加瀬英明のコラム
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  日本を守るD 迎撃システムを緊急整備せよ
    Date : 2017/12/11 (Mon)
 トランプ政権が北朝鮮に先制攻撃を加えることがなければ、来年も高い緊張が続こう。

 それとも、北朝鮮は経済制裁によって崩壊するだろうか? この冬、北朝鮮は凶作によって深刻な危機を迎えるといわれる。

 だが、自壊しまい。クリントン政権は金日成首席が死亡して、金正日総書記が継ぐと、北朝鮮で飢饉によって100万人以上が餓死していたので、ほどなく崩壊すると判断して、北朝鮮が核開発をしないと約束したために、経済援助を与えた。

ところが、北朝鮮は人口が2000万人台と小さいために、体制が揺らがなかった。

 歴史を振り返ると、朝鮮半島では苛酷な政治が行われていたが、人口が大きな中国で王朝が頻繁に交替したのと違って、新羅(紀元前57年〜935年)、高麗(918年〜1392年)、李氏朝鮮(1392年〜1910年)も人口が少なく統制しやすいために、それぞれ400年以上続いた。

 このあいだ、日本はどうすべきか。北朝鮮からの脅威は、弾道弾しか考えられない。北朝鮮が航空機を用いて日本を攻撃することはありえない。特殊部隊が上陸してきても、対応できる。

 だが、弾道弾は人にたとえれば生真面目で、きめられた道を愚直に進んでくるから、迎撃ミサイルによって撃破できる。

 航空機や巡航ミサイルは、右へ左へ高く低く自由自在に飛ぶから、撃破するのが難しい。北朝鮮はハイテクの巡航ミサイルを持っていないし、航空機はすべて旧式だ。

 ところが、日本は弾道弾を迎撃するために、海上自衛隊のイージス艦を除けば、北海道から沖縄まで僅か17セットのPAC3しか保有していない。東京をとれば、防衛省の構内に1セット配備されているが、せいぜい半径30キロメートルしか守れない。

 米国から陸上配備型イージスや、PAC3などの最新システムを緊急輸入して、弾道弾に対する守りを固めるべきだ。

 トランプ大統領が来日した時に、米国製兵器を「押し売りした」といって非難するのは、世迷い言(ごと)だ。国民の生命を軽んじている。有難く買わせていただこう。

 日本国憲法の解釈による「専守防衛」は、国民の生命を危険に曝している。北朝鮮を攻撃できる能力を、急いで持つべきだ。自滅的な「専守防衛」にこだわって、悲惨な本土決戦を戦うことを選んではなるまい。


  日本を守るC トランプ アジア歴訪 勝者と敗者
    Date : 2017/12/11 (Mon)
 トランプ大統領のアジア歴訪の旅のいまのところの勝者は、安倍首相だ。

 習近平国家主席が自己採点したとすれば、自分が勝者だったと満足したはずだ。

 習主席は中国の最高指導者として、はじめてアメリカの大統領を親しく北京の歴代の皇帝の宮殿だった故宮を、得意気に案内した。

 故宮には9000もの部屋がある。習主席は自分がアメリカと対等な中国の全能の皇帝になったことを、印象づけたかったにちがいない。

 ところが、商人だったトランプ大統領は、取り引き相手をおだてるのに長けている。習主席に甘言を並べて誉め殺した。

 すると、習主席は赤ん坊があやされたように、満面笑顔になって舞い上がって、ふだん尊大に構えているのに、小者であることを露呈した。毛沢東が1972年に訪中したニクソン大統領を引見した時に、目上のように振舞ったのと対照的だった。

 習主席はトランプ大統領が北朝鮮に核開発を放棄させるために、「最大限の圧力をかける」ことに賛成しつつも、「対話によるべきだ」と繰り返し、北朝鮮へ石油供給を全面的に停めることに反対した。

 中国は北朝鮮を締め殺したくない。アメリカは北朝鮮の脅威があるかぎり、中国の協力を求めねばならないから、脅威がなくなったらアメリカの圧力が中国に向かってこよう。

 韓国の文在寅大統領が敗者となった。終始独立国の大統領として威厳をつくろったが、日米韓が北朝鮮に最大限の圧力を加えることに合意したものの、対話を説いて軍事攻撃を加えるのに反対し、足並みを乱した。

 文大統領はハノイのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)と、マニラのASEAN(東南アジア諸国連合)サミットでは、韓国語で「トイレに入る前と後では、気分が変わる」というが、中国に擦り寄って蝙蝠(こうもり)外交を行った。韓国民は大昔から「事大主義」といって、強者に媚びる国民性がある。

