加瀬英明のコラム
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  日本を守るC 日本最大の脅威は「憲法」
    Date : 2019/08/21 (Wed)
 日本が直面する最大の脅威は何だろうか? 中国でも、北朝鮮でも、ロシアでもない。

 正解は日本国憲法だ。こんな間抜けた憲法を戴いている国は、世界に日本しかない。

 イギリスの大歴史家トインビーは、「古代ローマ帝国を滅ぼしたのは、帝国の辺境を脅かしていた野蛮人ではなく、国内で“パンとサーカス”の享楽に耽(ふけ)っていた野蛮人だった」と、ローマ国民だったと断じている。

 日本国民の多くが一国平和主義をほめたたえているが、一国享楽主義でしかない。

 現行憲法は米国が占領下で日本から永久に軍備を奪って属領にすることをはかった、どう読んでもべらぼうな代物(しろもの)だ。箆棒(べらぼう)は江戸時代前期の見世物の信じがたい異様な化物の名で、馬鹿、たわけを意味するようになった。

 日本は独立を回復して67年たつが、日本国民はこのべらぼうな憲法を改めていない。日本国民はそれほどたわけなのか?

 いや、日本はアジアで唯一つ先進国となった利発な国だ。だったら、原因は何だろうか。

 江戸時代に3世紀近く平和が続いた。徳川家の支配を永続させるのを目的としたから、新しい政治思想を禁じ、能力主義を斥けて、血筋と年功序列による硬直した体制をとった。

 徳川幕府による平和は、明治以後の日本の呪いとなった。
幕府は泰平を維持するために、何より戦乱を恐れた。武士は幕府が統治思想とした儒教漬けにされたが、孫子の兵法の心髄である「兵者詭道也(へいはきどうなり)」(敵を騙すこと)を学ばせなかった。幕府は儒教の王道を重んじて、詭計を否定し、戦略思考がタブーとなった。

 武士道は戦うことが目的でなくなり、勝つことではなく、「死ぬ」ことに価値が与えられ、精神修養の哲学に退化した。

 江戸時代の庶民を涌かせた『忠臣蔵』は、吉良邸に突入する前に、正門前で大石内蔵助が山鹿(やまが)流の陣太鼓を高らかに打ち鳴らすのが、見世場となっている。47士は奇襲したはずだったが、奇襲となると王道に反した。

 明治維新が徳川体制を一新したから、才気ある人々が国を導いたが、日清日露戦争に勝つと、自信過剰を患って江戸時代へ戻った。

 日本は先の対米戦争で、軍官が年功序列によったために、ボロ負けした。戦後、高度経済成長によって、世界第2位の経済大国となると、日露戦争後に似るようになった。

 日本国憲法が戦略思考を奪ったために、憲法が家康公の祖法となってしまった。


  日本を守るB 中国・習主席の勘違いで“救われた日本”
    Date : 2019/08/19 (Mon)
 日本は72年前に占領下で強要された“平和憲法”と引き替えに、独立の気概を失って、北朝鮮から、ホルムズ海峡の安全航行まで、米国に頼っている。

 日本は北朝鮮によって拉致された日本国民を、自分の力で救えない。トランプ大統領に訴えるほかない。まるで米国が拉致したようだ。拉致被害者は“平和憲法”の被害者だ。

 習近平主席は台湾を軍事力を用いて「統一する」と、繰り返し言明している。台湾が中国に奪われたら、日本は海上交通路を絶たれて、独立を維持することができない。

 日本と台湾は一蓮托生の関係にある。一身同体だ。それなのに台湾の安全も、米国に委ねて傍観している。

 中国の日本に対する脅威が募っている。日本は米国なしに、まったく対処できない。

 日本を守るために米国様(さま)々に、ひたすらお縋(すが)りしなければならない。

 ところが、トランプ政権が2年前に登場すると、米国はトランプ支持派と、リベラル派の民主党を支持者の真2つに、分断された。

 日本が縋ってきた米国が、国内対立によって頼れないようにみえた。

 日本が危なかった! ところが、この危機を意外な助っ人が現われて、救ってくれた。中国の習近平主席である。

 トランプ政権が発足すると、習主席は米国が混乱して、力が衰えたと勘違いして、いよいよ中国の時代がきたと、舞いあがった。オバマ前政権に南シナ海の人工島を軍事化しないと明言したのにミサイルを配備し、野心的な「一帯一路」計画を暴走させて、スリランカ、カンボジアなどの軍港を借款のカタに取りあげるなど、傍若無人に振る舞いはじめた。

 中国は米国市場に経済を、依存している。先端技術も米国から盗んできた。寄生虫のような存在なのに、米国に対して牙をむいた。

 いってみれば、子会社が親会社を乗っ取ろうとしたのだ。
トランプ政権は中国と正面から対決することを決断し、関税戦争を始めるとともに、中国へのハイテクノロジーの供給を絶った。

 米国では、中国の目に余る振舞いに、民主党も中国を抑えつけようと、全国民が歩調を合わせている。

 習主席が分断されていた米国を、団結させたのだ。そのために巨大な米国の力が損なわれることが、なかった。

 日本が救われた。習さん、ありがとう!


