加瀬英明のコラム
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  世界を席巻する“トランプ現象”の猛威
    Date : 2018/09/10 (Mon)
 トランプ政権があと数ヶ月で、2年になる。

 トランプ大統領のもとで世界のありかたが、劇的に変わろうとしている。というよりも、世界の仕組みが大きく変わりつつあったから、トランプ大統領が2年前の11月に登場したというのが、正しいと思う。

 トランプ候補が、大手のマスコミによって本命だとされた、ヒラリー・クリントン候補を破って、ホワイトハウス入りを遂げてからも、トランプ大統領が「暴言」を乱発し、衝動的、気紛れであって、大統領として不適格だという非難を、浴びせ続けている。

 だが、このような“トランプ現象”は、アメリカに限られているのだろうか?

 トランプ候補は「アメリカ・ファースト」を約束して当選したが、アメリカが未来永劫にわたって、世界の覇権を握り続けるという、神話を覆すものだった。「メイク・アメリカ・グレイト・アゲイン」という呼び掛けは、アメリカの国益を世界よりも、優先させようというものだった。

 トランプ政権が誕生する前に、イギリスが国民投票を行って、EU(ヨーロッパ共同体)から脱退することを、決定していた。

 このところ、EUは箍(たが)が緩んで、蹌踉(よろ)めいている。EUはヨーロッパを一つに統合しようと、目論んだものだったが、ヨーロッパでは、ハンガリー、ポーランド、スイス、オーストリア、イタリア、ラトビア、ノルウェー、ブルガリア、ギリシアで、自国の利益を優先する“右翼政党”が、次々と政権を担うか、連立政権に加わるようになっている。

 アメリカや、ヨーロッパの大手メディアは、このような動きを「ポピュリズム」と呼んで蔑み、これらの政党を「右翼政党」ときめつけて、貶(おとし)めている。

 「ポピュリズム」は、エリートと既成政党が支配していた“良識的”で、“真っ当”な体制に対して、大衆を煽動して、誤った方向へ向かわせることを、指している。

 トランプ政権の登場も、イギリスのEU脱退も、ポピュリズムによるものとされている。

 ヨーロッパでナショナリズムが復活しているのは、イスラム難民が大量に流入したためだというが、それだけではない。

 アメリカが、よい例だ。アメリカの勘定高い大企業の経営者は、“グローバリズム”と自由貿易体制を礼讃してきたが、製造部門などを中国などの低賃金の諸国へ移して、自国の労働者の職場を奪ってきた。

 トランプ候補はアウトサイダーとして、“良識ある”体制に果敢に挑戦した。

 アメリカでは“弱者”を尊重するあまり、オバマ政権下では、LGBT(レズビアン、ゲイ、両性愛者、性転換者)に、「自分が信じる性に従って、男女どちらのトイレを使ってもよい」という大統領令――法律を発した。

 日本でも同様なことがみられるが、“良識ある”体制が押しつけてきた、いっさいの“差別語”を追放しようとする、行き過ぎた“言葉狩り”が暴走して、先祖伝来の生活環境を破壊するようになっている。

 大手マスコミや学者が、「ポピュリズム」と呼んで貶めているが、“グローバリズム”を信奉する富裕層やエリートに対して、大衆が伝統的な、落ち着いた生活を守ろうとして立ち上がったと、考えるべきである。これは、大都市対地方の戦いだ、といってよかろう。

 大手マスコミや、著名研究所(シンクタンク)、有名大学は、巨大企業によって養われてきたために、ナショナリズムを嫌って、“グローバリズム”を支持している。

 だが、“グローバリズム”を支えてきた国際秩序は、アメリカが自由貿易体制を通じて、巨額な貿易赤字を負担して世界を潤(うるお)し、ヨーロッパや、アジアの同盟諸国の防衛の重荷を担ってきたことによって、成り立ってきた。

 トランプ現象や、ヨーロッパ諸国のナショナリズムを「ポピュリズム」と呼んで、敵視すれば、すむことではあるまい。


  抑圧と分断に翻弄された民族の愛国心と反日感情
    Date : 2018/09/03 (Mon)
 ロシアで行われたワールド・サッカー世界大会で、韓国代表チームが敗れて、5月にインチョン(仁川)空港に帰国したところを、出迎えたファンが罵声を浴びせて、卵を投げつけた。