 私と親しいペンタゴン(アメリカ国防省)幹部は、「われわれはムンジェイン(文在寅)の斬首作戦を行いたい」といって、笑った。

 トランプ大統領はハノイ、マニラで、「自由で開かれたインド太平洋」を主唱した。安倍首相が5年前から提言してきた、「自由と繁栄の弧」を借りたものだった。

 トランプ大統領のアジア歴訪によって、誰もが国際政治家としての安倍首相の存在が一回り大きくなったことを、認めざるをえまい。


  日本を守るB 日本を守ってきたのは“平和憲法”ではない
    Date : 2017/12/11 (Mon)
 私はこの連載をワシントンで、書いている。

 トランプ大統領が12日にわたるアジア歴訪の旅から戻った日に、ワシントンに着いた。

 トランプ大統領はアジア戦略についてズブのアマチュアだったから、安倍首相が描いた台本(シナリオ)にそって踊らなければならなかった。トランプ氏が安倍一座の役者となった、といってよかった。

 両首脳は赤坂迎賓館の池で、並んで緋鯉に餌をやった。安倍首相が予定を急いで、餌が残った袋を逆さにして池にあけたところ、トランプ大統領も慌てて真似て、袋を逆さにして子供のように従った。

 安倍首相はトランプ氏が当選した直後に、トランプタワーに駆けつけて、2人のあいだに“個人的な”友情を結んで以来、国際政治の先輩・後輩のような絆をつくってきた。

 安倍首相はトランプ大統領を東京で、かつてなかったほどまで厚遇した。韓国も中国も日本に負けていられなかったから、慌てて日本に倣わねばならなかった。アメリカの大統領がかつてアジア各国で、これほど厚い赤絨毯のうえを歩いたことはなかっただろう。

 もっとも日本としては、北朝鮮の脅威が刻々と募るなかで、アメリカに縋りつくほかなかったから、トランプ大統領を最大限に歓待せざるをえなかった。日本は“平和憲法”の専守防衛によって縛られて、北朝鮮と戦う能力をからっきし欠いているから、アメリカに頼るほか生き延びる方法がない。

 日本が独立を回復してから、今日まで日本を65年にわたって守ってきたのは、「日米同盟」といわれる日米安保条約であって、日本国憲法ではない。どうして、こんな簡単なことが理解できないのだろうか。

 日本国民がきな臭いことを嫌うのは理解できるが、もし安倍内閣が民主党などの反対を押し切って、安保関連法案を成立させていなかったとしたら、「日米同盟」という鎧(よろい)が綻びていたことだろう。

 「平和憲法」は「万邦無比」(世界に例がない、日本だけが持っている)のものだ。

 先の大戦末期に、狂信的な国粋主義者や高級軍人たちと、朝日新聞が「神州不滅」を唱えて、本土決戦を「一億総特攻」によって戦うことを叫んだが、「平和憲法」も大和魂(やまとだましい)と呼ばれた精神主義と同じものだ。

 先の大戦の惨憺(さんたん)たる敗戦に、まだ懲りていないのだ。枝野先生には大戦末期の陸軍将官の軍服が、よく似合うと思う。


  日本を守るA 東アジアを“無秩序”にした日本国憲法
    Date : 2017/12/08 (Fri)
 トランプ大統領の5ヶ国にわたったアジア歴訪は、アジアといっても、北朝鮮危機の行方が、アジアにとって最大の問題であることを、あらためて示した。

 トランプ大統領は日本に2泊して、手厚い歓迎を受けた後に、韓国に1泊し、中国に2泊した。

 小さなことかもしれないが、韓国と中国の国賓晩餐会で発表された献立(メニュウ)に、注目したい。

 ソウルの晩餐会では、不法占拠している竹島(韓国が独島(ドクト)と呼ぶ)のエビを供した。竹島を盗んでいるから盗品だ。

 他方、北京の人民大会堂における晩餐会では、中国が不法に7つの人工島を建設、内海にして支配しようとしている南シナ海の魚が供された。

 韓国と中国の歴史は、王朝が興っては滅び、政敵の食物に毒を盛って葬ってきた。品位のない国であることを示している。

 韓国、中国は油断も隙も、あったものでない。日本だけが真っ当な国なのだ。

 北朝鮮危機がいつ爆発するか分らない。日本がある東アジアは、アナーキー(無秩序状態)にある。

 枝野幸男氏たちの立憲民主党を支持した、「専守防衛」を信仰している人々は、これまで憲法第九条が日本の平和を守ってきたと信じていよう。

 だが、東アジアをこのような無秩序状態にした最大の原因は、何だろうか。

 日本国憲法である。もし、日本がサンフランシスコ講和条約によって独立を回復した後に“マッカーサー憲法”を改正して、日本より経済規模が半分しかないイギリスか、フランス程度の軍事力を整えていたとしたら、弱小国にしかすぎない北朝鮮によって侮られることはなかった。