  日本を守るA イランの核開発と北朝鮮の核兵器放棄 トランプどう解決するのか
    Date : 2019/08/19 (Mon)
 いったい、トランプ大統領はイランと北朝鮮を、どうするつもりなのか?

 イランは幅36キロのホルムズ海峡に面して、日本の首根っこを押さえ、北朝鮮は米朝交渉が行き詰まったら、日本の近海にミサイルを撃ち込んで、日本国民を震えあがらせよう。

 トランプ大統領はイランとも、北朝鮮とも戦いたくない。
トランプ大統領は昨年、米軍を中東から全面的に撤収することを発表したものの、実現できないでいるが、7月末にまずアフガニスタンから始めることを明らかにした。

 トランプ大統領は、米軍を海外から引き揚げたことを、レガシーとしたい。

 来年11月の大統領選挙の前に、アフガニスタンから足を洗ったことを功績としたいのだ。

 ところが、7月にサウジアラビアに小規模の米軍部隊を派遣した。

 トランプ大統領は3回にわたった米朝首脳会談が、北朝鮮に核実験と中長距離弾道弾の発射を休ませたほかに何一つ成果がなく、すれ違いに終わったのに、まだ話し合うといい、金正恩主席に微笑み続けている。

 米国はイランに核開発と並んで、中東の安定を乱しているのをやめさせたい。だが、イランの最高指導者ハメネイ師を擁抱して会談しようとしない。

 イランは北朝鮮と同じ強権による独裁国家なのに、ハメネイ師が金主席のような唯一人の独裁者ではなく、僧侶勢力、革命防衛隊など、頭が多い八岐大蛇(やまたのおろち)もどきの体制だからだ。

 イスラム教は2大宗派に分かれて、デスマッチを展開している。イランが率いるシーア派と、サウジアラビアなど中東の大多数の諸国のスンニー派の死闘だ。

 ヨーロッパでは16世紀、17世紀にかけて、キリスト教がカトリック旧教とプロテスタント新教のあいだで凄惨な宗教戦争を戦い、ヨーロッパ全土を荒廃させた。イスラム教は紀元7世紀に生まれた、まだ若い宗教だ。

 アメリカはイランの核開発と、北朝鮮の核兵器を放棄させるのに、成功するのだろうか。

 核開発と核戦力の増強を先送りできても、放棄させることはできるはずがない。

 日本は“平和国家”だから、北朝鮮もホルムズ海峡の安全も、米国にまかせている。

 もし日本が戦後独立を回復して、占領憲法をすぐに改めて、日本の経済規模の半分しかないイギリスか、フランス程度の軍事力を持っていたら、拉致問題も起らなかったはずだ。


  日本を守る@ 韓国「反日」熱の裏側
    Date : 2019/08/19 (Mon)
 韓国の反日熱が燃えさかって、日本国民が嫌韓感情をいやおうにも募らせている。

 フランスと韓国はよく似ている。ナチス・ドイツの占領下でフランス国民はナチスに協力したが、ユダヤ人狩りを行い、アウシュビッツなどの絶滅収容所へ送った。だが、連合軍の手で独立を回復すると、全員がレジスタンスに加わったふりをするようになった。

 韓国民は36年の日本統治にあげて協力した。日韓併合10年目に3・1独立運動事件が起ったのが唯一つの例外だが、一過性のものだった。裁判で誰1人死刑にならなかった。

 外国による占領、統治に積極的に協力した国民ほど独立を回復すると、負い目を晴らすために過剰な愛国的行動に走る。韓国の反日熱は、いかに日本統治を喜んだか証している。

 6月にイランをめぐる危機が燃えあがった。

 イランと北朝鮮は共通点が多い。イランが核兵器開発を進めてきたかたわら、北朝鮮はすでに核弾頭を持っているが、トランプ政権による厳しい経済制裁により喘いでいる。中露なども、米国の制裁を恐れて加わっている。

 イランと北朝鮮はイランがキムチを食べないし、禁酒とか違いも多い。

 イランは地理が有利だ。ペルシア湾の狭い入り口のホルムズ海峡の東側がイランだ。日本の石油・天然ガスの80%以上、西欧諸国にとってもエネルギーの大動脈だ。イランはイスラム教主流のスンニーと、不俱戴天の2大宗派の一方のシーアの総本家で、米国、イスラエルが支援するスンニー諸国でシーアや、イラン革命防衛隊や、代理兵を使って紛争を起している。北朝鮮は地域的な影響力がない。

 イランも北朝鮮も、米国による経済制裁を何とか緩和させようとして、駄々をこねている。イランは米国の無人偵察機を撃墜し、ホルムズ海峡周辺で日本などのタンカーを攻撃、イギリスのタンカーを拿捕(だほ)し、ウラン濃縮の度合いを高めた。北朝鮮は5月と7月に、短距離ミサイルを発射した。

