加瀬英明のコラム
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  144年も変わらぬ日韓関係 文政権が韓国崩壊を招く?
    Date : 2017/07/24 (Mon)
 韓国で、親北朝鮮の文在寅(ムンジェイン)政権が登場した。

 それでも、わが大使館とプサンの総領事館の前に設置された慰安婦像が、撤去されることはない。
 
 やれやれ、日韓関係は144年も全く変わっていないのだ。

 明治6年に、朝鮮政府が日本の唯一つの外交公館として、釜山(プサン)にあった倭館の前に、日本を「罵詈譫謗(ばりせんぼう)」(罵る言葉)を連ねた、漢文で数千字にのぼる告示文を掲示した。

 内容は、日本の明治の改革を頭から否定して、日本が儒教の礼を踏み躙り、服装を西洋式に変えたことを痛罵し、日本が禽獣以下の国だとなじるものだった。

 日本側の抗議に対して、告示文を撤去することを拒んだ。日本政府はこの無法な告示文に激昂し、西郷隆盛をはじめとする太政官が、征韓論を唱える切っ掛けとなった。

 今日、この告示文の写しが、外務省外交史料館に保管されている。

 日本で嫌韓論が募っている。いったい韓国にどう対応したら、よいのだろうか?

 私は韓国は変わらないから、あるがままの韓国を受け容れて、経済、安全保障、文化に限って、互恵関係を結ぶべきだと思う。

 アメリカにキリスト教の一派のアーミッシュの共同体があるが、電気も、電話も、自動車も、いっさいの機械の使用だけでなく、聖書以外の読書、讃美歌以外の音楽を禁じている。敬虔な愛すべき人々だ。

 イスラエルに「オーソドックス・ジュー」と呼ばれる、ユダヤ教の厳格な戒律を頑なに守る人々がいる。聖書が肌に刃を当てることを禁じているから、髭を剃らない。シャバット(安息日)――金曜日の日没から土曜日の日没まで乗り物に乗らないし、火を点じることがない。信仰心が篤い人々だ。

 アーミッシュ教徒や、オーソドックス・ジューに、生きかたを変えるように求めるものだろうか?

 反日(パンイル)が韓国民の愛国心を支えて、元気の素となっている。韓国はかつて自国を小中華(ソチュンファ)と呼んで、中国の藩属国であることを誇って、日本を蔑(さげす)んできた。その日本が韓国を追い越したのが、誇りを傷つける。

 そのかたわら、韓国民は日本の発展が羨ましい。反日の裏では、日本に憧れている。韓国には「荘(ソジュン)」という、日本語にない言葉がある。

 韓国民の心情を理解して、日本が韓国の活力の源となっていることを喜びたいものの、明治初年の日本を苦しませたのが、朝鮮半島だった。日本は朝鮮半島をめぐって、清国とロシアと死活を賭けて戦うことを強いられた。 

 いま、北朝鮮から発する脅威が、日本を戦(おのの)かせている。それだけではない。文政権によって、韓国が崩壊する可能性がある。

 私は6月にワシントンに滞在したが、政権内部の友人が「もし文政権が北朝鮮に1ドルでも渡したら、われわれは黙っていない」といった。

 「どうするつもりなのか」と尋ねたが、笑って答えなかった。おそらく韓国の国軍を動かして、クーデターで文政権を倒そうということなのだろう。

 トランプ政権は民主的に成立した政権を倒したくないだろうが、オバマ政権がエジプトで民主的選挙によって登場したムスリム同胞団政権を軍が倒したのを黙認したのと、同じことになろう。


  機能不全に陥る国連の体たらく
    Date : 2017/07/06 (Thu)
 いったい、国連は世界平和の役に立っているのだろうか? まったく立っていない。

 いったい、国連は日本の役に立っているのだろうか? 答は、国連自体が役に立たない国際機構だ。それなのに、どうして日本国民は国連を後生大事にするのだろうか?

 なぜ、国連加盟国の分担金は、それぞれ加盟国の経済規模によってきめられているのに、日本はアメリカについで2番目に大きな分担金を収めているのだろうか? 

 中国は経済規模を示す国際尺度であるGDPで、日本の2.3倍もあるが、国連分担金では第3位であって、日本の80%だ。

 第1問から答えよう。今世紀に入って起った、大きな戦争と危機をとろう。

 2001年にイスラム過激組織『アル・カイーダ』が、ニューヨークの世界貿易センタービルを攻撃して破壊した。アメリカは『アル・カイーダ』の根拠地だった、アフガニスタンのタリバン政権を倒し、イラクと戦った。

 11年にオバマ政権が、カダフィ政権のリビアに軍事攻撃を加え、2年後にシリアの反体制勢力に武器と資金を供給して、リビアとシリアを収拾がつかない混乱に陥れた。

 翌年、プチン大統領のロシアがウクライナに軍を侵攻させて、クリミア地方を奪い取って、ウクライナ東部を切り取りつつある。

 国連はこの大きな危機に当たって、蚊帳の外に置かれていた。アメリカも、ロシアも、国連が邪魔になるから、介入させなかった。

 いま、日本は北朝鮮が核実験・ミサイル試射を繰り返しているために、深刻な危機に直面しているが、そのつど国連安保理事会は北朝鮮を非難して、経済制裁決議を行ってきた。

 だが、中国は北朝鮮に経済制裁を加えることを躊躇している。それどころか、中国政府の発表によっても、今年1月から4月まで中鮮貿易額は、かえって増加している。そのわきで、ロシアは北朝鮮を援けるために石油を供給するなど、金正恩体制を支えている。

 中国が尖閣諸島に武力を行使した場合に、国連は援けてくれるだろうか? 米ロ英仏とともに、国連の最高意志を決定する安保理事国で拒否権を持っているから、国連は動けない。

 国連は“平和の殿堂”ではない。加盟国が自国のエゴを剥き出しにして闘争する、古代ローマの剣闘士のコロシアムのようなものだ。

 国連憲章からして、欠陥文書だ。「平和愛好国」を加盟資格としているが、北朝鮮や、中国や、ロシアが「平和愛好国」だろうか?