 イギリスとフランスの経済規模を足すと、ちょうど日本と並ぶ。両国は核武装しており、それぞれ空母や、核を搭載した原潜を保有している。

 そうであったとしたら、北朝鮮が日本列島を試射場として使って、頭越しにミサイルを撃つことはなかった。

 中国が隙あらば尖閣諸島を奪おうとして、重武装した海警船によって、連日包囲することもなかったろう。

 いったい「平和憲法」が、どのようにして日本の平和を守ってきたのだろうか。イギリス、フランスを手本にしたい。


  日本を守る@ 北の「核恐喝」に備えを
    Date : 2017/12/08 (Fri)
 北朝鮮が2ヶ月半振りに「火星(ファソン)15号」と呼ぶ、「米国本土まで届く」という新型の長距離ミサイルを発射した。

 ミサイルは金正恩(キムジョンウン)委員長の“お気に入りの試射場”となっている、日本列島わきの日本海へ撃ち込まれた。青森県沖合の日本の排他的経済水域だ。

 北朝鮮の中央テレビは「重大ニュース」として、昂奮した口調で「核武装力完成(ヘクムムジャンワンソン)の歴史的大業(ヨクサチョクデオプ)を果した」と、発表した。

 私はだからといって、米国が北朝鮮に先制攻撃を加えることはないと、判断している。“火星15号”が大陸間弾道弾であって、北朝鮮が自賛したように、米国全土を射程に収める能力があるのか、核弾頭の小型化に成功したか、判然としない。

 私は1週間前までワシントンに滞在して、政権、国防省を囲む人々と意見を交換したが、トランプ大統領が威勢よく北朝鮮を威嚇してきたものの、今回試射したミサイルがかりに米国本土に届くものであるとしても、北朝鮮がよほどの挑発行為を行わないかぎり、米国が当分のところか、今後、北朝鮮に軍事攻撃を加えることはないと思う。

 金正恩委員長も一歩間違えば、米国から百倍返しがあるかもしれないから、ミサイルの試射や核実験に慎重にならざるをえない。

 韓国人も大昔から不安な環境で生きてきたから、何よりも博打(ばくち)が好きだ。結婚披露宴、法事である祭祀(チェサ)に招かれると、男たちが宴のわきでかならず花札(ファット)に耽っている。金正恩委員長は肝験(きもだめ)しを、楽しんでいよう。

 朝鮮半島をめぐって、緊迫した状況がずっと続いてゆき、そのあいだ北朝鮮はミサイルと核弾頭の性能を刻々と向上させよう。

 そのあいだに米国で政変が起って、米国が日本を守る意志力を弱めるかもしれない。

 あるいは、いま、サウジアラビアの若い実力者の皇太子が性急な改革を強引に進めているが失敗して、イスラム過激勢力によってアラビア半島から中東全域が、大きく混乱した場合、米国の現在の軍事力では、東アジアと中東の2正面を守ることができない。東アジアが留守になる。日本にとって悪夢だ。

 北朝鮮はこれまで「日本を海底に葬ってやる」と、威嚇してきた。

 もし金正恩委員長が「日本が朝鮮半島を奴隷化した罪を償うために、X兆円の賠償金を払わなければ、核攻撃を加える」といって恐喝してきたら、日本はどうしたらよいのか。

 日本人は真剣に考えなければならない。


  憲法改正によって日本を洗濯するとき
    Date : 2017/12/04 (Mon)
 日本は2600年以上にわたる歴史を持っている。この日本の歴史と、僅か70年にしかならない現行憲法と、どちらが大切だろうか。それも、現憲法は外国であるアメリカが占領下にあった日本に、強要したものだ。

 10月の総選挙の投票日は日本列島を、超大型といわれる台風が襲った。今年は明治元年から、150年目に当たる。

 私は地面を洗うように大雨が降るのを見て、幕末の志士の坂本龍馬が姉の乙女に宛てて、「この国を洗濯致し度候」と、手紙書に書いたのを思い出して、天が安倍政権を大勝させて、憲法を改正することによって、日本を洗濯することになるのだと思った。

 国会において改憲派の議席が議憲派を、大きく上回った。戦後はじめて憲法を改めて、長いトンネルを抜け出す出発点に立った。

 選挙戦中に「北朝鮮の脅威」をはっきりと訴えたのは、自民党と「日本のこころ」だけだった。自民党すら憲法改正を公約としたものの、争点として打ち出すことを躊躇した。

 枝野幸男氏たちが立ち上げた立憲民主党が躍進して、野党第一党となった。東京の比例区では、自民党が180万票獲得したのに対して、立憲民主党に140万票が投じられた。

 マスコミが立憲民主党の躍進を「判官(ほうがん)贔屓」と、解説した。日本人は源義経を主人公とした浄瑠璃や、歌舞伎などの判官物を好んできた。だが、枝野氏たちは義経の直向(ひたむ)きな生きかたと、まったく違った。希望の党に雪崩れ込んだものの、「排除」されたために、慌てふためいて新党をつくった。

