して世界を潤(うるお)し、ヨーロッパや、アジアの同盟諸国の防衛の重荷を担ってきたことによって、成り立ってきた。

 トランプ現象や、ヨーロッパ諸国のナショナリズムを「ポピュリズム」と呼んで、敵視すれば、すむことではあるまい。


- Mag Board -