 ペルシア湾は一触即発だ。だが、トランプ大統領も口では勇ましいことをいっても、戦いたくない。イランを攻撃したら、中東各地でイランの代理兵が、米軍を攻撃しよう。

 トランプ政権はホルムズ海峡の自由航行を確保するために、有志連合を結成して、海軍部隊を派遣するように求めている。

 日本が米国に日本船を護るのを委ねたいというのなら、京都アニメのような火災も、米国の消防隊に消してもらおう。


  人間社会を蝕むカネとテクノロジー
    Date : 2019/08/09 (Fri)
 この30年ほどだろうか、日本の都会に住んでいると、市井の人々もかつての王侯貴族のような生活を営んでいる。

 贅を極めているのに、贅に耽っていることに、気付かないほどの贅沢はない。私たちの日常がまさにそうだ。

 スマホを使って世界中の料理が、自宅まで届けられる。タクシーを拾って、運転手に行き先をいえばよい。指先1つで冷房、暖房によって、冷暖がもたらされる。昔だったら召使が大きな扇であおるか、氷柱を据えるか、暖炉の薪を燃した。

 いまでは、あらゆるサービスが身の回りにある。サービスserviceの語源は、ラテン語で「奴隷」を意味する、「セルヴスservus」だ。

 日本は世界のなかで奴隷が存在しなかった、珍しい文化だ。民主主義が発祥したといわれる古代ギリシアの市民生活は、奴隷によって支えられていたが、ヨーロッパ、アメリカでは19世紀というと、このあいだまで奴隷が存在した。
英語の召使サーバントservantという言葉も、「セルヴラservula」女奴隷、「セルヴラス男奴隷servulus」から発している。

 日産のゴーン前会長が、巨額を横領した容疑で起訴されているが、日本の常識からして、古い言葉を使えば、箆棒(べらぼう)な報酬を得ていた。べらぼうは信じがたい、という意味だ。

 アメリカや、ヨーロッパの友人と、ゴーン前会長の桁外れの報酬について話題にしても、少しも驚かない。日産よりも小さなGM(ジェネラル・モーターズ)の会長の給料は、ゴーン氏よりはるかに高いものだ。日本のトヨタの会長の報酬の100倍以上も、貰っている。

 やはり西洋は長いあいだにわたって、奴隷社会であったからだ。経営者からみれば、下積みの社員は奴隷でしかない。

 いまでは工業用ロボットや、AIが、私たちの日常生活を支えている。

 新しいテクノロジーが私たちの生活に、大きな変革をもたらしていることを、毎日、肌で感じさせられる。

 日本はOECD(経済開発協力機構)に、加盟している。36ヶ国が加わる先進国の経済クラブだが、メキシコとか、スロベニア、リトアニアのような新興経済諸国も、入っている。

 OECDのなかの先進諸国は、どの国も「人手不足」の悲鳴をあげている。日本も例外ではない。

 アメリカでは、失業率が3.6%まで落ちているが、半世紀ぶりのことだ。日本では10年前の平成11(2009)年には、失業率が5.09%だったのが、今年4月には2.4%まで急落している。イギリス、ドイツ、フランスをはじめとする諸国でも、「求人難」が深刻だ。

 「ジョブス・ブーム」(就業ブーム)といわれるが、これは政府の政策によって、景気が上向いたからではない。

 庶民のなかにはロボットや、AIによる自動化によって、人々が職を奪われることになると杞憂する声があるが、杞憂は古代中国の杞の国の無知な民衆が、空が落ちてくることを憂えた偶話にもとづいている。

 どうして就業ブームが、起っているのだろうか。ハイ・テクノロジーがつぎつぎと新しい職業を、生み出しているのだ。サービス業は、人手を必要とする。求人については、先進諸国ではパソコン、スマホによって、新聞から三行広告が消えて、求人と求職が効率よく結ばれるようになっている。

 ハイ・テクノロジーと金(かね)が、私たちを支配するようになっている。人と人との絆が金(かね)によって結ばれるから、絆が短時間で使い捨てになる。家族の結びつきが、弱まる。

 そのうえ、テクノロジーは理によってつくられているから、心も情もない。だが、人の心は生きているから、金(かね)とテクノロジーだけを相手にすると、神経症を患う者が急増する。


  国民が互いに心と情を分かちあう国に
    Date : 2019/08/06 (Tue)
 今日の社会は、お金とハイテクノロジーによって、支配されている。右を向いても、左を見ても、お金とハイテクノロジーだ。

 ほとんどの人にとって、人と人との繋(つな)がりも、金(かね)による。お金もハイテクノロジーも、数字によって成り立っている。だが、お金やハイテクノロジーや数字には、心も情もない。

 私たちの身の回りのあらゆることが、数字によって計られている。老後は貯蓄が二千万円なければ暮してゆけないとか、経済成長率、物価上昇率、時間、血圧、血糖値、ものの値段‥‥によって、頭がいっぱいだ。