 私は枝野氏たちと信条を異にするが、民主党を離れてすぐに立憲民主党を立ち上げていたなら、それなりの敬意を払っただろう。

 立憲民主党は選挙戦中北朝鮮危機に目を閉じて、ひたすら“平和”憲法を守り、安保関連法に断乎反対して、自衛隊が「専守防衛」に徹するべきだと訴えた。

 北朝鮮危機を乗り越えるために、アメリカに頼るほかない現実を無視しているが、日本が独力で北朝鮮危機に対応できないのは、「平和憲法」によって自衛隊が、米軍を補助する役割しか演じられないからだ。

 安保関連法なしに、日米同盟関係を強化することはできない。安保関連法に反対するのなら、米軍による保護なしに日本を護れる防衛力を整備することを、主張するべきだ。

 立憲民主党に投票した人々は、日本が当事者だという認識を欠いて、アメリカに甘えていさえすればよいと、考えている。

 それほど、アメリカを信頼してよいものなのか。それでは独立の気概を捨てて、アメリカに魂を売ったようなものだ。
日本に迫っている脅威は、北朝鮮危機だけではない。中国が尖閣諸島を奪って、日本を属国化しようと、虎視眈眈(こしたんたん)と狙っている。

 日本は独立の度合を高めなければ、危ふい。

 そのためには、独立国としてふさわしい憲法を、一日も早く持たなければならない。

 日本国憲法さえあれば、日本の安全を守れると訴えているのでは、先の大戦末期に「日本精神さえあれば、神州不滅だ」と叫んでいた、狂信的な軍人たちと変わらない。

 「専守防衛」となると、敵軍が日本に上陸してから、本土決戦を戦わなければならない。

 あるいは、枝野氏たちは先の大戦末期に、「一億総特攻」に徹して本土決戦を戦わなかったことを、悔いているのだろうか。

 日本を洗濯して、積年の汚れを濯(すす)ぎたい。


  破壊されたバーミアン大仏から見えてくるもの
    Date : 2017/11/30 (Thu)
 爆破された貴重な仏教遺跡

 10月に東京においてアフガニスタンで2001年に無惨に破壊された、バーミアンの大仏を再建する方策を検討する国際シンポジウムが開かれた。

 私はシンポジウムを取り上げたテレビのニュースを見ながら、西洋のキリスト教の歴史と、今日のイスラム教に思いを巡らせた。

 バーミアンはアフガニスタン中央部の盆地にあって、南北交易路の要衝だったことから、9世紀まで仏教王国として栄えた。

 山腹に刻まれた巨大な2軀の大仏立像があったが、イスラム過激派のタリバン政権によって爆破された。

 2体とも、世界的に貴重な仏教美術遺産だった。東西2軀のうち西側の大仏は、高さが55メートルもあった。

 私はタリバンが爆破した瞬間を撮影した映像が、テレビで放映された時も、ヨーロッパの歴史を思った。

 シリアではイスラム国(IS)によって、3世紀に遡るローマ時代の多神教の壮麗なパルミュラ遺跡が、イスラム教を冒涜するものとして、破壊されたことはよく知られる。

 私たちは眉を顰めるが、これらの遺跡を破壊するのに当たって、タリバン政権も、イスラム国も神の意志を代って行っていると、固く信じていたはずである。

 イスラム教の2大宗派による抗争

 今日、中東と北アフリカでは、イスラム教の2大宗派であるスンニー派と、シーア派が、アフガニスタン、イラク、シリアから、リビアまで血を血で洗う凄惨な抗争を繰りひろげている。まったく終わりが見えない。

 10月に、クルド族によるシリア民主軍が、イスラム国の“首都”だったラッカを制圧したが、ISが解体したとしても、今後、シリアに平和が甦ることはないだろう。

 宗教戦争が進んでいるのだから、アラビア半島まで混乱が波及して、サウジアラビアをはじめとする、湾岸産油諸国を呑み込む可能性もあろう。

 私たちはイスラム教が寛容をまったく欠いており、暴力を手段とする“変種”の宗教であると、奇異の眼をもってとらえがちだ。しかし、イスラム教はユダヤ・キリスト教を母胎として生まれたが、キリスト教の再来であると考えれば、“変種”ではけつしてない。

 大英博物館を訪れて

 ローマ帝国によって迫害されていたキリスト教が、ローマ帝国の国教として採用されたのは、後に大帝と呼ばれたコンスタンティヌス1世が、312年にキリスト教徒の助けによって、テレベ河の戦いに勝ったのが切っ掛けとなった。キリスト教化すると、異教となった多神教の神殿や、彫像、列柱が、帝国の全域にわたって破壊された。

 キリスト教は偶像崇拝を禁じたから、ギリシアのアテネ、シリアのパルミュラから、エジプトにあった神殿まで、容赦なく破壊された。

 私はロンドンの大英博物館で案内してくれた学芸員から、展示された多くのギリシア・ローマ時代の神像や、彫像が大きく破損しているのは、キリスト教徒の手によるものだと、説明をきかされた。

