加瀬英明のコラム
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  グラムシの予言に慄然 衰弱する愛国心
    Date : 2019/04/24 (Wed)
 アメリカ鷲と中国龍が、アジア太平洋の未来を賭けて争っている。

 かつての米ソ間の冷戦になぞらえて、「第2の冷戦」といわれている。

 といって、自由主義対共産主義の抗争ではない。

 今日の中国は毛沢東時代と違って、共産主義と呼べない。
中国共産党による専制下にあるが、習近平主席の中国は「5000年の偉大な中華文明の復興」を呼号しており、独裁制とナショナリズムである中華主義が結びついている。

 習主席の中国は、春秋時代(紀元前722年〜前481年)に生きた孔子を称えているが、「5000年の中華文明」は19世紀に生まれた共産主義と、まったく無縁なものだ。

 そのかたわら、豊かな先進自由諸国ではグローバリズムによって愛国心が蝕まれて、ナショナリズムが衰弱するようになっている。

 共産主義の脅威はもはや暴力革命や、一党独裁によるものではなく、伝統社会と国家を破壊しつつあるグローバリズムとなって、私たちを襲っている。

 昨秋ワシントンを訪れた時に、アントニオ・グラムシ(1891年〜1937年)の著作集を求めて、久し振りに読んだ。読みなおすと、この異端で鬼才だった共産主義者による予言が当たっていることに、慄然とした。

 グラムシといえば、日本で1960年代から70年代にかけて、新左翼の青年たちによってひろく読まれたものだった。

 グラムシはイタリア共産党のイデオローグとしてグローバリストであり、「ヘゲモニー(指導)装置」と呼ぶ「国家の消滅」を目標としたが、階級闘争によって歴史の必然として革命が成就して、共産社会が実現するというマルキシズムの理論を否定して、第2次大戦前に、粗暴で権威主義だとみたロシア(ソ連、中国、北朝鮮など)モデルの社会主義体制が、瓦解することを予見していた。

 グラムシは先進国において科学技術が進み、豊かさが増した結果、上部構造に従属してきた社会集団が分解して、ヘゲモニーが理論も、革命への自覚も欠き、まったく組織されることがない一般の人々に移ることによって、国家が消滅してゆくことを、見透した。

 そして伝統が培った生活慣習を、「歴史的堆積物」と呼んで、滓(おり)とみなした。人々が在来文化の鎖に繋がれてきたが、古い鎖が溶解してゆくと説いた。

 グラムシは個人に何よりも高い価値が与えられることによって、慣習によって束縛されてきた従属社会集団が、解体することを予見した。

 私たちの身の回りでも、社会を統べてきた人と人のあいだの絆や、日常用いられてきた言葉に託されてきた意味や、伝統的な儀礼などの慣習が、人々を束ねてきた機能を急速に失うようになっている。

 年を追うごとに、新年が新年らしくなくなっている。一つの例にしかすぎない。日本が日本らしくなくなっているのだ。

 人も企業も、全世界に通用する金(かね)を崇めるようになっている。金(かね)はグローバリズムそのものだ。

 人々はつい昨日まで、先人から受け継いできた社会の伝統文化や、徳目を尊んできたが、精神的に無国籍な若者や、LGBTなど、個人が聖なる存在となったために、私たちのすぐ目の前に無政府状態がある。


  「制裁継続」を決めたトランプの腹の内
    Date : 2019/04/10 (Wed)
 2月末、8ヶ月ぶりにハノイで開かれた、鳴り物入りの米朝首脳会談が終わった。

 前日、私は都内の帝国ホテルで経営者団体に招かれて、講演を行った。

 私は「もし予想が外れたとしたら、もう一度お招き下さって、なぜ予想が外れたのか、詳しくお話したいと思います。北朝鮮が核兵器を手放すことはありえない。明日から始まる米朝サミットは、成果がなく終わるでしよう」と、述べた。

 米朝首脳会談の寸前まで、テレビにさまざまな専門家が登場して、アメリカのカードはこうだ、北朝鮮のカードは何だといって、米朝間で取り引きが行われることを、まことしやかに論じていた。こういった番組はニュース番組ではなく、物見高い視聴者を満足させるエンタテインメントなのだから、おもしろおかしくなるのは仕方がない。

 2日にわたった米朝首脳会談が終わった直後に、先の経営者団体の会長が電話で「よく適中しましたね」といって、誉めてくれた。
 
 私は金正恩委員長がトランプ大統領と再会して握手する時には、掌(てのひら)を垂直にださずに、水平に差し出すことになるはずだ、といった。一刻も早く制裁を解除して、お金が欲しいと急(せ)いたあまり、トランプ大統領が呑めない要求を行うことになるだろうと考えた。

 米朝首脳会談が物別れだったのは、上首尾だった。トランプ大統領の技が、1本決まった。

 トランプ大統領は会談後、金委員長を「よい友人だ」と誉めそやしたが、金委員長に何1つ土産を渡すことがなかった。今後、アメリカは北朝鮮に対する経済制裁を、いささかも緩めることがないから、金委員長の苦難が深まることになる。

 金委員長はハノイでしくじった。これには、親北・反日の文在寅韓国大統領が南北融和を焦って、金委員長にアメリカが北朝鮮に譲ることになるという、甘い期待をいだかせた責任が大きい。文大統領にとって大きな挫折だ。