 国連が人権を援護するはずがない。北朝鮮、ミャンマー、トルコとあげても、人権を蹂躙している加盟国がほとんどだ。中国はチベット、新疆ウィグルで過酷な弾圧を行っている。

 国連は傘下に、世界保健機関(WHO)、食糧農業機関(FAO)、国際労働機関(ILO)、世界貿易機関(WTO)など、数多くの専門機関や、委員会や、研究所を抱えている。これらの機関の予算は、国連本体とは別勘定で、日本はWHOをはじめとして、アメリカにつぐ分担金を収めている。

 国連は職員全員が、1946年の「国連の特権免除に関する条約」によって、治外法権とされている。日本では報道されないが、そのために巨額の着服、横領、浪費が行われていることが、長年にわたって問題となってきた。国連は自浄能力を欠いている。

 加盟国が193ヶ国にのぼるが、多くの加盟国だけでなく、国連職員の質が悪い。5月にアメリカのAP通信社が、国連内部の機密文書を暴露したが、WHOは毎年職員の旅費だけで、何と2億ドル(約222億円)以上も、支出している。

 国連は教育科学文化機関(ユネスコ)が、中国が申請した“南京大虐殺”の記録を、「世界文化記憶遺産」として認定し、拷問禁止委員会が一昨年の慰安婦に関する日韓合意を見直すように勧告するなど、頻繁に日本に害を及ぼしている。国連は穀潰(ごくつぶ)し機関だ。


  “自衛隊の保持”を明記すべき火急の時
    Date : 2017/07/05 (Wed)
 5月3日の憲法記念日に、安倍晋三首相が2020年までに憲法を改正して、改正憲法を施行したいと述べて、第9条1項と2項をそのままにして、3項として自衛隊を保持することを加えることを、提言した。

 9条1項は「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」、2項は「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と定めている。

 私は『美しい日本の憲法をつくる東京都民の会』の共同代表を、下村博文先生、長谷川美千代先生とつとめているから、これから述べることは、私見であることを前置きしたい。

 私は第九条1、2項を改めずに、自衛隊の存在を3項として新しく加えるという、安倍首相の提言に双手をあげて賛成したい。

 北朝鮮危機が募るなかで、5月にヘリコプター搭載護衛艦『いずも』が、安保関連法のもとで米艦を護衛する任務を与えられて、横須賀を出港した。テレビのニュースで映像が放映されたが、艦尾の旭日旗が目に染みた。

 新聞や、テレビがすでに4月に入ってから、海上自衛隊と航空自衛隊が、米艦や、米空軍の爆撃機を護衛する共同訓練を実施してきたことを報道していた。

 日本の若者が生命(いのち)を賭けて、任務についているのだ。

 現行の日本国憲法は、誰もが知っているように、アメリカが占領下で自由意志を奪われていた日本に、押し付けたものだ。

 マッカーサー元帥が、占領下にあった日本について、「日本は12歳の少年だ」と公言したことは、有名だ。この発言は、占領下の日本の新聞各紙に大きく載っている。
 
 現行憲法は日本が自前の軍隊を持つことを禁じているが、アメリカは未来永劫、日本という“少年の国”を半独立国化して、アメリカが守るつもりでいた。

 護憲派の人々は、気づいていないのだろうが、恥しいことにアメリカに対する属国根性を丸出しにして、アメリカに甘えている。

 そして、多くの現行憲法を護りたいと願っている純朴な善男善女が、現行憲法は平和を願う真摯な祈りであると、信じているのだろう。

 ところが、現実は厳しい。国民の生命と安全をただ祈るだけでは、守ることはできない。

 核実験と弾道ミサイルの試射を繰り返している北朝鮮も、隙あれば尖閣諸島を奪おうと狙っている中国も、自国民の自由を力によって抑えつけている、一党独裁政権のもとにあって、自国民を武力を用いて従わせている政権は、外に対して武力を使うことを躊躇しない。

 今年は日本が対日講和条約によって、独立を回復してから、65年目に当たる。もちろん、アメリカはもはや今日の日本が12歳の少年だと、みなしていない。

 今日のアメリカは、日本が攻撃を蒙った時には、アメリカだけではなく、日本もアメリカ軍と一体になって、日本を守るために戦うことを期待している。もし、日本がそうしなければ、アメリカは日本を放棄しよう。

 日本国民は日本が危機に陥った場合に、自衛隊員が戦うことを期待している。それなのに、憲法に自衛隊の存在が書かれていないのは、自衛隊員に対して残酷なことだ。

 9条2項と矛盾しようが、火急な場合だ。自衛隊を保有することを、3項で規定しよう。


  私は韓国贔屓だ
    Date : 2017/07/05 (Wed)
 私にとって韓国は、もっとも親しい国だ。

 韓国で政権が交替した。それでも、わが大使館とプサンの総領事館の前に設置された慰安婦像が、撤去されることはないだろう。

 やれやれ、日韓関係は144年も全く変わっていない。

 明治6年に、朝鮮政府が日本の唯一つの外交公館として、釜山(プサン)にあった倭館の前に、日本を「罵詈譫謗(ばりせんぼう)」(罵る言葉)を連ねた、漢文で数千字にのぼる告示文を掲示した。

 内容は、日本の明治の改革を頭から否定して、日本が儒教の礼を踏み躙り、服装を西洋式に変えたことを痛罵し、和船でなければ入港を認めないのに、洋夷を模倣した蒸気船を用いることなど、日本が禽獣以下の国だとなじるものだった。

 日本側の抗議に対して、告示文を撤去することを拒んだ。日本政府はこの無法な告示文に激昂し、西郷隆盛をはじめとする太政官が、征韓論を唱える切っ掛けとなった。

 今日、この告示文の写しが、外務省外交史料館に保管されている。

 日本で嫌韓論が募っている。だったら、いったい韓国とどう交際したらよいのだろうか?