 大理石の彫像や、列柱が粉々に砕かれて、キリスト教会を建てるために、モルタルとして使用されたということだった。キリスト教徒は、タリバンや、ISの先駆けだったのだ。

 イスラム教は、まだ若い宗教なのだ。キリスト教より600年後に、開祖マホメッドによって生まれた。

 今日、イスラム世界に起っていることは、キリスト教が300年前まで行っていたことだと、考えればよい。ヨーロッパでは、カトリック(旧教)教徒とプロテスタント(新教)教徒が、2世紀にわたって宗教戦争を戦うことによって、大量の人命が奪われ、ヨーロッパ全土を荒廃させた。

 今日でも、先進国イギリスの北アイルランドにおいて、1990年代にカトリックとプロテスタント住民のあいだで停戦合意が行われたものの、いまだに銃撃戦が発生している。

 「宗教」という言葉は明治になって造られた

 中東に戻れば、イスラム国が倒されたとしても、イスラム過激主義というイデオロギーが、消滅することはない。いくら激しい空爆や、砲撃を加えたとしても、理想主義(イデオロギー)を破壊することはできない。

 このところ、ヨーロッパがイスラムによるテロ事件によって悩まされているが、イスラムがヨーロッパを呑み込もうとしており、まだ始まったばかりのところだと、考えるべきだろう。

 イスラム過激主義は、東南アジアにも拡がりつつある。日本に入国する外国人観光客や、人手不足を補うための研修労働者が増えるなかで、不断の警戒を怠ってはならない。

 日本は幸いなことに、明治に入るまで宗教と無縁だったために、国内の安寧が保たれた。

 「宗教」という言葉は、明治に入ってから新しく造語された、おびただしい数にのぼる明治翻訳語の一つである。それまで日本語のなかには、「宗門」「宗旨」「宗派」という言葉しか、存在しなかった。宗門や宗派は争うことなく、共存――共尊していた。

 キリスト教という寛容を欠き、他宗を認めることを拒む信仰が入ってくると、それまでの日本語では表現できなかったので、「宗教」という新語を造らねばならなかった。

 福沢諭吉が『西洋事情』のなかで明治訳語について、「西洋の新事物輸入するに」あたり、「恰(あたか)も雪を知らざる印度人に雪の詩を作らしむ用の沙汰なれば(略)新日本の新文字を製造したる其(その)数亦尠(またすく)なからず」と、書いている。「宗教」も、その一つだった。

 心を用いる神道は宗教ではない

 日本の在来信仰である神道は信仰であるが、宗教ではない。人がまだ文字を持つ前に生まれ、開祖も、経典も、聖書も、言葉を多用した煩雑な教えも存在しない。

 宗教では、人が中心になっているのに対して、神道は万物のなかに霊力が宿っていて、自然全般が神々しい存在とされている。

 「レリジョン」(宗教)の語源は、ラテン語の「レリギオ」だが、類語の「レリガーレ」は「固く縛る、束縛する」を意味している。神道を宗教とみなすのは、インド人に雪について詩を書かせるようなことだ。

 神道という言葉も、新しい。それまで名がなかったが、仏教が儒教とともに伝来した時に、仏教と区別するために生まれた。

 宗教は言葉から成り立っている。日本は中国大陸や朝鮮半島と違って、冗舌であったり、言葉によって成り立っている論理を、本能的に嫌った。

 日本では太古の昔から言葉が対立を招いて、和を損ねることを知っていたから、「言挙(ことあ)げしない」といって、言葉を多用することを戒めてきた。また「言霊(ことだま)」といって、言葉を用いる時には、よい言葉を発しなければならないと、信じた。

 宗教が言葉を使って組み立てられているのに対して、神道は心の信仰である。人は心を分かち合えるが、論理はかならず対立をもたらす。

 「指導者」や「独裁者」という言葉も、明治に入るまで日本語に存在しなかった明治翻訳語である。天照大御神は最高神として権威を備えていたが、西洋、中東や、中国、朝鮮の最高神が独裁神であるのと違って、つねに八百万(やおよろず)の神々と合議している。日本には、全能の神という発想がなかった。

 神道こそが世界を救う

 「根回し」「稟議」という言葉は、ヨーロッパ諸語にも、中国語、韓国語にもなく、日本語にしかない独特なものだ。今日でも、日本には論理によって人々の上に立つ「指導者」や、「独裁者」が存在していない。

 自然を尊んで、自然が神々だとする信仰はエコロジーであり、今日の人類にとってもっとも進んだ教えである。

 私は神道が、世界を救うと信じている。この和の信仰を国際化して、全世界にひろめたいと願っている。


  北朝鮮危機に見えるアジアの覇権を狙う中国の思惑
    Date : 2017/11/24 (Fri)
 トランプ大統領が来日した。

 これから北朝鮮危機が、いったい、どのような進路をたどるのか、分からない。

 私はトランプ大統領は、北朝鮮が極端な挑発行動にでないかぎり、北朝鮮に先制攻撃を加えることは、十中八、九ないと思う。

 北朝鮮から戦争を始めることは、ありえない。そうなると、これから1年以上現状が高い緊張のもとで、続いてゆくことになる。

 このあいだに、北朝鮮は核開発を進め、向う1年か1年半以内に、核弾頭を小型化するのに成功して、日本が核ミサイルの射程内に入ることになる。

 そうなると、日本にとって悪夢となる。

 北朝鮮は日朝がまだ戦争状態にもないのに、「日本を海底に葬ってやる」と、威嚇している。もし、金正恩委員長が核ミサイルを持ったら、「日本が朝鮮半島を奴隷化した罪を償うために、X兆円の賠償金を払わなければ、核攻撃を加える」といって、恐喝してこよう。