 それにしても、トランプ大統領はニューヨークのマンハッタンで不動産業で財をなした父の子として、少年時代からマフィアや、建築業界の労働組合の幹部たちとつきあっていたから、相手を微笑を浮べて、誉めながら脅すのに長(た)けている。アメリカの建設業界の労働幹部は、マフィアによく似ていることで知られる。

 私はシンガポールにおいて第1回米朝首脳会談が行われた前から、北朝鮮が核兵器を捨てることはありえないと、説いてきた。核兵器なしには北朝鮮は経済が破綻した、みじめな小国にしかすぎない。アメリカの大統領と会談できるのも、核兵器の効用である。

 仮に北朝鮮が「非核化」を受け入れたとしても、核弾頭の所在や、核施設を「自己申告」することになっているから、隠すことができる。北朝鮮が無条件降伏をしないかぎり、北朝鮮全土を隈なく捜すことはできない。

 北朝鮮はアメリカと話し合っているかぎり、核実験や、ミサイルの試射を行うことができない。これはトランプ大統領の大きな功績だ。

 それにしても、金正恩委員長は、トランプ大統領が“ロシア疑惑”によって追い詰められ、来年の大統領選挙へ向けて功名をたてることを焦っているという、アメリカのマスコミの報道によって騙されたのではないか。

 アメリカの主要なマスコミはこの前の大統領選挙で、ヒラリー候補を支持して惨敗したために、日本のマスコミが「反安倍」であるように、反トランプ報道に血道をあげている。

 “ロシア疑惑”がトランプ政権の致命傷となることはありえないし、トランプ大統領の支持率はかえってあがっている。

 北朝鮮の金体制が崩壊しないかぎり、北朝鮮の脅威は去らない。日本は、中国の脅威にも、備えなければならない。
日本として米朝の話合いが続くあいだ、防衛力の強化を急ぐべきである。


  中国、北朝鮮、“日本国憲法”の脅威に直面する日本
    Date : 2019/04/03 (Wed)
 与党が衆参両院で憲法改正を発議できる議席の3分の2を占めているのにもかかわらず、憲法改正へ向けた歩みが滞っている。

 朝日、毎日、読売新聞、共同通信社などによる世論調査をみると、「改憲を急ぐべきでない」という回答が、改憲に取り組むべきだという意見を、上回っている。

 このままゆくと、安倍政権が続くあいだに、戦後72年にもわたって、日本の国家形態、統治組織、統治作用を規定してきた“占領憲法”を、改正することができるか、不安に駆られる。

 アメリカは日本占領下で、日本がアメリカの軍事保護なしには亡国となる「日本国憲法」を、強要した。とうてい独立国の憲法といえないものだ。日本が二度と独立国となることを、否定していた。

 もうすぐ、平成の30年あまりが終わるが、このあいだに日本を取り巻く国際環境が、いっそう厳しいものとなって、日本が独立することを強いられている。

 日本が置かれた状況が、アメリカによった占領下の時代と一変したというのに、いまだにアメリカの占領下にあることを、前提としている憲法を奉じている。

 米朝首脳会談が8ヶ月ぶりにハノイにおいて鳴り物入りで行われたが、トランプ大統領は金正恩委員長が経済制裁の緩和を求めたのに対して、金委員長を「私の友人だ」とおだてながら、何一つ与えることなく物別れに終わった。

 上々の首尾だった。私は以前から北朝鮮が核兵器を手放すことはありえないと論じてきたが、アメリカは経済制裁を加え続けるから、手ぶらでピョンヤンに戻った金委員長の苦境は、いっそう厳しいものになる。

 北朝鮮は米朝間で話し合いが続いているあいだは、核実験も、ミサイルの試射も慎むはずだ。これは、トランプ大統領の大きな功績である。

 といって、北朝鮮が核兵器を捨てることは、考えられない。

 習近平国家主席の中国は、アメリカによる経済の締めつけによって、蹌踉(よろ)よろめいている。アメリカの顔色を窺(うかが)って、しばらくは“よい子”を演じることになる。だが、アジア太平洋の覇権を握ろうという、野望を捨てることはない。

 北朝鮮の脅威と中国の脅威は、しばらく中休みとなるが、去ることはない。日本としては、「鬼の居ぬ間に洗濯」ならぬ、このあいだに防衛力の強化を急ぎ、憲法改正に取り組まなければならない。

 アメリカは、来年11月の大統領選挙へ向けて、動きはじめた。

 私はアメリカで、新聞、テレビの主要なマスコミが“反トランプ熱”を煽り続けているが、それにもかかわらず、トランプ大統領の支持率が上がっており、このままゆけば、トランプ大統領が再選されることになると思う。

 民主党は“金権候補”だったヒラリー夫人を担いで敗れた反動として、名乗りをあげている候補はそろって、経済格差の是正、社会福祉の充実、国防費の大幅な削減など訴えており、民主党が劇的に左傾している。

 もし、民主党が政権を奪還すれば、日本を守る意志が弱まることになりかねない。

 日本は、3つの安全保障の深刻な脅威に、直面している。中国、北朝鮮、日本国憲法だ。

 日本は世界のなかで、憲法が自国の安全を脅かしている唯一つの国なのだ。


  日本はこれから世界に大きく貢献しよう
    Date : 2019/03/29 (Fri)
 2月10日にフィギュアスケート四大陸選手権が、カリフォルニア州アナハイムで開催されて、宇野昌磨君が初優勝を果たした。21歳の快挙だった。