 個人が何よりも、大切だ。いつの間にか、個人がもっとも尊い存在となっている。家族や一族や国は、個人の下に位置している。

 個人という言葉は明治に入るまで、日本語のなかに存在しなかった。西洋語を翻訳してつくった、明治新語の1つだ。

 それまでは、日本人は持ちつ持たれつで、心と情を共有して生きていたから、自己だけを主張する「個人」という発想がなかった。

 つい3、40年前までは、人々は心と情によって結ばれていた。縁を大切にして「ご縁をいただいて」と、いったものだった。いまではお金の「円」が、縁を駆逐してしまった。

 お金はいったんつかってしまったら、何も残らない。金(かね)が人と人の絆(きずな)になると、刹那(せつな)の結びつきになる。

 人々がお金とハイテクノロジーによって動かされ、心も情もない社会に生きるようになると、人の心は生きているから、心が傷ついて、神経症を患う者が増えることになる。

 全員が口を揃えて、現代生活の「ストレス」を訴えるが、この言葉も3、40年前に存在しなかった。そのために家庭内暴力や、60歳になっても引きこもる人々が、珍しくない。

 かつては、お金やハイテクノロジーにかわって、道徳や、一族、地域の絆、理想が生活を律していた。

 明治22(1889)年に公布された大日本国憲法と『教育勅語』は、アメリカ占領軍によって廃止されたが、理想を説いていた。

 アメリカが占領下で、主権を失った日本に強要した日本国憲法は、日本精神を失わせて、日本に武装を禁じ丸裸にすることによって、日本がアメリカに永久に従属する国となるように、日本国民から誇りと独立精神を奪うことを、はかったものだった。

 現行憲法は、“アメリカの平和のための”「平和憲法」だった。

 ところが、日本国憲法が公布された僅か四年後に、ソ連と中国が北朝鮮を嗾(けしか)けて朝鮮戦争が始まったために、日本政府に慌てて自衛隊の前身となった警察予備隊を創設するように命じて、日本の再軍備が始まった。

 「平和憲法」は大失敗作だった。日本国憲法の賞味期間は、4年しかなかったのだ。

 その後、日本国民は賞味期限が数十年も前に切れた憲法を、食べ続けている。腐敗した、異臭がある食物をたべているようで、心身ともに健康を害している。

 現行憲法は前文で「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることがないやうに」といって、先の戦争はアメリカが仕掛けたのに、責任を日本だけに負わせて、日本が“性悪の国”だときめつけている。

 このままでは、日本が滅びる。現行憲法を改正して、前文に日本が誇るに価する国であって、家族と社会の絆を尊び、国民が心と情を分かち合う理想を、高らかに謳(うた)いたい。


  憲法を改められないのは江戸時代の呪いか
    Date : 2019/07/31 (Wed)
 6月はじめに、日本を代表する刀匠の後援会が千葉市で催された。

 松田次泰刀匠は千葉県が誇る刀工だが、鎌倉時代の古刀の作刀によって知られ、日本刀文化の継承に努めてきた。

 役員や来賓が、かわるがわる挨拶した。

 私の番になったので、「令和の御代が明けてはじめての総会ですが、『令』は『令日』『令夫人』などの『よい』を意味し、『和』は日本文化を支える、何よりももっとも基本となってきました」と前置きして、次のように述べた。

 日本の文化の源は「和」

 「日本刀、武道、女性がたの和装、茶道、華道などの日本文化は、すべてが和をもたらす基(もと)となる自制心のうえに、成り立っています。日本刀は武器であるよりも、優れた美術品であり、持ち主の邪気を祓い、心を研ぎ澄ませ、節度を持って振る舞うように求めます」

 「世界の諸国のなかで、このような清さと美しさを追求した刀剣は、他に存在しません。『清く正しく美しく』といえば、宝塚歌劇団のモットーですが、まさに日本刀をはじめとする、日本文化に当て嵌まります」

 日本刀は付属する品々とともに、国宝のなかで件数がもっとも多いが、武器として使われることが、ほとんどなかったからだ。日本刀がもっとも多く用いられたのは、幕末の京都だったろう。

 アメリカのトランプ大統領が、この前の月の5月に訪日した。

 これまでアメリカから多くの大統領を迎えたが、トランプ大統領の訪日は日米の絆がかつてないほどまでに、強いものとなったことを示した。

 アメリカはイギリスと他にない結びつきである「スペシャル・リレイションズ」によって、固く繋がれているといわれる。日米関係も米英関係に近いものとなりつつあると、痛感させられた。

 アジア太平洋はアメリカの生命線

 アジア太平洋はインド洋も加えて、アメリカの生存にとって欠かせない地域である。

 しかし、アメリカがこの地域において信頼できる国は、どこにあるだろうか? インド、タイ、ベトナム、フィリピン、ましてや韓国ではない。アメリカにとって日本しか、寄り掛かれる国はない。

 トランプ大統領と安倍首相は、5月27日に横須賀港を訪れて、海上自衛隊のヘリコプター搭載大型護衛艦『かが』に乗艦して、日米の絆を称えた。

 日本にとってこの日は、栄えある『海軍記念日』だった。明治38(1905)年に、日本海海戦によってロシア艦隊を撃滅した日だった。

 『かが』はF35B最新鋭ステルス戦闘機の母艦として、本格的な空母に改装されることになっているが、真珠湾攻撃に参加した空母の1隻である、栄光の軍艦『加賀』の艦名を継承している。