 日本は憲法解釈による「専守防衛」政策に縛られて、北朝鮮の目標を攻撃する手段を、何一つもっていない。

 いまのところ中国は北朝鮮に核開発を放棄させるために、石油の全面禁油を実施することを含めて、真剣な努力を行っていない。

 だが、中国が何よりも恐れているのは、日本が北朝鮮に攻撃を加える能力を獲得して、日本が北朝鮮を無力化するのに当たって、中心的な役割を果たすことだ。日本が中国と並ぶアジアの主要なプレイヤーとして登場することが、あってはならない。

 中国は日本が北朝鮮を攻撃する能力を含めて、真剣な防衛力整備を始めたと信じることがあったら、北朝鮮の核開発を真剣になって阻もうとするだろう。中国は北朝鮮の核開発が日本の核武装をもたらすと確信したら、米韓地上軍が南北境界線を越えないかぎり、アメリカが北朝鮮の核施設を爆撃することを、歓迎することになろう。

 中国はアジアの羅権を握ろうとしており、アメリカがいずれグアム以北の太平洋から撤退するとみているから、アメリカが主敵ではなく、日本が主敵となっている。

 日本が中国と対等な国家となることには、耐えられない。

 中国は先の日本の総選挙で、“平和憲法”の遵守と「専守防衛」に徹すべきことを、朝日新聞とともに主張する立憲民主党が、大量集票したことに安堵の溜息をもらしたはずだ。

 中国は日本が北朝鮮の核ミサイルの脅威に震えあがって、畏縮することを快感をもって眺めよう。

 日本は北朝鮮が核ミサイルを手にするまでは、アメリカの保護のもとに温(ぬ)く温(ぬ)くと生きられる。護憲派は「平和」という呪文を唱えていれば、安寧に暮らせると説く祈祷師の集まりだ。

 だが、昔から、「座して食らえば山も空(むな)し」(働かないで暮していれば、山のように豊富な財産もなくなってしまう)というではないか。

 トランプ政権は中国を北朝鮮に耐えられない圧力を加えるように嗾(けしか)けてきたが、中国はアメリカに従うふりをしながら、アメリカをあやしてきた。もはや、アメリカは中国を動かせない。

 そうなると、日本がカードを握っている。

 日本は普通の国並みの軍事力を持つ方向へ、舵を切るべきだ。


  「希望の党」が憲法改正の希望となる日
    Date : 2017/11/08 (Wed)
 10月22日の開票の結果によって、65年にわたった日本の長い暗夜が終わって、日本に朝が訪れることになるかもしれない。

 9月28日に、民進党の両院議員総会が開かれて、前原誠司代表の呼び掛けに従って、民進党の衆院議員全員がそろって離脱して、小池百合子代表の希望の党に合流することに合意した。

 私はその直後に、小池代表が「改憲・安保法に反対した者は、受け入れない」といって拒んだ時に、神々は日本を見離していないと、胸が躍った。
 
 一部で、「同じ女性でも、若い弁護士を弄んだ山尾先生よりも、小池先生のほうが日本を弄んでいるから、スケールがはるかに大きい」と揶揄(やゆ)していたが、私は小池代表が日本の朝を引き寄せたと、思った。

 自公がどれだけとるか、希望の党がどこまで伸びるのか分らないが、日本維新の党を加えれば、改憲勢力が日本の強い流れとなることを期待している。

 私は選挙についてまったくのシロウトだから、淡い希望で終わるかもしれない。

 もっとも、希望の党は誰でも名乗れる党名だし、「花粉症をゼロにする」といった、手軽な公約に不安がのこる。

 それにしても、前原代表を選出した民進党大会から僅か28日後に、希望の党に雪崩をうって合流したいと望んだ民進党の“リベラル派”議員は、情けない。慌てて「立憲民主党」をつくったが、“ホームレスの”党とか、“おちうどの”党とかルビをふりたい。

 “リベラル派”議員は「〽ドングリころころどんぶりこ、小池にはまってさぁ大変」という、児童劇を演じているのだろうが、私は選良がたが醜態を演じるのを見て、小泉八雲ことラフカディオ・ハーンが、かつて「日本人にとって信念は、心理的衣装(サイコロジカル・コスチューム)にしかすぎない」と指摘したことを、思い出した。