 韓国チームは2敗したあとで、前回の世界大会の覇者だったドイツに勝ったから、誉められるべきだったと思うが、韓国社会は結果だけを重んじるから、日本のように努力したことを評価しない。

 日本では食物は大切で、神聖なものであるから、人に食物を投げつけることは、絶対にしない。韓国と日本は隣国だというのに、人々の価値観がまったく異なっていることに、驚かされる。

 だが、韓国も、日本も長いあいだにわたって貧しい国で、しばしば飢饉にも見舞われたから、食べ物は尊いものだったはずだ。

 それなのに、韓国では人を罵って、卵をぶつけることが珍しくない。

 卵は貧しかった時代には、韓国でも、日本でも貴重な滋養源だった。日本では幼い時から、親から食物を粗末にしたら罰(ばち)が当たるといって、厳しく躾けられた。

 私の親しい韓国のO教授が日韓の違いを説明して、「韓国人はみんな見栄を張るからです。卵も貴重なものであったから、自分は卵を投げることができるほど、豊かだということを、見せるためですよ」と、教えてくれた。

 韓国語では、「ホーセプリダ」(虚勢(ホーセ)を張る)とか、「ホーヨンプリダ」(虚栄(ホーヨン)を飾る)という。誰もが空ら威張りする天性が、あるのだ。

 ちなみに、韓国の1人当りのGDP(国内総生産)は、日本の3分の2にみたないのに、韓国では卵1ケがほぼ200ウオン(日本円で30円)であるのに対して、日本では20円あまりだ。韓国のほうが金利も物価も高いが、昔から社会が安定しなかったために、貯蓄する習慣がなく、全員が借金癖に取りつかれているためだ。

 日本では誰もが、謙虚であることを求められる。自己を抑えて、互に譲り合わなければならないが、韓国では自己主張が強く、人を押しのけながら力のある者に、諂(へつ)らわなければ、生き残ることができない。韓国人誰もがそろって認めるように、住みづらい社会なのだ。弱い者は惨めな落伍者になってしまう。

 嘘をつくのも、自己防衛のために必要だから、そうするうちに嘘が真実になってしまう。

 嘘はしばしば、家族や、一族、自分が属している党派を守るために、必要な手段となる。先の大戦中の慰安婦(ウイアンプ)が、職業的な売春婦だったのが事実であるのに、日本によって拉致された性奴隷(ソンノーイエ)だったという嘘を、事実としてつくりかえて、国内外に慰安婦像を次々と建てているのは、その典型的な例である。

 過酷な歴史ゆえの自分本位

 韓国では嘘と真実のあいだに、境がない。

 慰安婦(いあんふ)は日本語だが、戦後独立した韓国の国軍は、旧日本軍の将校経験者が中心となったので、日本軍の多くの制度に倣った、慰安婦を「ウイアンプ」と、朝鮮語読みにして引き継いたために、韓国軍に慰安婦が存在した。

 駐留米軍にも、慰安婦(ウイアンプ)を提供していた。(もっとも「性奴隷」は、日本の偏向左翼の造語で、「セックス・スレイブ」として、世界を風靡している。)

 今年から韓国では、政府が8月14日を『ウィアンプ・ギリムウィ・ナル』(慰安婦を称える日)として制定したが、世界史で売春婦(メチュンプ)を賛美する唯一つの国となった。じつに、個性的な民族だとしかいえない。

 8月が巡ってくると、日本ではテレビが定番のように、先の大戦と、広島、長崎への原爆投下を回想する番組で埋まるが、韓国では日本軍によって虐待された慰安婦を取りあげた番組が、放映される。今年も、文在寅(ムンジェイン)大統領と金正淑(キムジョンスク)大統領夫人が、高齢の慰安婦を見舞った。

 韓国人には、愛国心がない。日本は1億2000万人が同質だと思い込んでいる、世界できわめて珍しい国民だ。ところが、韓国人は家族の結束と家族愛が、日本よりはるかに強いものの、国民として一体感が欠けている。

 韓国人は富裕層から極貧層まで自分本位だから、韓国を捨てて、自由で豊かな海外に移住することが、全員の夢(クム)となっている。もっとも、李朝のもとで500年にわたった朝鮮王朝(1392年〜1910年)が、あまりにも苛酷な時代だったから、自分本位にならざるをえなかった。