 私は韓国は変わらないから、あるがままの韓国を受け容れて、経済、安全保障、文化に限って、互恵関係を結ぶべきだと思う。

 アメリカにキリスト教の一派のアーミッシュの共同体があるが、電気も、電話も、自動車も、いっさいの機械の使用だけでなく、聖書以外の読書、讃美歌以外の音楽を禁じている。敬虔な愛すべき人々だ。

 イスラエルに「オーソドックス・ジュー」と呼ばれる、ユダヤ教の厳格な戒律を頑なに守る人々がいる。聖書が肌に刃を当てることを禁じているから、髭を剃らない。シャバット(安息日)――金曜日の日没から土曜日の日没まで乗り物に乗らないし、火を点じることがない。信仰心が篤い人々だ。

 アーミッシュ教徒や、オーソドックス・ジューに、生きかたを変えるように求めるものだろうか?

 反日(パンイル)が韓国民の愛国心を支えて、元気の素となっている。韓国はかつて自国を小中華(ソチュンファ)と呼んで、中国の藩属国であることを誇って、日本を蔑(さげす)んできた。その日本が韓国を追い越したのが、誇りを傷つける。

 韓国民の心情を理解して、日本が韓国の活力の源となっていることを、喜びたい。


  アメリカを見縊る北朝鮮 気になる中国、ロシアの動向
    Date : 2017/06/22 (Thu)
 5月21日に、金正恩委員長の北朝鮮がアメリカを嘲笑うように、2発の中距離弾道ミサイルを続けて試射した。

 ピョンヤンでは数万人以上の市民が、目抜き通りを埋めて動員されて、ミサイル試射の成功を手に手に小旗を振って、万歳を叫んで祝った。

 5月9日に、韓国で大統領選挙が行われて、北朝鮮に対する融和政策を公約として掲げた文在寅候補が、当選した直後の5月14日にグアム島、アラスカまで射程に収める長距離ミサイル1発を撃ちあげてから、僅か2週間以内に3発試射したことになる。

 5月14日は、中国にとって今年の最大の国際行事だった「一帯一路会議」が、北京で開幕した日だったから、習近平国家主席の顔に、泥を塗ったことになった。

 トランプ政権は1月に発足してから、もし北朝鮮が6回目の核実験を強行するか、アメリカ本土まで届く大陸間弾道弾(ICBM)の試射を行う場合には、北朝鮮に軍事攻撃を加えるといって、威嚇してきた。

 朝鮮戦争が1953年に終わってから、北朝鮮は金日成主席、金正日第一書記のもとで、米軍を攻撃するか、韓国に対してテロ事件をしばしば行ってきたが、一度として米韓から軍事攻撃を加えられることがなかった。

 大きな事件をあげれば、1968年に米情報収集艦プエブロ号を公海上で攻撃して、拿捕した。この時に、プエブロ号の乗組員1名が被弾して死んだ。その3年後に、公海上を飛行する米電子偵察機を撃墜した。

 そのつど、第2次朝鮮戦争が起るのではないか心配されたが、アメリカが自制した。

 プエブロ号事件直前に、北朝鮮の特殊部隊が越境し、ソウルの大統領官邸の青瓦台襲撃未遂事件が発生し、83年にラングーン事件、87年に大韓航空機爆破事件が起こった。韓国も北朝鮮に攻撃を加えることがなかった。

 そこで、金正恩委員長はアメリカを見縊(みくび)っているのではないか。

 クリントン政権が、北朝鮮が94年に黒鉛型原子炉からプルトニュウムを抽出すると、北朝鮮が核開発を凍結するかわりに、軽水炉を提供することで合意して、食糧援助を行った。その4年後に、北朝鮮がはじめて弾道ミサイルを実験したが、ミサイル試射を停止するのと引き替えに、再び食糧援助を実施した。

 2006年に、北朝鮮ははじめて核実験を行った。ブッシュ(息子)政権はイラク戦争に忙殺されていたこともあって、北朝鮮が6ヶ国協議に戻ることと交換して、金融制裁を解除するとともに、食糧援助を提供した。

 北朝鮮が5月21日に弾道ミサイルを連射すると、中国、ロシアも加わって、国連安保理事会が北朝鮮を非難する決議を行った。

 だが、中国はアメリカの顔色を窺っているものの、北朝鮮に対して厳しい経済制裁を加えるのを躊躇しているし、ロシアは北朝鮮に新たに石油を供給するなど援けている。

 中国にとって、アメリカが北朝鮮の核・ミサイル開発を放棄させるために、中国を頼りにしていることから、北朝鮮がアメリカを挑発するほど、中国の値打ちがあがることになる。もっとも、その塩加減が難しい。

 ロシアはアメリカが北朝鮮を威嚇することに反対して、対話によって平和的に解決することを主張している。ロシアはイラン、シリアなどの反米諸国を支援しているが、北朝鮮はそのなかの駒の一国として役に立つのだ。


  柴又の寅さん、男はつらいよ  鰻なんて食い物はな・・・
    Date : 2017/06/22 (Thu)
 4月なかばに春寒(はるざむ)も終わって、新緑が眩しくなると、旬の葉菜を味わうのが楽しい。

 中島兄哥(あにい)と姐さんを、赤坂の小料理屋のTに誘って、一献傾けた。

 兄貴に会うたびに、千軍万馬(せんぐんばんば)――あまたの戦場に臨む――の半生を送ってこられただけに、学ぶことが多い。知恵は経験から涌くことを、教えられる。

 兄貴と姐さんはいつも睦み合って、理想の夫婦(めおと)、いや婦夫(めおと)だ。

 古文では、夫婦(めおと)は女男(めおと)、妻夫(めおと)と書かれたものだった。今でも和船に使われる、両端が尖って打ち合わせる釘は、女男(めおと)釘(くぎ)と書かれる。