 テレビで観戦したが、表彰台にあがった日の丸が美しかった。日の丸が外地で翻るのを見ると、目に沁みる。

 能楽堂のミュージカル

 昨年の暮れだったが、都内青山骨董通りの能楽堂で、ビートルズのジョン・レノンと、オノヨーコを主人公としたミュージカルが上演された。ヨーコが私の母方の従兄姉で、ジョンとも親しかったので、プログラムに解説を寄せた。

 「ヨーコとジョンは近代文明社会の人々が虚ろな欲望や、学位、偽りの地位によってがんじがらめに縛られているのに対して、拘束を捨てて、人間らしく生きることを求める真の革命の旗手であり、ロマンチックな破壊者だ。

 ジョンはヨーコと2人で書いた『イマジン』のなかで、『宗教がなくなれば、世界が平和になる』と歌って、キリスト教を否定したが、『私が来たのは人が生命(いのち)をえ、与えられた生命いっぱいに生きなさい』という、イエスの新約聖書の力強い言葉が響いてくる。

 2人は、今日、多くの人が人造人となっているなかで、自然人だった。近代が老いてゆくなかで、抗争や戦争を招く理性の時代が疲れ果てて、独善的な宗教や拝金社会が斥けられて、人と自然を心で感じる信仰の時代を引き寄せてくれた」

 日本に誇りを持とう

 やはり昨年になるが、私は多くの学者が集まった「国家ビジョン研究会」の会長をつとめることを懇請されて、引き受けた。分野ごとに部会が設けられているが、座長の1人のN氏から新著の原稿に目を通すことを求められた。

 そのなかで、日本のいくつかの制度について、国際的な基準から逸脱した「ガラパゴス現象」だと批判しているのが、目にとまった。もっとも、日本独自の慣習や制度を取り上げて、「ガラパゴス化」とか「ガラパゴス現象」といって、自嘲する者が少なくない。

 とくに、カルロス・ゴーン前日産会長の拘留が長期にわたったのに対して、日本の司法制度が西洋人の眼に、後進的な「ガラパゴス現象」に映るから、恥しいという声がきかれた。

 もっとも、フランスの有力紙の記者が来京して、わが家で一夕持て成したが、ゴーン氏が社費でベルサイユ宮殿で結婚披露宴を行ったのをはじめ、悪事が次々と露見してからは、日本に対する批判が消えたと語った。 

 ガラパゴス諸島といえば、エクアドル西岸から西へ1000キロ離れた太平洋の離島群で、外界から隔絶されてきたために、多くの珍しい固有の動物が棲息していることで、知られる。

 明治政府が西洋の脅威から日本の独立を守る必要に迫られて、強行せざるをえなかった文明開化が行き過ぎたのか、多くの日本人がいまでも自信を欠いて、西洋を恐れることが習性となっている。もう文明開化を乗り越えて、よいのではないか。

 パリ会議の100周年

 2月12日は、日本全権団が第1次世界大戦の戦後処理を行ったベルサイユ会議としても知られるパリ会議において、国際連盟を創設するのに当たって、連盟規約に「人種平等原則」を盛り込むように提案したところ、11対5で可決されようとした寸前に、議長をつとめていたアメリカのウィルソン大統領が「このような重要な案件は、全会一致でなければ採択できない」といって票決を斥けてから、ちょうど100周年に当たった。アメリカは国内で黒人の人権を、蹂躙していた。

 この日、私が代表となって、国会議事堂前の尾崎記念会館において、日本が国際連盟規約に「人種平等原則」をかえることを求めた百周年を、記念する集会を催した。国会議員の多くの有志も駆けつけてくれた。

 ところがどの新聞も、テレビも、この世界史的な百周年に触れることが、まったくなかった。日本が先の大戦を大きな犠牲を払って戦った結果、まずアジアの諸民族が独立し、その高波がアフリカ大陸も洗って、世界の諸民族が解放された。

 日本は世界の光となった。ロシア革命や、フランス革命が行われてきたが、日本が今日の人種平等の世界を実現したことこそ、人類史における何よりも大きな革命ではないか。

 日本という太陽が昇って、世界を隅々まで照らした。日本の力によって人類のありかたが、根底から改まったのだ。

 「八紘一宇」こそ人類の理想

 日本は初代の神武天皇が橿原(かしはら)において即位された時に、「八紘(あめのした)(世界)をおおいて宇(いえ)(1つの家)にせむ」という「八紘一宇」の勅(みことのり)を発せられたが、歴史を通じて人種によって差別したことがなかった。

 日本がアメリカの不当な圧迫に耐えられず、真珠湾を攻撃した翌年1月に、東條英機首相が国会演説を行って、戦争目的として「人種差別の撤廃と、すべての民族の解放」を掲げたことを、私たちは忘れてはなるまい。

 日本は東アジアにあって、長く外界から隔絶された列島において、きわめて独特な文化を培った。「ガラパゴス現象」といって自国を嘲る人々は、日本の国柄を時代遅れのものとして、蔑んでいるにちがいない。

 「ガラパゴス現象」と日本

 私は幼少の頃から、外交官だった父から、100年前に日本全権団が晴れの国際舞台で、人種平等を主張したことに、誇りをいだくように教えられて、育った。

 6年前に、私はセルビア共和国のアダモヴィッチ・ボヤナ大使によって、大使館に昼食に招かれたことがあった。

 私は挨拶を終えると、すぐに第1次大戦後のパリ講和会議において、日本全権団が戦後世界を管理する国際機構となる国際連盟憲章に、「人種平等条項」をうたうように提案したのに対して、セルビアが賛成票を投じてくれたことに、御礼を述べた。