 分断国家と反日感情

 日本神話が一つしかないのと較べて、韓国には朝鮮北部の檀君(タンクン)神話をはじめ、高句麗(コクリヨ)、百済(ペクチュ)、新羅(シルラ)、伽那(カヤ)それぞれにその国がどのようにして産まれたのか、異った始祖神話が存在する。

 檀君神話は、天帝桓因(ファニン)の子の桓雄(ファヌン)が地上に天降って、雌熊(クンニヨ)と結婚して生まれた檀君が、檀君朝鮮として知られる古朝鮮を建国して、王となったというものだ。ところが、高句麗、百済、新羅と伽那の神話は、それぞれ物語が大きく違っているものの、すべて卵から生まれたという、卵生神話である。

 天帝の子の恒因が天上から天降ったというのは、日本神話に似ているが、なぜか、卵から生まれたという4つの国の神話は、日本神話と共通するところが、まったくない。

 韓国は古い歴史があるといって誇るが、しばしば王朝が交替したから、そのつど歴史が断絶されてしまった。

 中国の歴史も、習近平国家主席が「偉大な5000年の中華文明」を自慢しても、王朝が頻繁に代わるたびに、歴史が大きく書き改められたから、ズタズタの歴史であって、韓国の歴史に一貫性がないのと、同じことだ。

 韓国では、新しい王朝が支配者となるたびに、かならずその前の王朝の業績を、頭から否定した。高麗朝(コリヨジョ)の将軍だった李成桂(イソンゲ)が、1388年に反乱して高麗朝を倒し、朝鮮王朝(チョソンワンジョ)として知られる李朝を樹てると、高麗朝の国教だった仏教(プルギヨ)を禁じて、儒教(ユギョ)を国教とした。

 李朝のもとで、仏寺はみな山の奥深く逃げ込み、僧侶は強制労働に服する奴婢(ヌビ)の身分に落された。今日、韓国の骨董屋にゆくと、五体満足な仏像が、一つもない。日韓併合後、日本が仏教を復活させることによって、仏寺が平地に戻ることができた。

 アメリカの占領下で、1948年に韓国が独立を回復すると、その前の日韓併合時代が完全に否定されるようになったが、国家をあげての「反日(パンイル)」は、何のことない、韓国の歴史で繰り返されてきただけのことだ。

 それに韓国は、李朝が終わるまで国民を苛め抜いて、支配階級が富を収奪する、苛斂誅求(ガリヨムジュグ)の酷(むご)い歴史しかないので、誇れることがないために、「反日」が愛国心の源(みなもと)となった。

 産経新聞のソウル駐在客員論説委員として、韓国における生活が長く、私と同じ親韓派の黒田勝弘氏が、韓国の「反日」について、「韓国民の反日感情というのは、日本による朝鮮半島支配が終わった後、日本においては戦後、彼らにおいては、いわゆる解放後に形成されたものである」(『それでも私はあきらめない』あとがき、黒田福美著、WAC株式会社)と、断じている。

 日本の朝日新聞社をはじめとする、偏向左翼による自虐的な「反日」も、敗戦後に形成されたものだから、韓国を笑うことができない。

 私が長年にわたって、親しくしている韓国のS元新聞論説委員は、「いまの韓国の“反日”は、日本が戦争に負けたのがいけないのですよ」といって、嘆いてくれる。

 私は日韓基本条約によって、日韓国交平常化が行われた前年の1964年に、時事通信社特派員の肩書を貰って、韓国に短期滞在したが、ポージャンマチャ(屋台)を訪れても、深夜、ソウルへ戻るバスに乗っても、日本人だとわかると、人々から握手攻めになった。

 屋台では人々が懐しがって、つぎつぎとマッコリ(どぶろく)を奢(おご)ってくれ、満員のバスでは、全員が日本の歌を合唱してくれた。

 私は27歳だったが、当時の韓国の代表的な企業の経営者が、若い私を上座にすわらせて、妓生(キーセン)を侍らせた宴席を設けてくれた。

 日韓併合時代が遠ざかって、日本時代を体験した人々が減るにしたがって、「反日」が暴走して、喜劇的なものとなっている。

 事大主義を生んだ儒教の受容

 韓国では前政権の大統領が、かならずといってよいほど逮捕され、投獄されるが、前政権を否定することが、慣(なら)わしとなっている。前政権の幹部が記念植樹した木があれば、引き抜いてしまうことが、珍しくない。