 ハーンは多くの日本人がすぐに新しい状況に身を委ねるので、信念とか、理念といっても、借着のようなものだと皮肉ったのだった。

 “リベラル派”の議員は、希望の党がまだ政策も発表していなかったのに、全員が駆け込むことにしたのだから、信念も理念もあったものでなかった。なぜ、民進党に留まらなかったのか。信念は借着だったのだ。

 かつて村山富市氏が、自民党との連立政権の首相となった時に、それまで自衛隊が違憲であり、日米安保条約を解消する信念を主張していたのに、自衛隊も、日米安保体制も受け入れた。

 護憲派の多くの人々が、この程度の信念しか持っていないとすると、この人たちに国民の生命を託してよいのか、疑わざるをえない。

 護憲派が信仰する平和主義は、精神が何よりも尊いとする精神主義であって、精神が日本の平和を護ってくれるというものだ。北朝鮮も、中国も、この崇高な精神を理解してくれるはずだから、日本を害することがないと、確信しているのだろう。

 護憲派の人々に「『平和憲法』と呼ばれる、日本国憲法は精神主義でしかない。呪(まじな)いの護符以外の何ものでもない」といったら、きっと怒ることだろう。

 私は護憲派の善男善女を見ていると、72年前の夏の敗戦の最後の日まで、「神州不滅」「一億総特攻」を叫んでいた狂信的な軍人たちが、“護憲主義”の衣をまとって舞い戻ってきたのに、ちがいないと思う。多くの至純な軍人たちは、「“万邦無比(世界に他にない)の日本精神”があるから、日本は絶対に滅びない」と、確信していた。

 護憲主義も、惨憺たる敗戦を招いた精神主義であって、何一つ変わらない。

 先の大戦が終わってから、72年もたつのに、いまだに日本は危険きわまる国粋主義の手から逃れることが、できないでいる。

 日本国憲法が、その邪しまな聖典となっている。一日も早く憲法を改めたい。


  トランプ大統領のアメリカを見誤ってはならない
    Date : 2017/10/30 (Mon)
 私はこのままゆけば、トランプ大統領が2020年に再選される可能性が、高いと思う。 

 日本ではトランプ大統領のもとで、アメリカが解体しかねないとか、弾劾されてじきに罷免されようという議論が、さかんだ。今日のアメリカについてまったく無知な見方が、大手を振って罷り通っている。

 アメリカで国を2つに割って、壮絶なカルチャー・ウォア――文化戦争と訳すべき戦いが繰り広げられている。毛沢東のもとで行われた、「文化大革命」に匹敵するものだといえよう。

 大混乱だ。伝統的なアメリカを融解させようとする、ニューヨーク、カリフォルニア州を中心とする急進(リベラル)勢力と、「ミドル・アメリカ」と呼ばれるアメリカ中西部諸州を中心とする旧守勢力が戦っている。

 ヒラリー・クリントン支持は何か

 急進(リベラル)勢力は昨年の大統領選挙でヒラリー・クリントン候補をあげて支持した、知的エリートに従う市民層、大手新聞・テレビ、グローバリゼーションを追求する大企業などだが、“台風の目”は、LBGTQや、男女差、人種、不法移民などに対する、いっさいの差別を排除し、自己主張を何よりも尊ぶ「アイデンティティー・ポリティクス」である。

 LBGTはレズビアン、バイセクシュアル、ゲイ、トランスセクシュアルの頭文字で、日本でも知られているが、“Q”はqueer(クイアー)で、LBGTの総称でもあったが、このあいだまでは変態、変人を意味する罵り言葉だった。ところが、いまでは真当な言葉とされている。

 「私はクイアーだ(アイム・クイアー)」と胸を張って、いえるようになっている。もし、そういわれたら、敬意をこめた表情をして、頷かねばならない。

 ニューヨークや、カリフォルニア州などの幼稚園や小学校では、入園、入校する児童に「男の子として扱われたいの、女の子として扱われたいの」と、たずねなければならない。

 昨秋、『ニューヨーク・タイムズ』紙の一面に「ミスター、ミセス、ミスは性差別に当たるから、Mxと呼ばなければならない」という、大きな記事が載った。
 
 私はその直後に、アメリカ大使館の女性の公使と夕食会で同席した時に、「Mxはどう発音するんですか」と質したところ、そんなことも知らないのかという、冷い眼差しをして、「ミックス」と教えてくれた。

 1960年代から「チェアマン」(議長)「マンカインド」(人類)は女性差別だから、「チェアパーソン」「ヒューマンカインド」と言い替える“言葉狩り”が始まったが、民主党のオバマ政権のもとで、いっそう酷くなった。

 トイレの男女別をなくした

 オバマ大統領は政権最後の年に、「自分が信じる性別に従って」、男女のトイレのいずれを使ってもよいという、大統領令を発した。大統領令は法律だが、さすがにいくつかの州が憲法違反として、連邦最高裁に提訴した。

 私が昨年ワシントンを訪れた時に、レストランのなかに、トイレの男女別の表示を撤去した店があった。もっとも、今年六月に戻ったところ、トランプ政権のもとで男女の別が再び取りつけられていた。