 栄光の艦『加賀』と『ワスプ』

 トランプ大統領は『かが』から退艦すると、安倍首相に見送られて、米海兵隊のヘリコプターに乗って、港内に停泊する米大型揚陸艦『ワスプ』へ移った。

『ワスプ』は昭和17(1942)年9月に、わが伊19号潜水艦がガダルカナル戦中に、南太平洋で撃沈して凱歌をあげた米空母『ワスプ』の艦名を、受け継いでいる。

 日米戦争から74年もの歳月が流れて、日米が和解したのだ。このような日米関係が常(とわ)に続いてゆくことを願いたい。

 だが、アメリカとイギリスの特殊な関係(スペシャル・リレイションズ)は、アメリカの歴史が17世紀初頭に、イギリスから『メイフラワー』号に乗って迫害から逃れた清教徒が、北アメリカ大陸に上陸した国産みから始まり、英語を分かち合っているのに対して、日米同盟は両国の一時的な便宜の産物でしかない。

 来年のアメリカ大統領選の行方は

 私はトランプ大統領がこのままゆけば、来年再選されると信じているが、対中融和政策を説くバイデン前副大統領をはじめ、次期大統領選へ向けて20数人が競っており、多くの候補が富裕税の導入、所得格差の解消、国民健康皆保険、国防費の大幅削減など、アメリカを北欧型の高度福祉国家に変えようなどと主張している。このなかの1人がホワイトハウスの金的を射止めれば、秤(はかり)が日本を軽視するほうへ傾くことになろう。

 中国が太平洋の覇権を握ろうとして、異常な軍拡を強行しているかたわら、北朝鮮が核兵器を手離すことはありえない。日本は薄氷のうえを歩んでいる。

 御代が替わったが、私は平成の30年間を、日本の周辺が風雲急を告げているというのに、何よりもアメリカの占領下で強要された欠陥憲法を改められなかったことによって、記憶しよう。

 最高法規であるべき憲法の前文の日本語の文法が、誤まっている。どうして、国語審議会が目を瞑(つむ)ってきたのか。

 現行憲法は「平和憲法」として罷り通っているが、占領軍が当時「アメリカの平和」のために強いたもので、日本政府に「これを呑まないと、天皇の一身の安全を保障できない」といって、英文の原案を手渡してから1年3ヶ月後に公布された。

 帝国憲法を全面的に書き改めたものだから、もし日本国民の手で改正したのだったら、まさか1年あまりで公布できなかったろう。

 日本国民は賢明であるのに、講和条約によって日本が独立を回復してから67年の歳月(さいげつ)を重ねたというのに、日本が独立国であることを頭から否定して、憲法ととうてい呼べない憲法を、いったいどうして、長いあいだ崇めてきたのか。

 占領軍が日本国民を洗脳して、東京裁判史観を植えつけたからだと説明されるが、日本国民はそれほど愚かなのだろうか。

 江戸時代の呪縛が続いている

 平成3年は、江戸開府400年に当たった。日光東照宮が記念事業として「江戸研究学会」を立ちあげたが、私は世界のなかで江戸時代は庶民がもっとも恵まれていたと書いたり、講演してきたので、求められて会長を引き受けた。

 江戸時代は平和がずっと続いて、庶民が豊かな生活を営み、絢爛たる文化を創り出した。

 だが、300年近く続いた平和は、明治以後の日本にとって呪いともなった。

 江戸時代の日本は、徳川家による支配を永続させることを目的としたから、新しい政治思想や、能力主義をいっさい斥けて、血筋と年功序列による、硬直した体制をつくりあげた。

 幕府は泰平を維持するために、何よりも戦乱を恐れた。武士は幕府が統治思想とした儒教漬けにされたが、孫子の心髄である「兵者詭道也(へいはきどうなり)」(敵を騙すこと)を学ばせなかった。幕府は儒教の王道を重んじて、詭計を許さなかった。兵法(ひょうほう)が軽視されて、戦略思考が否定された。

 武士道は死ぬことに価値を置いた

 武士道は戦うことが目的でなくなり、勝つことではなく、「死ぬ」ことに価値が与えられ、精神修養の哲学に退化した。

 江戸時代に庶民を涌かせた『忠臣蔵』は、吉良邸に突入する前に、馬鹿ばかしいことに、正門前で大石内蔵助が山鹿(やまが)流の陣太鼓を高らかに打ち鳴らすのが、見世場となっている。47士は奇襲したのではなかったのか。だが、奇襲したとなると、王道に反した。

 明治維新は徳川体制を根底からつくり直したから、才気ある人々が登場して国を導いた。ところが、日清、日露戦争に勝つと、自信過剰の自家中毒を患って、国の仕組みが江戸時代へ戻ってしまった。

 日本は先の対米戦争でボロ負けした。陸海軍から官界までが、年功序列によった。帝国の興亡がかった真珠湾攻撃、ミッドウェー作戦の司令官は南雲忠一中将で、砲術の権威だったが、航空戦についてまったく無知だった。