 夫が妻に向って、妻が良人(おっと)に向って心の礼を重んじる。男女のあいだでは、形の礼よりも、心の礼が大切である。

 兄貴と姐さんは、日の本のよき妻夫(めおと)だ。伊(い)奘(ざな)諾(ぎ)と伊邪冉(いざなみ)の風(なぎ)と波(なみ)の男女の二神が、戯れあっているうちに、恋におちて、麗しい日本が生まれた神話を、目の当たりにするようだ。

 それにしても、某省政務官のように、道義をまったく心得ない政治屋がいるが、不徳の輩が絶えないのは、残念なことだ。

 明治の新聞小説の第一人者だった村井弦斎が、「結婚した後は酒道楽や女道楽勝手次第、自分の妻や子に対して一片の温情がない人も沢山いる。自分の一家を斉(ととの)える事も出来ない人が、一国の政治を論議するなんぞ大(おおき)な顔をしているし、自分の家庭を神聖にする事も出来ないで、青年を教育すると威張る先生もある」と、慨嘆している。

 私は母方の祖母と母親から「男は台所に入ってはならない」「何でも感謝して食べて、美味しい不味いといってはならない」と厳しく躾けられたので、美食を蔑むように育った。

 祖母は会津の武家の血を、ひいていた。それに戦時中、占領下で、食糧事情が悪かった時代の子供だったので、食事といえば腹を充たせばよく、舌で味わうよりも、口で味わうのが、いまだに癖となっている。

 柴又の寅次郎『男はつらいよ』シリーズのなかで、おいちゃんが宇野重吉が扮する男に、「鰻(うなぎ)なんて食い物はな、額に汗して働く人間には、1年に2度かそこらか、何かよほど芽出度(めでた)いことがあった時に、今日は蒲焼でも食べようかって、大騒ぎして食うもんだ」と、意見する場があったのに、大いに共感したものだった。

 幕末生れの祖母と、明治生れの父親の影響なのだろうか。

 それでも、仕事で料亭で御馳走になるうちに、和食を好むようになった。Tには40年も馴染みの客となっているが、酒道楽はしたことがあっても、女道楽をしたことがないから、赤坂の艶(えん)として鳴らした名妓だった女将に、岡惚れしたからではない。

 私たち日本の精神文化の最大の特徴を、ひとことでいうと、清浄感だ。

 和食は淡白で、できるかぎり自然をそのまま取り入れている。素材の味を損なわずに、山や森や、川や海の霊気が宿っており、季節と自然の恵みを楽しむ。

 和食では何よりも季節を大切にするが、Tでも座敷に季節ごとに合う掛け軸がかけられている。

 欧米で高級レストランに招かれると、壁にいつも同じ高価な油絵が掛けられていて、季節によって替えないから、興がそがれる。

 中華や、フランス料理はさまざまな素材を用いて、もとの素材にない味をつくりだす。化学の実験のようだから、なじまない。

 日本人の美意識は、雅(みやび)にある。派手なものや、金銀のように光るものを嫌ってきた。雅(みやび)の語源は、平安朝の「宮び」からきているが、そこはかとない、ほのかな美しさや、香りを尊んだ。

 『源氏物語』は雅(みやび)の文学だが、「風涼しくてそこはかとない虫の声が聞こえ」(帚木)というように、抑えられた美である。和食も、そこはかとない隠し味を、楽しむ。

 自然は自分をそのまま、見せる。誇張することがない。

 兄貴の姐さんが匂(にほ)やかに微笑むたびに、座が和(なご)む。兄貴夫婦は明るさを春の空と、分かち合っているようで、気風(きっぷ)がよい。

 始終愚痴をぶつけ合っている夫婦が多いのに、お2人は毎日、天上で生活しているような、心持ちでおられるのだろう。

 Tの女将も、姐さんも、深水の絵から抜け出たように美しい。床の間に美女の精が宿ったような、一茎の花が飾られていたが、3輪の花が競っていた。小生にとって、まさに一生一夢だった。

 式部が『源氏物語』の「雨夜のさだめ」のなかで、美女が少ないことを嘆いているが、もしこの場にいたら、筆運びが変わったはずだ。

 それにしても、今の日本では、女らしくない女ほど悦ばれる世相なのか、娘となっては淑女、嫁いだら良妻がいなくなった。惣菜1つ作ることができず、衣服も縫えないのに、心掛けだけが生意気なのだから、煮ても焼いても、食えない。どこを見ても、偽造の女ばかりだ。

 女は料理に長けていなければ、程(ほど)と加減を知らないから、夫婦関係も、男女関係もすぐに破綻する。

 そこへゆくと、愚妻は式部に「雨夜のさだめ」を書き直す労をとらせることがないが、夫の餌づけ――料理となると、得意だ。

 兄貴が別れぎわに、京都のとれたての見事な筍を、贈ってくれた。

 わが家に戻ってから、待っていた愚妻としばし見惚れた。一瞬、兄貴と姐さんのように、夫婦は竹藪のように根がしっかりと繁っていることを教えるために、筍を選んでくれたのだろうかと、思った。

 藪医者にもなっていない、未熟な駆け出しの医者を筍医者という。まさか、私が筍評論家だというお叱りでは、なかっただろう。

(中島繁治氏は日大OB誌『熟年ニュース』主催者)


  渡部昇一先生を野辺へ送って
    Date : 2017/06/13 (Tue)
 親しい人が逝ってしまうと、自分のなかの大切な一部が欠けたように感じる。

 4月に、渡部昇一先生が亡くなった。先生は天の日本への贈物だった。

 先生は私より6歳年上だった。私は先生の訃報に接して、新約聖書のキリストの有名な「わたしが来たのは、彼らがいのちを得、それを豊かに持つためです」という言葉を思った。先生は英国とドイツに留学され、英語、ドイツ語に通じられていた。 