 進歩(リベラル)勢力は、自分たちが「正常(セイン)」で、「ミドル・アメリカ」の州民をはじめとする旧守勢力が「未開(バックワード)」だとか、「知的発達障害(リターテッド)」を患っているとみて、蔑(さげす)んでいる。

 LBGTQの権利を主張する運動は、かなり前から始まっていた。アメリカのネットで「セックス・アンド・ジェンダー」を取り出すと、性別がLBGTだけではなく、さらに63に細分化されることが分かる。「ジェンダー」は日本語にないが、「文化・社会的な役割としての性」を意味している。長いリストを読んでゆくと、肉体的特徴から性の嗜好まで分かれ、それぞれ尊重しなければならない。

 SNSも自己主張に充ちているために、人々の細分化をいっそう促している。

 8月に首都ワシントンの隣のバージニア州シャーロットビルで、州当局の決定に従って、南北戦争の南部の英雄ロバート・リー将軍の銅像を撤去しようとしたところ、撤去に反対する旧守派市民と、急進派(リベラル)市民が衝突する騒ぎになった。反対派に白人至上主義のKKK(クークラクスクラン)や、ナチスの鉤十字旗(スワスチカ)を掲げた者がいた。

 「アンティファ」と称する過激派

 トランプ大統領が双方の暴力行為を非難したところ、アメリカの大手新聞・テレビが「白人至上主義者」を擁護したといって、こき下ろしたが、公正を欠いていた。

 急進派(リベラル)のなかに「アンティファ」(アンチ・ファシストの略)と称する、黒い覆面に黒装束の過激派がいて、投石や暴行を働いた。アンティファは大統領選挙中も、トランプ大統領就任式に当たっても、映像に登場していた。

 南部諸州では、南部連合旗の掲揚を禁じ、銅像の撤去、公共の場所、施設名を変えることが進んでいるが、南部だけに限られない。

 ニューヨーク・マンハッタンのセントラル公園(パーク)に建つ、クリストファ・コロンブス像の撤去を求める運動や、全米で10月第2週の月曜日が「コロンブス・デイ」として祝日とされてきたが、「コロンブスがアメリカを発見した」というのは、白人至上主義だとして廃止するところが、相次いでいる。

 名門プリンストン大学では、第1次大戦時のウィルソン大統領が白人至上主義者だったといって、ウィルソン研究所(センター)を改名しようという運動が進んでいる。このような例は、枚挙に遑(いとま)がない。

 ワシントン大統領も、『独立宣言』を起草した、3代目大統領のジェファーソンも、アメリカの「建国の父(ファウンディング・ファーザーズ)」のほぼ全員が奴隷所有主だったことから、首都の名からすべて改めなければならなくなってしまう。このまま「歴史浄化(ピューリフィケーション・オブ・ヒストリー)」が進めば、アメリカが解体してしまおう。

 もっとも、アメリカのどの世論調査をとっても、歴史上の人物の銅像を撤去したり、街路、公園、施設、市町村などの名を変えるのに対する反対が、半数を超えている。アメリカの建国そのものを、否定するものだ。

 私は1950年代にアメリカで学んだが、アメリカ人はジョークを好む“笑いの民”だったのに、このところ「アイデンティティー・ポリティクス」が暴威を振っているために、何であれ、笑いの対象にできなくなったために、笑いが失われるようになっている。

 自由競争が建国の精神だ

 このわきで、民主党は新しいリーダーも、理念も打ち出せず、2020年の大統領選挙をどのように戦えるのか、見当がつかない。

 民主党ではクリントン候補を脅した、サンダース上院議員によって代表される、貧富の格差をなくそうと訴える社会主義が、力を持つようになっている。経済的平等を求めることは羨望から発しており、建国の精神である自由競争に基く市場経済を、否定するものだ。

 トランプ大統領は連邦議会と衝突しているが、旧守派の国民は議会を共和党の幹部議員を含めて、リベラルだとみて喝采している。

 たしかに、トランプ大統領は口が軽く、衝動的であるために、自分自身が最大の敵となっている。それでも、アメリカの伝統社会の守護神となっている。

 本年6月、62%が中流階級以上だと回答

 アメリカでは、トランプ政権発足後、自分を中流階級としてみる者が急増している。

 レーマン・ショック前の2006年のギァロップ調査では、国民の60%が中流かそれ以上と答え、38%が労働者階級とみていたのに対して、2015年には51%が中流以上、48%が労働者階級と答えていた。

 今年6月には、62%が中流以上だと答えている。トランプ政権のもとで経済の行方を楽観する者が増えている。

 リベラル派市民のなかに経済が上向いていると感じている者が多いものの、「未開明な」トランプを評価することが、絶対的なタブーとなっているために、トランプに対する支持に結びつかない。

 民主党と急進派(リベラル)は、自ら墓穴を掘っている。


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