 すると、女性の大使が驚いて、「着任してから、このことについて御礼をいわれたのは、はじめてです」といって、喜んでくれた。

 幕末にアメリカをはじめとした、西洋諸国の艦隊が来寇するまでの日本は、まさに「ガラパゴス化」という比喩が、当たった。

 2月はじめに、宗教界の指導者が集まった新年会が、都内の明治記念館で催された。

 いつものように、仏教諸派、教派神道の領袖から、カトリック教会の司教までが和気藹藹と、テーブルを囲んでいた。

 神社本庁の田中恆清総長が開会の挨拶をされた後に、乾杯の発声を行うように依頼された。

 私は幕末から明治にかけて、日本の浮世絵を中心としたジャポニズムが、西洋の絵画、庭園、建築、服飾などに深奥な影響を及ぼしたが、視覚的なものにとどまったのが、いまでは日本の万物に霊(アニメ)が宿っているアニメや、自然と1つになった和食、エコロジーから、和の心まで、かつてのジャポニズムをはるかに大きく超える精神的な日本の高波が世界を洗っており、和の信仰をひろめることによって、抗争に明け暮れる人類を救う使命が、各位の肩にかかっていると述べて、杯をあげた。

 日本の文化の出番だ

 抗争が絶え間ない理性の時代が疲れ果て、近代が老いてしまったなかで、日本の心の文化の出番が迫っている。

 11月にローマ法王が、長崎、広島を訪れるが、このところ法王が仇敵であってきたユダヤ教のシナゴーグ(礼拝堂)の祭壇に跪いたり、ロシア正教の総司教と和解したり、かつては考えられなかったことが起るようになっている。

 西洋ではより寛容な社会が到来して、日本の和の心の根といってよいエコロジーが、キリスト教に取って代わりつつある。

 私たちは世界に日本の時代が訪れることを、目前にしている。


  アントニオ・グラムシを知っていますか?
    Date : 2019/03/25 (Mon)
 平成の最後となる新しい年が、明けた。

 いつものように、八百万千万様(やおろずちよろずさま)に感謝したうえで、屠蘇を酌みながら、色鮮やかな御節にしばしみとれた。

 このような親から子へ受け継がれてきた慣習が、日本を日本たらしめてきた。

 祖母や父母が、初(はつ)明り、元旦の空の色を初茜(はつあかね)、年が明けて初めて食べるものを初物(はつもの)、はじめての入浴を初湯(はつゆ)、はじめて見る雀を初雀、鳥の声を「あ、初声(はつごえ)だ」や、初買いといったものだった。

 母が初化粧、初髪、はじめて着物に袖を通すのを初袷(はつあわせ)というたびに、子供心にすべてが改まるのだと思って、心が引き締まった。

 三賀日には、友人たちが家にいても退屈なのか、年賀に訪れてくれた。それでも、年が改まってはじめて会う初会(はつえ)だから、清々(すがすが)しい。

 もう3、40年になるか、このところ新年が新年らしくなくなった。

 近くの神社に詣でるために通りに出ると、初荷もなくなった。

 初(はつ)がつく言葉といったら、初夢、初詣、出初式、魚河岸(かし)、青果市場(やっちゃば)の初商い、茶道の初釜、武道の初稽古など、数えるほどしか残っていない。昭和は遠くなった。

 年末からの休みを、昨秋ワシントンを訪れた時に、アントニオ・グラムシ(1891年〜1937年)の英文の著作集を求めて、久し振りに読んだ。

 グラムシはイタリア共産党の傑出した思想家だったが、私は1960年代にアメリカに留学した時に著作集に出会った。読みなおすと、この異端な共産主義者による予言が当たっていることに、慄然とさせられた。

 グラムシは当然のことに、共産主義者としてグローバリストであり、「ヘゲモニー(指導)装置」と呼ぶ「国家の消滅」を目標としたが、階級闘争によって歴史の必然として革命が成就して、共産社会が実現するというマルキシズムの理論を否定して、第2次大戦前の1937年以前に、粗暴で権威主義だとみたロシア(ソ連、中国、北朝鮮など)モデルの社会主義体制が、瓦解することを予見していた。

 グラムシは先進国において科学技術が進み、豊かさが増した結果、上部構造に従属してきた社会集団が分解して、ヘゲモニーが理論も、革命への自覚も欠き、まったく組織されることがない、一般の人々に移ることによって、国家が漸進的に消滅してゆくことになると、見透した。

 グラムシは伝統に根ざしている慣習を、「歴史的堆積物」と呼んで、滓(おり)とみなした。人々が在来文化の鎖によって繋がれてきたが、古い鎖が溶解してゆこうと説いた。

 グラムシは慣習によって束縛されてきた従属社会集団が、個人に何よりも高い価値が与えられることによって、解体してゆくことを予見していた。私たちの身の回りでも、社会を統べてきた慣習が、人々を束ねてきた機能を急速に失うようになっている。

 この10年ほど、アメリカではクリスマスが商人が仕掛けた罠にいっそうなるかたわら、「メリー・クリスマス」という挨拶を交わすことが、禁忌(タブー)となっている。

 アメリカの都市部で、多くの国民の教会離れが進んでいるが、無信者、ユダヤ教徒や、イスラム教徒などを差別するといって、「ハッピー・ホリデイズ」と挨拶するのが、良識とされるようになっている。