 私は英語とドイツ語の聖書で、この言葉を読んでみた。英語訳ではI have come that men may have life and they have it in all its fullness.ドイツ語だとIch bin gekemmen, damit sie Leben haben und es in Fulle haben.となっている。

 生命力の限りに生きろ

 生命を持つ、have, haben.人はキリストがやって来たことによって解放されたから、生命力の限りに生きろという、血をたぎらせる力があるが、日本語ではあたかも生命が共有物であって、生命を持たされているように、弱々しい。

 渡部昇一先生の士魂とは

 先生は明治維新をもたらした幕末の志士のように、強烈な個性を持っておられた。いつ、日本人は集団のなかに埋没して、自分を尊ばなくなったのだろうか。

 日本の大衆は付和雷同して、そろって「風」に流される大きな欠陥がある。昭和に入って大衆社会が到来し、とくに敗戦後、士魂が失われたために、国民が風潮によっていっそう弄(もてあそ)ばれるようになった。

 江戸時代には、「お蔭(ぬけ)参り」現象が周期的に発生した。天から伊勢神宮のお札が降ってきたという流言がひろがり、大きなものでは、毎回2、300万人が、子は親に、妻は夫に、奉公人は主人に断わりなく飛び出して、奔流のようになって踊り歌いながら、神宮へ向かった。

 お蔭参りには、武家も、その家族も加わらなかった。江戸期の流行神(はやりがみ)現象も、同じことである。ある神社、仏寺か、祠に詣でると、御利益がえられるという噂がひろまると、参詣客がそこへ一時だけ殺到する。

 日本国民には群集心理によって、左顧右眄する弱点がある。

 70周年を迎えた現行憲法の正体

 この5月に現行憲法が施行されてから、70年目の記念日が巡ってきた。

 現憲法の「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、安全と生存を委ねれば安心だ」という前文は、占領軍が流した流言蜚語でしかないのに、現行憲法をいまだに崇めている国民が多い。

 渡部先生はたゆまず知を磨かれ、世論に媚びることなく、信念を貫かれた。

 森鴎外が明治14(1911)年に、「時代は東西両洋の文化を、一本づゞの足で踏まへ立ってゐる学者を要求する」(『鼎軒先生』)と、説いている。

 先生はまさに東西両洋を踏まえた、碩学でいられた。

 それでいながら、先生は江戸の粋を身につけられていた。和服姿が似合われた。

 ときおり馴染みの洋食や、和食の食堂に誘って下さったが、そのつど帰る時に、店主に小さな祝儀袋に入れた心付けを、渡された。

 『立て! 日本』

 いまから18年前に、先生は私との対談本『立て! 日本』(高木書房)のあとがきで、こう書いて下さった。

 「加瀬さんは私より年下だが、ジャーナリズムに登場されたのは、私よりもずっと早い。そしてユニークなのは就職先を示す肩書きがないことである。外交や政治や歴史の評論をする人は、たいてい大学で教えているとか、いたとか、新聞記者だとか、だったとか、何かしら給料をもらう仕事についている人、あるいはついていた人が多い。しかし、私の知る限り、加瀬さんは大学教授とか助教授とかの肩書きをつけたことがない。(略)」

 「大学であれ、新聞社であれ、研究所であれ、役所であれ、そこに勤めることは給料をもらう。給料のみで生きる人を、英語ではデペンデントであるといい、左翼的用語で言えばプロレタリアートである。これと反対に、どこかに勤めるという形で自分の労働(知的労働であれ、肉体的労働であれ)を売る必要のない人は、有産階級、英語で言えばインデペンデントな人ということになる。よき時代のイギリスには、こういうインデペンデントな思想家・著述家が、たくさんいた。

 独立自尊の活動

 われわれが知っている19世紀から20世紀にかけての有名なイギリスの著述家・思想家の名前をあげると、そこに大学教授の肩書きのある人がほとんど一人も見つからないことに気付く。(略)こういう人が多くいたことが、イギリス文明の世紀を作ったと言える。インデペンデントな身分で学問し著作する人を――詩や小説の分野は別であるが――ジェントルマン・スカラーと言う。インデペンデントだから、インデペンデント(独立自尊)な知的活動ができる。この意味で加瀬さんは現在日本では、ほとんど唯一人のジェントルマン・スカラーであると言えるかも知れない。(略)

 加瀬さんは極めて豊かな人脈、情報源を国の内外に持ち、またよく勉強し続けてこられて、その思考は常にインデペンデントであった。時流におもねることなく、信ずることを述べてこられたように見える。長い言論人としての生活において、加瀬さんが取り消さなければならない過去の発言は、おそらく皆無であろう。(略)」

 石原萠記先生とのお別れ 

 2月に、石原萠記先生が92歳の天寿を全うされた。私より干支で1回り歳上だったが、半世紀にわたって漢籍でいう忘年交の交際を賜わった。

 先生は20代から社会主義運動に邁進され、日米、日ソ、日中、日台、日韓間の絆を強めるために努められたかたわら、月刊誌『自由』を創刊されて、出版人として世論を矯正すべく、力を盡された。

 いまから33年前に、先生から「お願いがある」といわれ、雑誌『自由』編集委員会代表を引き受けることを頼まれた。もちろん、先生の頼みだから、詳しいことも尋ねずに引き受けた。竹山道雄先生が亡くなられたあとを、継いだ。委員会代表といっても、何も仕事がなかった。

 『自由』が廃刊になるまで、しばしば右寄りの人々から「なぜ左の雑誌の代表をつとめるのか」と、詰られた。私は「右も左も同じ日本人じゃないですか」と答えた。

 『サンドイッチマン』は戦後生活史の歌

 先生は歌をうたわれるのが、好きだった。新宿に労組幹部の溜り場だった『萌木(もえぎ)』というスナックがあったが、先生はかならず十八番(おはこ)の『サンドイッチマン』を歌われた。戦後日本が焼け跡から立ち上った、復興期の戦後生活史の歌の一つだった。