 戦後、高度経済成長によって世界第2位の経済大国となると、日露戦争の後に似た。

 いつの間にか、日本国憲法が権現様――家康公の祖法になってしまったと思う。


  憲法を改められないのは江戸時代の呪いか
    Date : 2019/07/31 (Wed)
 6月はじめに、日本を代表する刀匠の後援会が千葉市で催された。

 松田次泰刀匠は千葉県が誇る刀工だが、鎌倉時代の古刀の作刀によって知られ、日本刀文化の継承に努めてきた。

 役員や来賓が、かわるがわる挨拶した。

 私の番になったので、「令和の御代が明けてはじめての総会ですが、『令』は『令日』『令夫人』などの『よい』を意味し、『和』は日本文化を支える、何よりももっとも基本となってきました」と前置きして、次のように述べた。

 日本の文化の源は「和」

 「日本刀、武道、女性がたの和装、茶道、華道などの日本文化は、すべてが和をもたらす基(もと)となる自制心のうえに、成り立っています。日本刀は武器であるよりも、優れた美術品であり、持ち主の邪気を祓い、心を研ぎ澄ませ、節度を持って振る舞うように求めます」

 「世界の諸国のなかで、このような清さと美しさを追求した刀剣は、他に存在しません。『清く正しく美しく』といえば、宝塚歌劇団のモットーですが、まさに日本刀をはじめとする、日本文化に当て嵌まります」

 日本刀は付属する品々とともに、国宝のなかで件数がもっとも多いが、武器として使われることが、ほとんどなかったからだ。日本刀がもっとも多く用いられたのは、幕末の京都だったろう。

 アメリカのトランプ大統領が、この前の月の5月に訪日した。

 これまでアメリカから多くの大統領を迎えたが、トランプ大統領の訪日は日米の絆がかつてないほどまでに、強いものとなったことを示した。

 アメリカはイギリスと他にない結びつきである「スペシャル・リレイションズ」によって、固く繋がれているといわれる。日米関係も米英関係に近いものとなりつつあると、痛感させられた。

 アジア太平洋はアメリカの生命線

 アジア太平洋はインド洋も加えて、アメリカの生存にとって欠かせない地域である。

 しかし、アメリカがこの地域において信頼できる国は、どこにあるだろうか? インド、タイ、ベトナム、フィリピン、ましてや韓国ではない。アメリカにとって日本しか、寄り掛かれる国はない。

 トランプ大統領と安倍首相は、5月27日に横須賀港を訪れて、海上自衛隊のヘリコプター搭載大型護衛艦『かが』に乗艦して、日米の絆を称えた。

 日本にとってこの日は、栄えある『海軍記念日』だった。明治38(1905)年に、日本海海戦によってロシア艦隊を撃滅した日だった。

 『かが』はF35B最新鋭ステルス戦闘機の母艦として、本格的な空母に改装されることになっているが、真珠湾攻撃に参加した空母の1隻である、栄光の軍艦『加賀』の艦名を継承している。

 栄光の艦『加賀』と『ワスプ』

 トランプ大統領は『かが』から退艦すると、安倍首相に見送られて、米海兵隊のヘリコプターに乗って、港内に停泊する米大型揚陸艦『ワスプ』へ移った。

『ワスプ』は昭和17(1942)年9月に、わが伊19号潜水艦がガダルカナル戦中に、南太平洋で撃沈して凱歌をあげた米空母『ワスプ』の艦名を、受け継いでいる。

 日米戦争から74年もの歳月が流れて、日米が和解したのだ。このような日米関係が常(とわ)に続いてゆくことを願いたい。

 だが、アメリカとイギリスの特殊な関係(スペシャル・リレイションズ)は、アメリカの歴史が17世紀初頭に、イギリスから『メイフラワー』号に乗って迫害から逃れた清教徒が、北アメリカ大陸に上陸した国産みから始まり、英語を分かち合っているのに対して、日米同盟は両国の一時的な便宜の産物でしかない。

 来年のアメリカ大統領選の行方は

 私はトランプ大統領がこのままゆけば、来年再選されると信じているが、対中融和政策を説くバイデン前副大統領をはじめ、次期大統領選へ向けて20数人が競っており、多くの候補が富裕税の導入、所得格差の解消、国民健康皆保険、国防費の大幅削減など、アメリカを北欧型の高度福祉国家に変えようなどと主張している。このなかの1人がホワイトハウスの金的を射止めれば、秤(はかり)が日本を軽視するほうへ傾くことになろう。

 中国が太平洋の覇権を握ろうとして、異常な軍拡を強行しているかたわら、北朝鮮が核兵器を手離すことはありえない。日本は薄氷のうえを歩んでいる。

 御代が替わったが、私は平成の30年間を、日本の周辺が風雲急を告げているというのに、何よりもアメリカの占領下で強要された欠陥憲法を改められなかったことによって、記憶しよう。