 韓国民の思考様式を解明する、もう一つの鍵は、「サデチュイ」である。漢字で「事大主義」と書く。日本では「事大(じだい)」という言葉が使われることがないから、馴染(なじ)みがないが、漢和辞典で「事」をひくと、「仕える」という意味がでてくる。「事大(サデ)」は、力の強い者に仕えることだ。

 韓国は歴史を通じて、中国からしばしば侵略を蒙ったために、中国に臣従して、中国の属国となった。

 韓国の歴代の国王は、中国によって册封(任命)される地方長官のようなものだったから、皇帝のみに許される「陛下(ペーハ)」とい敬稱を用いることができず、「国王(ククウォン)殿下(チョンハ)」と呼ばれた。

 歴代の韓国の王朝は、ひたすら中国に仕えることによって、生き伸びてきた。中国に追従(ついしよう)して、諂(へつら)うあまり、自立心も何も捨てて、儒教から科挙制度まで、すべて中国を真似して、中国の「大中華(デチュンファ)」に対して「小中華(ソチュンファ)」と稱して、悦に浸るようになった。

 ヨーロッパに、「ロシアの隣国となるほど、不幸なことはない」という諺(ことわざ)があるが、中国の隣国となるほど、不運なことはない。

 今でも韓国では「大国(デグク)」といったら、中国一国だけを指す言葉となっている。アメリカも、ロシアも、「大国」とはいわない。

 それでいながら、韓国人は中国に対して屈折した感情をいだいており、中国人が不潔だといって、昔から「テンノム」(垢野郎)といって、軽蔑してきた。今日でも「テンノム」といったら、中国人の蔑稱となっている。

 もう一つの韓国人の思考様式を解く鍵は、韓国人全員が英語でいうが、「ウインナー・テイクス・オール」(勝った者が、すべてを一人占めにする)のだ。日本のような“和の社会”ではなく、常時、熾烈な競争を強いられている社会なのだ。

 そこで、子どもを学校に送り出す時には、日本であれば「みんなと仲良くしなさい」というが、韓国では「チヂマ!」(負けるな)、「イルテンイ・テウォラ!」(一番になれ)「イルテンヘラ!」(同)といって励ますというより、脅(おど)かす。

 このために、韓国では少数の財閥(チェボル)と呼ばれる大企業が、経済の3分の2以上を独占して、中小企業が育つことがない。

 韓国の悲劇は、韓国社会が小型の中国となってしまったことだ。

 中国人も苛酷な歴史のなかで生きてきたから、不正を不正と思わない。自己本位で、自分を守るために、いくらでも嘘をつく。畏友の宮崎正弘氏が、「中国人は息を吐くたびに、嘘をつく」と述べているが、嘘が呼吸と同じ生きる術となっている。

 中国の儒教は支配階級が、美辞を並べて人民を支配するためのハウツウの統治思想であるが、日本に伝わると、精神修養哲学につくりかえられて、今日に至っている。ところが、韓国では中国の儒教をそのまま取り入れたために、中国産の猛毒によって冒された。

 『論語』には、孔子の言葉として、「身内の不祥事を、外に洩してはならない」という、日本人なら目を剥(む)く教えがある。

 日本は“和の社会”であるから、心は相手が誰であれ、配るものとされているが、中国、韓国では、家族と一族のあいだに限られる。そのかわりに言葉が、主役の座についている。

 韓国では朝鮮王朝を通じて、儒教の朱子学の取るに足りない、些細な解釈をめぐって、国王を取り巻く両班(ヤンバン)たちが党派を組んで、凄惨な生命の遣(や)り取りを、繰り返した。

 言葉はもっぱら自己主張と、弁解に使われるために、日本では古代から言葉を多用して、「言挙(ことあ)げ」することを戒しめてきた。日本の歴史を通じて信仰されている神道では、言葉に「言霊(ことだま)」という霊力が籠っていると信じられたので、よい言葉だけを発することを求めてきた。

 言葉と現実は、2つの異っているものである。日本人は、言葉のうえに成り立っている論理が万能な、中国、韓国と違って、言葉を乱用することを嫌って、感性による美と心を尺度としてきた。

 そこで、中国と韓国では、贋物の論理をつくっては、振りまわす。心は分かち合えるが、論理は対立を招く。日本社会の“和”は、理屈を嫌っているうえに、成り立っている。

 これからの日韓関係と日本人の行方

 日韓関係は、どうあるべきなのだろうか?