 オバマ政権の最後の年に、自分がみなしている性別に従って、男女どちらの便所を使ってもよいという、大統領令が発せられた。さすがに、いくつかの州が憲法違反として、連邦最高裁に提訴した。

 この大統領令は、トランプ政権によって撤回されたものの、リベラルな有権者の牙城であるカリフォルニア州では、いまだに多くの保育施設、幼稚園、学校などのトイレに、「ジェンダー・フリー」(性別なし)と掲示しており、保守派の州民が強く反発している。

 4年前になるが、『ニューヨーク・タイムズ』紙が、「ミスター、ミセス、ミス」と呼ぶと、「差別」になるから、「Mx」と呼ぶのが正しいという、かなり大きな記事を載せていた。

 その数日後に、アメリカ大使館のクリントン大使の次席だった、女性の公使と夕食会で会ったので、「Mxを何と発音するのですか?」とたずねたところ、あなたはアメリカ通を自称しているくせに、そんなことも知らないのかという表情を浮べて、「それは“ミックス”と発音します」と、教えられた。

 このところ、日本を含めて先進社会で、“差別語”を排除する“言葉狩り”が、力を増している。

 グラムシは言葉が備えている強い力に注目して、「言語は世界観を表しており、日常用いられる言葉が、人々の思考を変えてゆく」と述べているが、言葉と慣習こそが社会をつくってきた。

 私はグラムシの論集をはじめて読んだ時には、才気溢れる夢想家だとしか思わなかった。だが、未来を予見していたのだ。

 個人を聖なる地位につけると、すべての人のありかたを尊重せざるをえなくなって、差別と区別の境い目が消える。男女をはじめ、区別すること自体が差別となる。

 日本でもLGBTが市民権をえて、脚光を集めている。レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスセクシュアル(性同一性障害者)の頭文字であり、先天的、後天的な性的指向をもつ人々を指している。

 昨年、杉田水脈衆議院議員が「少子化対策の予算を、LGBTに使うこと」を批判したところ、メディアによって叩かれた。1月に平沢勝栄代議士が講演会で、「LGBTなど同性愛者ばかりとなると、国が潰れてしまう」と述べて、非難を浴びた。

 私は杉田議員、平沢議員による指摘のほうが正しく、大騒ぎするほうが誤まっていると思う。

 もっとも、アメリカでは『ニューヨーク・タイムズ』をはじめ、大手の新聞、テレビは「LGBTQ」といって、かならず「Q」がついている。Qはクイアーqueer(変態)で、クイアーも差別の対象としてはならない。10年ほど前までは、「クイアー」は白眼視されたが、いまでは胸を張って「私は(アイム・)変態だ(クイアー)」といえるようになっている。いまのところ、日本ではまだQが除外されている。
イギリスでは『ロンドン・タイムス』をはじめ大手のメディアが、LGBTQIといって、Iを加えている。Iは「インターセックス」の頭文字で、自分が男か女か分からない人を指しているそうだ。

 最近、イギリスで行われた調査によると、LGBTQIが市民権をえるようになってから、LGBTQIの人口が急増している。イギリスの知識人雑誌『スペクテイター』によれば、LGBTQIが3人に1人に達しているという。

 イギリスの友人からロンドンの街角で、スシなどの日本料理を宅配するバンに、「Creating a world where everyone believes in their authenticity」(自分の価値を確認できる世界を創ろう)という宣伝文がかかれていたのを見た、という手紙を貰った。

 和食がひろまっていると知らせてくれたのだが、私にはいったいどうして、和食が自分の価値に係わっているのか、理解できなかった。

 他のあらゆる商品についても、消費者が自己中心になって、自分が聖なるものとなったために、1人ひとりの嗜好に合わせなければならない。画一的な大量生産、大量販売の時代が、過去のものになってしまった。

 それとともに、画一的だったからこそ、時代を超えて社会を束ねてきた慣習が、力を衰えさせるようになっている。

 グラムシは、トランプ政権の「アメリカ・ファースト」、アンチ・グローバリズムのイデオローグの教本となっているといわれる。ホワイトハウスの国家安全会議(NSC)の親しい補佐官も、「アメリカが溶解してゆくのを防がねばならない」といって、熟読していた。


  8ヶ月ぶりの米朝首脳会談 手ぶらで帰った金正恩委員長の誤算
    Date : 2019/03/22 (Fri)
 8ヶ月ぶりにハノイで、米朝首脳会談が開かれた。物別れになったのは、上首尾だった。

 サミットの前日、私は都内の帝国ホテルで、経営者団体の例会で講演を行った。

 私は「北朝鮮が核兵器を手放すことはありえない。米朝サミットは、まったく成果がなく終わろう」と、予想した。

 トランプ大統領は会談後、金正恩委員長を「よい友人だ」と誉めそやしたが、何一つ土産を渡すことがなかった。アメリカは北朝鮮に対する経済制裁を緩めないから、金委員長の苦境が深まることになる。

 北朝鮮はアメリカと話し合っているかぎり、核実験や、ミサイルの試射を行えない。これは、トランプ大統領の大きな功績だ。

 金委員長は、ハノイでしくじった。トランプ大統領が“ロシア疑惑”によって追い詰められ、来年の大統領選挙へ向けて功名をたてるのを焦っているから、北朝鮮に譲ろうという、アメリカの偏向したマスコミの報道によって、日本の識者と同じように騙されたのだ。