 最高法規であるべき憲法の前文の日本語の文法が、誤まっている。どうして、国語審議会が目を瞑(つむ)ってきたのか。

 現行憲法は「平和憲法」として罷り通っているが、占領軍が当時「アメリカの平和」のために強いたもので、日本政府に「これを呑まないと、天皇の一身の安全を保障できない」といって、英文の原案を手渡してから1年3ヶ月後に公布された。

 帝国憲法を全面的に書き改めたものだから、もし日本国民の手で改正したのだったら、まさか1年あまりで公布できなかったろう。

 日本国民は賢明であるのに、講和条約によって日本が独立を回復してから67年の歳月(さいげつ)を重ねたというのに、日本が独立国であることを頭から否定して、憲法ととうてい呼べない憲法を、いったいどうして、長いあいだ崇めてきたのか。

 占領軍が日本国民を洗脳して、東京裁判史観を植えつけたからだと説明されるが、日本国民はそれほど愚かなのだろうか。

 江戸時代の呪縛が続いている

 平成3年は、江戸開府400年に当たった。日光東照宮が記念事業として「江戸研究学会」を立ちあげたが、私は世界のなかで江戸時代は庶民がもっとも恵まれていたと書いたり、講演してきたので、求められて会長を引き受けた。

 江戸時代は平和がずっと続いて、庶民が豊かな生活を営み、絢爛たる文化を創り出した。

 だが、300年近く続いた平和は、明治以後の日本にとって呪いともなった。

 江戸時代の日本は、徳川家による支配を永続させることを目的としたから、新しい政治思想や、能力主義をいっさい斥けて、血筋と年功序列による、硬直した体制をつくりあげた。

 幕府は泰平を維持するために、何よりも戦乱を恐れた。武士は幕府が統治思想とした儒教漬けにされたが、孫子の心髄である「兵者詭道也(へいはきどうなり)」(敵を騙すこと)を学ばせなかった。幕府は儒教の王道を重んじて、詭計を許さなかった。兵法(ひょうほう)が軽視されて、戦略思考が否定された。

 武士道は死ぬことに価値を置いた

 武士道は戦うことが目的でなくなり、勝つことではなく、「死ぬ」ことに価値が与えられ、精神修養の哲学に退化した。

 江戸時代に庶民を涌かせた『忠臣蔵』は、吉良邸に突入する前に、馬鹿ばかしいことに、正門前で大石内蔵助が山鹿(やまが)流の陣太鼓を高らかに打ち鳴らすのが、見世場となっている。47士は奇襲したのではなかったのか。だが、奇襲したとなると、王道に反した。

 明治維新は徳川体制を根底からつくり直したから、才気ある人々が登場して国を導いた。ところが、日清、日露戦争に勝つと、自信過剰の自家中毒を患って、国の仕組みが江戸時代へ戻ってしまった。

 日本は先の対米戦争でボロ負けした。陸海軍から官界までが、年功序列によった。帝国の興亡がかった真珠湾攻撃、ミッドウェー作戦の司令官は南雲忠一中将で、砲術の権威だったが、航空戦についてまったく無知だった。

 戦後、高度経済成長によって世界第2位の経済大国となると、日露戦争の後に似た。

 いつの間にか、日本国憲法が権現様――家康公の祖法になってしまったと思う。


  権現様はまだ生きていらっしゃるの?
    Date : 2019/07/19 (Fri)
 令和の御代が明けた。

 平成の最後の統一地方選挙中に広島に応援に行った帰りの航空便で、スチュワーデスに読むものを頼んだら、『週刊朝日』をくれた。

 すると、新しい元号の『令和』は、命令、指令、令状の令であって、“安倍一強”の傲りを示していると腐(くさ)していた。

 私は令和から、令日、令人、令節とか、美徳や、善行を意味する令徳、ほまれの令聞、よい評判の令望などを連想していたので、きっと版元の新聞社の雑誌担当者の令夫人が、夫を四六時中、小突き回すので、令の字に恨みがあるのだろうと思って、身につまされた。

 結婚は1国2制度だから、難しい。イギリスの大詩人のバイロンが、長編風刺詩『ドン・ジュアン』のなかで、「人生という芝居の第1幕は恋愛という喜劇、第2幕は結婚という悲劇」と指摘しているが、きっと人生は悲喜劇なのだろう。だから人生は面白い。

 機窓の外には、どこまでも青い空がひろがっていた。

 私は鳥を飼ったことがないが、小鳥は美しくみえる黄金の籠のなかに住みたいと願い、籠のなかに閉じ込められてしまった鳥は、大空をまた自由に飛びまわりたいと、絶望に駆られるにちがいない。

 フランスの諺に、「結婚の鎖は重い」というものがある。「だから3人で運ばなければならない」と続いている。女房に秘密で恋人をもたねばならないという、勧めだ。

 平成が終わった。私は平成の30年間を、日本の周辺が風雲急を告げているのに、アメリカによって押し付けられた欠陥憲法を、1行すら改められなかったことによって、記憶しよう。