 石原先生も、暖かい心を持っていた。ほとんどの日本人が頭だけで考える、世知辛い社会になりつつあったなかで、心を用いて生きていられた。頭だけが主役となった、効率だけを追う社会が到来するなかで、時代に遅れたところを持っていられた。

 人間であることを見失ってはならない

 今日の日本は人間社会が、貨幣社会にいっそう近づくようになっている。人がAI――人工知能に似て、息苦しい社会が生まれようとしている。ロボットには、心を分かち合う家族も、友達もいない。

 今年は、夏目漱石の生誕150年に当たる。漱石は西洋によって強いられた文明開化の濁流によって、日本人から徳目が奪われてゆくのに憤った。

 「今の世で神経衰弱にかからぬ奴は金持ちの愚鈍なものか、無教育の無良心の徒か、さらずば二十世紀の軽薄に満足するひょうろく玉に候」と、門下生だった児童文学作家の鈴木三重吉へ手紙を送っている。

 このごろの人は身勝手な幸せを追うために、かえって自分を傷つけているが、幸せはあくまでも努力した結果として、ついてくるものだということを、先生の世代の先輩たちから教えられた。


  日本射程の北朝鮮ミサイル、国家存亡の危機
    Date : 2017/06/12 (Mon)
 硫黄島は本土から1300キロ離れている。栗林忠道中将が率いる小笠原兵団が、アメリカ軍に対して健闘して玉砕したが、アメリカ軍にわが軍の戦死者よりも多い出血を強いた。

 だが、日本は硫黄島を奪われた時に、命運が盡きた。硫黄島から飛来するP51戦闘機が小学生にまで、機銃掃射を加えた。

 東京から朝鮮半島の日本海側の南北軍事境界線(DMZ)まで1000キロ、ピョンヤンまで1300キロ、九州から黄海側のDMZまで500キロしか、離れていない。

 このままゆけば、朝鮮半島で戦争が始まる可能性が、高まっている。日本は戦後最大の窮地に、立っている。

 アメリカ鷲と中国龍が、4月6、7日に、フロリダのトランプ別荘で対決した。

 初日の午後8時40分(フロリダ時間)に、地中海に浮ぶアメリカの2隻の駆逐艦から、ミサイルがシリア空軍基地に撃ち込まれた。

 私たちはテレビの映像で、夜闇のなかをアメリカの駆逐艦から巡航ミサイルが閃光に包まれて、発射されるのを見た。

 トランプ大統領が習主席に「いま、シリアへミサイル攻撃を加えた」と告げて、支持するように求めた。習主席は一瞬、呆然としたが、「多くの赤ん坊が殺されたから、仕方がない」と力なく答えた。習主席に随行した幹部のうち何人か、唖然としたにちがいない。

 この数時間後に、ロシアがアメリカのシリアに対するミサイル攻撃は侵略行為だと、激しく非難した。
 
 中国は2ヶ月前に国連安保理事会で、シリアのアサド政権が2013年から化学兵器を用いたという化学兵器禁止機関(OPCW)の調査結果にもとづいて、シリアへ制裁を加える決議案が提出されたのを、ロシアとともに拒否権を行使して、葬ったばかりだった。

 習主席は自分と、プチン大統領の顔に泥を塗ったのだった。

 習主席は今秋の第19回共産党大会で、中国13億人の「核心」である最高指導者として、もう1期5年選出されるために、アメリカとできるだけ波風をたてたくなかったから、トランプ大統領にとっさに媚びたのだった。

 トランプ大統領は習主席に北朝鮮の核ミサイル開発を阻むために、中国がよそ見せずに、真剣に協力するように求めた。それでなければ、アメリカが「ゴー・イット・アローン」(単独で行動する)といって、凄んだ。

 北朝鮮に龍をけしかけたのだが、ここしばらくは中国の出方を見守ろう。

 アメリカは原子力空母『カール・ビンソン』を中核とする機動打撃群を、朝鮮近海へ急行させた。北朝鮮は怯んで、予定していた6回目の核実験を半年か1年か、延期したにちがいない。

 アメリカはシリアへミサイル攻撃を加える2時間前に、ロシア軍要員を殺傷することがないように、ロシアへ通告した。シリアへのミサイル攻撃は、あきらかに北朝鮮に対する警告だった。

 トランプ大統領は、オバマ政権が中国という暴れ龍を仕付けることを怠り、北朝鮮の核・ミサイル開発を放置していたツケを、支払うことを強いられている。

 私はトランプが大統領選に勝ったのを、喜んだ。もしヒラリー夫人が勝っていたら、オバマ政権の8年間の対外政策の無策が続くことになって、世界がいっそう安定を失うことになったろう。

 トランプは予測不能だ。それに選挙事務所にレーガン大統領とジョン・ウェインの等身大の写真を飾って、「メイク・アメリカ・グレイト・アゲイン」と叫んでいたが、「メイク・アメリカ・タフ・アゲイン」と聞こえた。

 トランプ大統領は、北朝鮮がアメリカまで届く核ミサイルを完成することを、「絶対に許さない」といって、北朝鮮が核実験を強行したら、核施設を攻撃することになろう。

 いったい、北朝鮮は何を求めているのだろうか?