 アメリカの主要なマスコミは、日本のマスコミが「反安倍」であるように、根のない反トランプ報道に血道をあげている。

“ロシア疑惑”はトランプ政権の致命傷にならないし、トランプ大統領の支持率はかえってあがっている。

 このままゆけば、トランプ大統領は再選されることとなろう。

 民主党はこの前の大統領選挙で、金粉に塗(まみ)れたヒラリー候補を担いで敗れてしまった反動として、これまで大統領選に名乗りをあげた候補は、全員が左旋回している。

 レースに加わった顔触れのなかで、誰よりも支持が高く、最有力といわれているのが、前の選挙でヒラリー候補に肉迫をした、77歳のバニー・サンダース上院議員だ。サンダース議員は自らを「社会主義者(ソシアリスト)」だと呼んでいるが、昔、ソ連を称えたこともあった。

 大統領候補の指名レースに参入した顔触れの大多数が、「民主社会主義者」だといって、経済格差の解消、富裕税の導入、社会保障の充実、国民健康皆保険、環境保全、国防費の削減などを訴えている。

 やはり77歳になるジョー・バイデン前副大統領は民主党主流派で、出馬すれば有力候補になるといわれる。

 「社会主義(ソシアリズム)」という言葉が、アメリカで甦ったのは、稀有(けう)なことだ。これらの候補の支持者は、北欧型の高度福祉国家を目指している。“アメリカ・ファースト”の変形だといえるが、日本を守る意欲が萎えよう。

 たしかにアメリカでは、富裕層と一般国民との所得の格差が拡大してきた。日本ではカルロス・ゴーン前日産会長が、国民からみて桁外れな報酬を手にしていたが、アメリカの新聞によれば、2017年にゴーン氏の1690万ドルに対して、日産より規模が小さいGMのマリー・バラ会長が2190万ドルを受け取っていた。世界一の自動車メーカーのトヨタの会長は、僅か400万ドルだった。

 習近平国家主席も終身主席となって悦に入っていたが、米中対決を免れようとして、トランプ大統領のもっぱら鼻息を窺っている。

 北朝鮮が非核化することはありえないし、中国も、アジアと太平洋の覇権を握る野望を、捨てることはない。

 日本が直面する大きな脅威が、3つある。中国と北朝鮮と、日本国憲法だ。日本は憲法が自国の存立を脅かしている、唯一つの国だ。


  「専守防衛」ほど無意味なものはない
    Date : 2019/03/04 (Mon)
 日本は世界のなかで、自国の憲法が安全保障の最大の脅威となっている、唯一つの国だ。

 憲法はその国の精神を、表わしている。

 前文が、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」と述べて、日本だけに先の大戦の全責任を、一方的に負わせて、日本が悪い国だときめつけている。

 この憲法のもとで、日本は自虐的な態度をとってきたために、国外から軽くみられ、虐げられる原因をつくってきた。

 前文はさらに、一国の安全を世界の「諸国の公正と信頼して、われらの安全と生存を保持」すると、宣言している。
日本国憲法が世界の現実を歪めてきたために、国民が危険な幻想に浸ってきた。

 日本は人にたとえれば、幻視、幻聴を病んできたために、人格が崩壊して、正常な社会的関係を結ぶことができない統合失調症を患っている。

 このところ、韓国が日本を好き放題に嬲(なぶ)っているために、日本で嫌韓感情が沸騰している。 

 書店に嫌韓本が並び、雑誌も韓国に呆れ果てて、韓国を憐れむ記事で埋まっている。

 慰安婦(ウイアンプ)など両国間の合意を踏み躙ったうえで、徴用工(ジンヨンゴン)、火器管制レーダーの照射問題など、常軌を逸した振舞いがとまらない。

 韓国は現実を無視して妄想にとらわれているから、とうてい国家と呼べない。日本中が韓国を疫病のように、みるようになっている。

 韓国は国として体をなしていない。政府もどう対応したらよいか、途方に暮れている。

 だが、いったい日本に韓国を見下したり、嘲る資格があるものだろうか。

 昨年、政府が3万トン級の“いずも型”ヘリコプター搭載護衛艦を空母に改装して、F35Bステルス戦闘機を搭載すると発表すると、岩屋防衛相が「状況に応じて戦闘機を載せるから、他国への脅威とはならない」と述べ、自公与党が「専守防衛の枠内で運用する」という確認書を交換した。

 だが、危機が迫ってから、艦載機を載せるのでは、訓練や運用に支障はないのだろうか。

 テレビのワイドショーで、識者が真顔をして「攻撃空母を保有するのは、憲法違反だ」と述べていたが、番組の他の出演者は誰も非常識な発言だと、思わなかった。多くの視聴者も同じことだったろう。

 中国の国防支出は中国政府の発表によっても、1988年以後、毎年2桁で増して、日本の10倍以上もあり、アメリカにつぐ軍事大国となっている。
 
 私には“いずも級”護衛艦を、F35B戦闘機を8機か、10機搭載する小型空母に改装しても、どうして中国に脅威を与えることになるのか、理解できない。

 「専守防衛」という言葉は、日本国憲法と同じように、日本の国内にだけ通用して、外国語に訳することが、まったくできない。「専守」という概念自体が、世界のどこにも存在していない、無意味な言葉だ。