 最高法規であるべき憲法の前文は、日本語として文法が目茶苦茶だ。どうして国語審議会が目を瞑(つむ)ってきたのか。

 この不真面目(ちゃらんぽらん)な憲法を真面目(きまじめ)に解釈する法律学者たちが、「専守防衛」とか、「必要最小限度の防衛力」とか、泥酔して錯乱したとしか思えないが、意味不明に解釈して国民の目を覆っている。

 戦後の日本の金科玉条となっている「専守防衛」という言葉は、意味がまったくないので、英語や、ヨーロッパ諸語に訳することができない。

 そこで諸外国民を理解させるためには、来年、野球が東京オリンピックの種目入りしたのを好機として、日本の選手がバッターボックスに立つ時には、バットを持たせないことにしよう。「専守」だから、日本チームに攻撃となる打球を禁じる。

 きっと、全世界が日本国憲法の崇高な精神に打たれて、感動しよう。

 妻か夫が重い病いにかかったら、病院に「必要最小限度」の医療を施すように、頼もう。だが、いったい「必要最小限度」の医療なぞ、あるものだろうか? それなら「必要最小限度」の国防も、あるはずがない。

 妻か愛人に「これからは、必要最小限度の愛情を濯ごう」といったら、「あほ! ふざけるな!」と一喝されて、たちまち張り飛ばされてしまおう。

 こんなことを、毎日のように口角沫(あわ)を飛ばして議論している国会は、精神科重症患者病棟という看板を掛けるべきだ。

 日本国憲法の精神は、互いに「公正と信義」に委ねるべき夫婦のあいだか、愛人関係のなかに留めたい。

 現行憲法は「平和憲法」の愛称によって罷り通っているが、「アメリカの平和」のために強要したもので、占領軍総司令部が日本政府に「これを呑まないと、天皇の一身の安全を保障できない」といって、英文の原案を手渡してから、1年3ヶ月後に公布された。

 大日本帝国憲法を全面的に書き改めたものだから、もし日本国民の手で改正したのだったら、まさか、1年3ヶ月で公布できなかったろう。

 アメリカ軍の施政下で現行憲法が施行されてから、今年で72年の歳月(さいげつ)が流れている。

 いったい、どうして日本が独立国であることを頭から否定している、憲法ととうてい呼べない憲法を、こんなに長いあいだ崇めてきたのだろうか。

 占領軍が日本国民を洗脳して、東京裁判史観を植えつけたからだと説明されるが、日本国民はそんなに愚かなのだろうか。

 平成3年は、江戸開府400年に当たった。

 日光東照宮が「江戸研究学会」を記念事業として立ちあげたが、私は江戸時代は庶民が世界のなかでもっとも恵まれていた時代だったと書いたり、講演してきたので、求められて会長を引き受けた。

 江戸時代は平和がずっと続いて、庶民が豊かな生活を営み、絢爛たる文化を創り出した。

 だが、300年近く続いた平和は、明治以後の日本にとって呪いともなった。

 徳川時代の日本は徳川家による支配を持続することが目的だったために、新しい政治思想や、能力主義をいっさい斥けて、血筋と年功序列による硬直した体制を墨守した。明治維新は徳川体制を根底からつくり直したから、才気ある人々が国を導いたが、日清、日露戦争に勝つと、過剰な自信の自家中毒を患うようになって、江戸時代へ戻ってしまった。

 先の対米戦争で、日本はボロ負けした。政界から陸海軍まで、年功序列によった。帝国の興亡がかった真珠湾攻撃、ミッドウェー作戦の司令官は南雲中将で、砲術の権威だったが、航空戦について無知だった。

 江戸時代の武士は儒教漬けにされたのに、孫子の心髄の「兵は詭道也」(敵を騙すこと)は、学ばなかった。武士道は精神修養の哲学に退化してしまい、勝つことではなく、「死ぬ」ことに価値が与えられた。

 高度経済成長による経済大国化は、日露戦争の勝利に似ていた。日本国憲法がいつの間にか、権現様の祖法になってしまった。


  天啓のアフリカ
    Date : 2019/07/11 (Thu)
 私は仕事で、国内、国外を頻繁に旅行する。海外が200回を数えよう。

 草鞋を脱ぐ暇がない。懐かしい思い出がいっぱいに詰まった、宝石箱のようだ。

 私はアフリカを訪れるのを夢見ていた。80年代に希少金属の国家備蓄計画を提言したところ、通産省から希少金属が集中して産出するアフリカ南部へお使いすることになった。

 ジンバブエで大臣に接待された。ワインで喉を潤しながら、「わが国にお出下さる貴国の方々のパスポートに生年が記されていますが、戸籍制度がないのにどうしてお分かりになりますか」と質問した。すると、「自分で申告します。自分でそう思っている歳のほうが、正しいでしよう?」と切り返された。

 天啓だった。私がいまでも若いと思っているのは、そのためだ。

 ナミビアでも閣僚が歓待してくれた。父親は族長で妻が12人いるが、自分は妻が1人だと語った。「私も妻が1人ですが、苦労しています」と苦笑したら、「12人もいれば妻たちが自治会をつくっているので、問題ありません。それより1人が大変です。人間関係は1対1が、いちばん難しいでしよう?」とたしなめられたのを、忘れられない。


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