 北朝鮮は何よりもアメリカと交渉して、アメリカが北朝鮮を核保有国として認めさせ、米朝間に国交関係を結ぶことによって、金王朝の存続を保証することを、強く望んでいる。
 ところが、トランプ政権は「北朝鮮が核開発を放棄しないかぎり、話し合いに応じない」と、繰り返し言明している。

 3月6日に、北朝鮮が4発のミサイルを発射して、3発が秋田県沖合に弾着した直後に、北朝鮮は「在日米軍基地を狙った演習だった」と声明した。日本の沖合に4発とも落すつもりだったが、1発が外れたにちがいない。

 4発のミサイル発射は、北朝鮮のアメリカへの熱烈な“ラブコール”だった。

 その7日後にマレーシア空港で、異母兄の金正男氏を、VXガスを用いて暗殺した。なぜ、他の毒物をいくらでも使うことができたのに、そうしなかったのか。VXガスを大量に貯蔵していることを、示したかったのだ。

 おそらく、安倍首相がアメリカの袖に縋って、北朝鮮と話し合うように哀願することを、期待したにちがいない。

 4月13日に米大手テレビが、「トランプ政権が北朝鮮が核実験を行う確証をえたら、先制攻撃を加えることを決定した」と、報じた。北朝鮮は「最高指導部が判断した時に、いつでも核実験を実施する」と反発した。

 朝鮮半島は一触即発だ。トランプ大統領と、金正恩朝鮮労働党委員長の予測不能の2人が、朝鮮半島と日本に戦火を招こうとしている。

 ところが、日本の国会は朝鮮半島の危機が刻々と募っていたのをわきに、米国に任せておけばよいと、与野党ともに属国根性を丸出しにして、4月に入ってからもわずらわされることなく、森友学園問題におもしろおかしく没頭していた。

 5月3日には、日本国憲法が70周年を迎える。アメリカが70年前に日本を属国とすることをはかって、押し付けたものだ。

 私は「平和無抵抗憲法」と、呼んでいる。きっと護憲派が全国にわたって、属国憲法の記念日を祝う集会を催すことだろう。属国根性で国民の生命を守れない。私は日本国憲法や、森友学園の籠池夫妻と心中したくない。

 4月15日は、金王朝の創始者の金日成主席の生誕105周年を祝う「太陽節(テャンチョル)」だった。ピョンヤンで新型のミサイルが次々と登場し、“虎の子”の部隊が行進した。

 雛壇から朝鮮労働党副委員長が、「核戦争には、核攻撃で応える!」と、叫んだ。

 大型のミサイルが登場すると、世界でもっとも若い、33歳の最高指導者である金正恩委員長が、お気に入りのオモチャ箱の兵隊を見るように笑顔となった。

 この夕方、岸田文雄外相が記者団に、「いかなる事態にも対応できるように、万全の態勢を整えている」と、語った。

 トランプ大統領は北朝鮮が核実験の準備に取り組むか、アメリカまで届くICBM(大陸間弾道弾)の試射をはかる場合に、先制攻撃を加えると、繰り返し警告している。

 アメリカが北朝鮮の核施設とミサイル基地を摘出する、限定的なサージカル・ストライク(外科的攻撃)を加えたら、北朝鮮は体制の威信を賭けて、南北軍事境界線から45キロしか離れていないソウルを砲撃を開始し、日本へ向けてミサイルを発射しよう。韓国にある多数の原発が被弾したら、偏西風に乗って、日本全国が放射能によって覆われる。

 1950年から3年にわたった朝鮮戦争の再演には、ならない。北朝鮮は全面戦争を戦ったら国家的自殺になるから、開戦5、6日以内に国際世論を背景にして、国連、中国、ロシアが間に入って、停戦が成立することを見込もう。

 北朝鮮が日本へ多数のミサイルを、同時に撃ってきたら、日本は迎撃して全て破壊する能力がないから、ひたすら耐えるほかない。

 岸田外相が「万全の態勢を備えている」と述べたが、前大戦で米国が日本全土を空襲する前に、軍部が「来るなら来い! 我に鉄壁の備えあり」と、豪語したのと変わらない。

 トランプ大統領は核実験を強行するか、アメリカまで届くICBMを試射する確証をえたら、先制攻撃を加えると警告している。「アメリカ・ファースト」――「アメリカの安全(アメリカン・セイフティ)ファースト」なのだ。

 日本が頭から火の粉をかぶることになるが、トランプ政権は、剣道でいえば「肉を斬らせて、骨を斬る」ことになる。肉は日本だ。

 いつ、朝鮮半島に火の手があがることになるのだろうか。私は時間的な余裕が、まだ1年か、2年あまりあると思う。

 中国の習近平主席は「偉大な5000年の中華文明の復興」、英訳すれば「メイク・チャイナ・グレイト・アゲイン」と叫んで、中国国民の人気を博してきたのに、北朝鮮のおかげでアメリカに対して威張れなくなった。

 といって、米国のいうままになって、北朝鮮に核開発を放棄するように、真剣になって迫ることはしまい。

 北朝鮮が核開発を放棄することはありえない。核やミサイル実験を行わなくても、性能を高めることができる。このまま進んでゆけば、アメリカはいずれ北朝鮮を攻撃することとなろう。

 国会は与野党が一致して、ミサイル迎撃システムを強化し、北朝鮮のミサイル基地を攻撃する能力を保有するために、防衛費を画期的に増額することを、集中審議すべきだ。

 72年前に、朝日新聞と狂気に取り憑かれた軍人たちが、日本精神さえあれば「神州不滅」だと叫んで、「一億総特攻」をあおった。護憲派が「平和憲法」さえあれば、「日本は不滅」だと説いているが、72年前に「一億玉砕」の道を突き進んでいた亡霊が、さまよっているとしか思えない。

 戦後の日本は弱いことがよいという風潮によって覆われてきたが、一刻も早く改めよう。


  「個人」や「幸福追求権」のおぞましさ
    Date : 2017/06/02 (Fri)
 「日本国憲法」であれば、いうまでもないことだが、日本の2000年以上の歴史が培ってきた生活文化に適っていなければならない。

 だが、外国人であるアメリカ人が書いて、占領下にあった日本に強要したから、文化を全く異なっているし、翻訳臭がひどくて、私たちになじまない。

  第13条【個人の尊重・幸福追求権・公共の福祉】すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 「個人」という言葉は明治に入ってから、西洋諸語を翻訳するために、新しくつくられた「明治訳語」だから、いまでも日本人の心に根づかない。江戸時代が終わるまで、日本人は人と人との絆(きずな)のなかで生きていたから、一人の孤立した人間として人を意識することがなかった。「個人」ではなく、「人間の尊重」「人間として尊重」でよいではないか。