 日本語でも、具体的に何を意味しているのか、分からない。

 いったい「専守に徹する」スポーツ競技が、あるものだろうか。読者諸賢のなかで、説明できる方がいられるだろうか。「必要最小限の防衛力」も、意味がない言葉だ。

 日本の独立と国民の生命を、わけが分からない言葉に託して、よいはずがない。

 人体の健康と同じように、平和は努力して守らねばならない。平和を守る努力をしないのでは、平和を大切にしているといえない。


  安全保障の脅威は日本国憲法 「専守防衛」は日本だけが使う言葉
    Date : 2019/02/22 (Fri)
 韓国の文在寅政権が日本を好きなように嬲(なぶ)っているのに対して、日本で嫌韓感情が沸騰している。

 書店に嫌韓本が並び、雑誌も韓国に呆れ果てて、韓国を憐れむ記事で埋まっている。

 慰安婦(ウイアンプ)をめぐる合意を踏み躙ったうえで、徴用工(ジンヨンゴン)、火器管制レーダーの照射問題に続いて、文大統領が日本に「反省(パンソン)を求める」発言を行い、常軌を逸した振舞いがとまらない。

 韓国は現実に目をつむって、妄想にとらわれている。とうてい国家と呼べない。

 日本中が韓国を疫病のようにみなすようになっている。政府もどう対応したらよいか、途方に暮れている。つける薬がないのだ。

 韓国は頭痛の種だ。といっても、日韓関係を軋(きし)ませた責任は、慰安婦問題をつくりだした朝日新聞と、故なく謝罪した河野洋平官房長官(当時)など、韓国に対して毅然たる態度をとるべきところを、紙面を売るためにニュースを捏造したり、侮られるもとをつくった日本側にある。

 日本は自虐的な態度をとってきたために、は国外から軽くみられて、虐げられる原因をつくってきた。

 韓国は歴史を通じて中国の属国(ソグク)だったために、物事を自主的に決める力がなく、強い者に諂うかたわら、弱い者に対して居丈高になって、苛める習性がある。

 韓国は国として体をなしていない。このままでは、国として成り立ってゆかないだろう。

 憐れむべき国だ。だが、いったい日本に韓国を見下したり、嘲る資格があるものだろうかと思う。

 昨年、政府が3万トン級の“いずも型”ヘリコプター搭載護衛艦を空母に改装して、F35Bステルス戦闘機を搭載すると発表したが、自公与党が「専守防衛の枠内で運用する」という確認書を交換した。

 テレビで識者が真顔をして、「攻撃空母を保有するのは、憲法違反だ」と述べていたが、番組の他の出演者は、誰も非常識な発言だと思わなかった。多くの視聴者も、同じことだったにちがいない。

 中国の国防支出は中国政府の発表によっても、1988年以後、毎年2桁で増して、日本の10倍以上もあり、アメリカにつぐ軍事力を擁している。

 私には、“いずも級”護衛艦を、F35B戦闘機を8機か、10機搭載する小型空母に改装しても、どうして中国に脅威を与えることになるのか、理解することができない。

 本誌の前号でも指摘したが、「専守防衛」という言葉は、日本の国内だけで通用して、外国語に訳することがまったくできない。「専守」という概念自体が、世界のどこにも存在していない、意味がない言葉だ。

 いったい、「専守する」スポーツ競技があるものだろうか。「必要最小限の防衛力」といっても、武芸や、スポーツに適用できるだろうか。

 一国の安全を「諸国の公正に信頼して、われらの安全と生存を保持」するという日本国憲法からして、世界の現実を受けいれることを拒んで、妄想に浸っている。

 日本は人にたとえれば、幻視、幻聴を病んでいるために、人格が崩壊して、正常な社会的な関係を結べない、統合失調症を患っている。

 日本は自国の憲法が安全保障の最大の脅威となっている、唯一つの国だ。


  グローバリズムを破壊したトランプ政権の功罪
    Date : 2019/02/12 (Tue)
 トランプ大統領は、大手マスコミによれば乱暴・粗暴で、勝手な思い込みによって、相手構わず独り芝居をしているといわれるが、昨年11月で2年が経過した。

 トランプ大統領は、それまでアメリカの政治のまったくの部外者だったが、登場したことによって、世界に激震が走り、世界のありかたが大きく変わった。

 トランプ政権の2年間をひと口でいえば、国際主義――グローバリズムが支配していた世界を破壊して、世界の潮流を逆流させた。僅か2年で、それぞれの国を伝統的な姿――というと、古い世界に戻した。

 グローバリズムが何だったかといえば、世界経済を支配下に置こうとする、アメリカの大企業がもたらしたものだ。
アメリカの大企業は利潤のみ追求して、自国の大衆を犠牲にして、無国籍な経営を行い、製造業を中国などの低賃金の諸国に放り投げてきた。

 そのために、どの国においても所得の格差が拡がって、伝統的な共生社会が破壊され、人と社会、人と人との繋がりが断ち切られた。

 そのかわりに「個」を尊重して、いっさいの差別や、区別を悪とみなすようになった。オバマ政権のもとで大統領令が発せられて、自分が信じる性によって、男女どちらのトイレを使ってもよいことになり、LGBTをはじめとする人々が、大手を振って闊歩するようになった。

 『ニューヨーク・タイムズ』紙をはじめとするアメリカの大手新聞は、LGBTQとかならず書いているが、日本ではさすがにQを省いている。Qはqueer(クイアー)、変態の意味であって、変態も先天的な個性とされ、今日のアメリカでは「私は変態だ」と、胸を張っていえるようになった。

 アメリカの大手メディアや、著名研究所や、富裕層、高所得の識者は、大企業によって養われて、潤(うるお)ってきたから、トランプ非難の大合唱を行っている。

 大手メディアは「トランプ大統領が、アメリカ社会を分断している」と、糾弾している。

 だが、事実はまったく違う。グローバリズムによって、アメリカ社会が分断されていたから、我慢できなくなった大衆が立ち上がって、トランプ大統領が誕生したのだった。

 金銭は国境を越えて動くから、国籍がない。グローバリズムは結局のところ、拝金主義だった。

 もっとも、拝金主義は忌まわしいが、国を富ませ、国民の活力を増すために、金(かね)を稼ぐことは、おおいに奨励されるべきことだ。

 福沢諭吉が「文明は金銭だ」と断じているが、江戸時代後期に日本精神を明らかにした国学者の本居宣長は、「金銭は有用であって、金銭が穢いという漢意(中国の偽善的な考え)に染まってはならない」と、説いている。金銭はあくまでも国力を強め、国民の福祉のために役立てなければならない。

 日本でも戦後73年にわたって「国際化」とか、「国際人」がもて囃され、グローバリズムによって蝕まれてきた。

 財務省による報告書『国際収支状況』によれば、日本企業による平成17(2005)年から平成25(2013)年までの海外直接投資額は、アメリカが1位で18兆5634億円、2位が中国で7兆890億円、3位がオランダで6兆4千億円強、4位がイギリスの5兆円強、5位がケイマン諸島の6兆2千億円あまりだった。

 多くの日本企業の工場が、アメリカ、中国、イギリスに存在するものの、オランダにはゴーン前日産会長の豪邸がある他には、ケイマン諸島と同じように何もないから、納税を回避するのを目的としていたと思われる。

 トランプ政権の「アメリカ・ファースト」は、アメリカの国益を重んじようという雄叫びだ。時代が「日本ファースト」に立ち戻ることを、求めている。


  憲法改正には、女性の声がどうしても必要だ
    Date : 2019/02/05 (Tue)
 私は仕事で、アメリカや、ヨーロッパをしばしば訪れてきた。いまでも毎年、ワシントンに春と秋に通っている。

 欧米ではカーナビをはじめ、さまざまな案内や指示が、男性の声によって行われているほうが多い。ところが、なぜか、日本ではほとんどが、女性の声だ。

 交差点では、交番の拡声器から女性警察官の声で、「左右をよく見て、お渡り下さい」という注意が流れてくる。

 なぜなのだろうか。どうして案内や、指示というと、日本では女性の声が用いられるのだろうか。

 日本は女性が優っている国なのだ。女性が家庭を取りしきって、支配している。父親ではなく、母親が家庭の中心だ。男たちは幼い時から、母親によって育てられ、躾けられる。

 日本では男たちは、女性の声には安心して従うものの、男性の声だと反発して、すなおに受け容れない。

 日本では祖国を、母国と呼ぶ。出身校は母校だ。敷地のなかで、もっとも大きな家は母屋(おもや)だ。乳母車(うばぐるま)や、トラックにかかっているホロを、「母衣(ほろ)」と書くが、武士が戦場で首筋を守るために、後頭部にかけた鎖の綱のことだ。いつも、母が守ってくれるのだ。

 英語、ドイツ語では、「母国」(マザーランド、ムターラント)ともいうが、「父国」(ファーザーランド、ファータラント)とも呼ぶ。フランス語になると、「父国」(ラ・パトリ)しかない。

 母親はできる子も、できない子も、均しく愛してくれる。父親はできる子と、できない子を区別する。日本が平等な和の国であるのに対して、西洋は厳しい競争社会だ。

 西洋は男尊女卑の社会だ。女は弱者だから大切に扱われるが、女のほうが男に甘えて我儘(わがまま)になる。弱い者のほうが我儘になり、強い者は耐えるものだ。日本では男が我儘で、女性が男が我儘であるのを許す。男が弱者だ。

 日本では女性が男性に対して、「男らしくしなさい」と叱るが、西洋では男から男にしか「ビー・ア・マン!」(男らしくしろ)といわない。西洋では夫が家計を握っているが、日本では夫が妻から小遣いを貰う。

 日本神話の主神は、女神の天照大御神でいらっしゃるが、西洋ではギリシャ、ローマ、北欧神話など、どの神話をとっても、主神が男性神であって、厳格な独裁神である。

 日本は歴史を通じて人と人との和を、もっとも大切にしてきたために、平安時代の400年、江戸時代の260年にわたって、平和が保たれた。このように長く平和を享受した国は、世界のなかで日本しかない。これも、女性が優っている国だからだろう。

 いま、日本を取り巻く国際環境が激変している。日本の平和を守るために、現行憲法を一刻も早く修正する必要に迫られている。

 ところが、12月に終わった国会会期では、憲法審査会が開かれたのに、野党が改憲について論議するのを拒んだので、憲法が論じられなかった。

 野党は憲法を軽視して、おろそかにしている。もし、真剣に護憲を主張しているのなら、「日本がアメリカの占領下のままでいるべきだ」と、どうして堂々と主張しないのか。

 日本の平和を保ってゆくためには、憲法を厳しい現実に合わせなければならない。

 憲法を改めるためには、女性の声がどうしても必要だ。女性が男たちを励まして、憲法改正運動の先頭に立ってほしい。


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