 「幸福追求権」にいたっては、不平不満をあおって、かえって人を不仕合せにするから、憲法のなかでうたうのは、おぞましい。

 西洋で「幸福追求権」が、法律によって定められるようになったのは、日本で江戸時代に当たったが、支配階級による庶民の収奪と搾取が酷かったために、近代に入って人権や平等が求められるようになってからだ。

 イギリスの詩人ウイリアム・ブレーク(1757年〜1827年)は、ロンドンを流れる「テームズ川のほとり、私の出会った顔にはどれも弱々しさと、呪いの烙印(らくいん)が刻まれていた」と嘆き、もう一人の著名な作家オリバー・ゴールドスミス(1728年〜1774年)は、「富が積まれ、人は衰えゆくところ、国の歩みは道をはずれ、ますます悪の餌食(えじき)となる」と、憤っている。

 明治初年のお雇い外国人の一人だった、イギリスのウイリアム・ディクソンは明治9年に来日したが、「日本では西洋の都会にみられる、心労によってひしがれた顔つきなど、まったく見られない。老婆から赤子にいたるまで、誰もがにこやかで満ちたりている。まるで世の中に悲哀など存在しないかのようだ」と、書いている。

 世界のなかで江戸時代の日本ほど、庶民が物心ともに豊かで、自由を享受していた社会はなかった。庶民は武士よりも恵まれた生活を営んでいた。庶民はよく働き、よく遊んだ。

 歌舞伎は世界でもっとも絢爛豪華(けんらんごうか)な舞台芸術だが、庶民のもので、武家は観劇を禁じられていた。ゆとりがあったから、庶民は芝居、見世物、辻相撲、落語、楊(よう)弓場(ゆみば)から、活花(いけばな)、茶会、香道、書道、囲碁、将棋、園芸、花火、食べ歩き、団体旅行などの多くの余暇を楽しんだ。

 今日の日本はどうだろうか。このごろの人は身勝手な幸せを追うために、かえって自分を傷けて、不平不満をかこつている。幸せはあくまでも努力した結果として、ついてくるものだ。

 ついこのあいだまで、日本人は無事息災(健康で生活に障りがないこと)のありがたさに感謝し、損得で幸せを計ることがなかった。たしかに、幸福を享受している時には、意識されない。幸せは心のなかにあるもので、物のなかにはな
い。

 今日の多くの日本人が、「人生は楽の連続でなければならない」と、誤解している。これでは人生の真実から、ほど遠い。     

 憲法から「幸福追求権」を、削除したい。


  米朝の間に入ることを強いられた中国 それでも核開発を続ける北朝鮮
    Date : 2017/05/22 (Mon)
 私は北朝鮮が、向う6ヶ月は核実験を行うことはないと、予想している。

 トランプ大統領は4月に習近平主席とフロリダで会談して、中国に朝鮮半島危機について下駄を預けた。中国という龍を北朝鮮に、けしかけたのだ。

 習首席は9月に開かれる19回共産党大会で、もう1期5年再選されることを最優先しており、それまでアメリカとの間に波風をたてたくないから、トランプ大統領に不本意であるが、従わなければならない。  

 習氏はアメリカに位負けして、帰国した。トランプ大統領はその時、習氏と3回4時間会談したが「きわめて良好な信頼関係を築いて、満足している」と、語っている。

 習首席は9月までは、朝鮮半島がアメリカの軍事攻撃を蒙って爆発することがあってはならないから、北朝鮮に自制するように強く求めることとなろう。

 といって、アメリカの言うままになって、ホワイトハウスの庭に飼われている。ポチ籠にはなりたくない。アメリカと北朝鮮との板挟みになって、苦慮している。

 アメリカは、中国に圧力をかけることも忘れていない。ティラーソン国務長官が韓国、日本を訪問した足で、インドネシアをまわって、南シナ海問題について協議した。原子力空母『カール・ビンソン』を中核とする機動部隊は、オーストラリア、インドネシアを経て、4月末に長崎県沖合に現れた。

 トランプ大統領はオバマ政権が8年にわたって、北朝鮮の核・ミサイル開発を放置して、中国が南シナ海に次々と人工島をつくって軍事化するのに、よそ見をしてきたツケを、支払うことを強いられている。

 北朝鮮は11年前に核実験をはじめて行ってから、これまで5回実施してきた。

 現在、核弾頭を20発あまりもっており、6、7週間ごとに1発生産する能力があり、2025年までに100発を保有することになろうと推定されている。アメリカ西海岸まで射程に収めるICBM(大陸間弾道弾)を完成するのも、時間の問題とみている。

 トランプ政権は時間との競争だと見て、何としてでも北朝鮮に核開発を放棄させようとしている。北朝鮮が大量の核弾頭を持ったら、外貨稼ぎのために、中東や、南米の不法な諸国に輸出することになると、恐れている。

 トランプ大統領は習首席がフロリダを訪れた時に、北朝鮮と中国に対してアメリカの決意を示すために、シリアへミサイルを撃ち込んだ。

 だが、北朝鮮の金正恩委員長は、核開発を行ってきたのが正しいという、確信を強めたにちがいない。北朝鮮が核兵器開発に着手したのは、核兵器なしに体制を守ることができないと、決めているからだ。リビアのカダフィ政権がオバマ政権の軍事攻撃を蒙って倒されたのは、クリントン政権時代にアメリカの甘言によって騙されて、核開発を放棄したためだった。 

 シリアのアサド政権も、オバマ政権が反体制派に武器と資金を供給することによって、内戦を招いたが、もし核兵器を持っていたとしたら、アサド政権にも、イラクのフセイン政権にも、手出しできなかったはずだ。

 今後、北朝鮮が核実験を行うことを控えれば、核開発の速度を遅らせることができよう。だが、実験しなくても、核弾頭の小型化や、性能を向上することができる。


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