 いま、日本では「嫌韓」という言葉が、流行っている。韓国の理不尽な行いに対して、日本国民が憤っているのは、よく理解することができる。

 韓国は事大主義(サデチュイ)の国だから、強い者に媚び、自分よりも弱い者に対して、居丈高に振舞う。 
 
 ところが、日本が韓国に対して毅然たる態度をとるべきところを、河野洋平官房長官(当時)が、日本人らしい善意からだろうが、慰安婦について謝罪したり、韓国に対して卑屈な姿勢をしばしばとってきたために、侮(あなど)りを招くことになった。これは、日本の責任だ。

 私は「嫌韓」というよりは、読者に韓国を哀れむ、「憐韓(れんかん)論」を勧めたい。“悪の文明”である中国に臣従することを強いられたうえに、中国を模倣した苛斂誅求(かれんちゅうきゅう)の政治が行われたために、韓国の国民性が大きく歪められてしまった。気の毒な国民なのだ。

 韓国人にはよいところが、多くある。私たちは韓国を善導することに、努めるべきである。韓国政府があれだけ反日教育を行っているのに、日本を訪れる韓国観光客にレピーターが多いのは、本音では日本を好きなのだ。

 韓国のテレビでは、いまでも日本のドラマを、日本語で放映することが禁じられ、日本の演歌を日本語で流すことができない。韓国民が日本を好きになってしまうからである。

 だが、いったい私たちに「憐韓」だ、「嫌韓」だといって、韓国を見下ろして、嘲笑する資格があるだろうか。

 あと8ヶ月あまりで元号が改まって、戦後3回目の御代になるというのに、私たちはいまだに自立する精神を、まったく欠いている。

 北朝鮮からのミサイル攻撃だけではなく、中国が尖閣諸島、沖縄を奪いにきても、アメリカに縋るほかないでいる。事大主義ではないか。 


  日本を守るD 憲法改正で9条に自衛隊保有を明記せよ
    Date : 2018/08/23 (Thu)
 8月に防衛省が28年ぶりに、自衛官の採用年齢の上限を、今年10月から6歳引き上げて、32歳にすることを発表した。

 少子化によって、応募者が減少しているからだというが、いま、はじまったことではない。陸上自衛隊の定員が15万人と定められているのに、2万人が欠員となっていて、13万人しかいない。

 少子化のために、全国で定員に届かない大学が多いが、このような大学の学生の質は当然低い。自衛隊員のなかには、国際的な水準からみて、優秀な隊員が少なくないといっても、定員を満たすことができないために、全体の質と士気が低い。

 海上自衛隊も定員に満たないために、護衛艦が定員に満たない人数で、出航している。

 東日本大震災では、予備自衛官に招集をかけたが、1パーセント以下しか、招集に応じなかった。即応予備自衛官も招集に応じた者は、半分以下だった。

 そのうえ、若者が自衛隊に応募しないために、自衛隊は世界のなかで、もっとも高齢化した軍隊となっている。旧軍では陸軍の中隊長は20代だったのに、陸上自衛隊では40代末か、50歳が珍しくない。自衛隊は世界一の“おじん隊”となっている。

 予算がないので、必要な装備も不足している。北朝鮮のミサイルに対して、全国にPAC3ミサイル迎撃ミサイルが17ユニット(部隊)配備されているが、半径25キロあまりを守ることができる。

 東京には防衛省構内に1ユニットが展開していたが、米朝首脳会談の結果、北朝鮮の脅威が遠ざかったと判断して、撤収された。PAC3は飛来するミサイルに対して、2発の迎撃ミサイルを発射して、空中で破壊する。

 PAC3は1ユニット当たり、16発のミサイルを持つことが定められているものの、防衛省にあったユニットは、予算が不足しているために、8発しかなかった。1発が4億円するが、全国のユニットのなかには、2発しか持ってない部隊もある。

 これも、憲法に自衛隊の存在が書かれていないからだ。

 国民が国防意識を回復するために、大至急、憲法第9条に自衛隊を保有することを、書き加えなければならない。これは全面的な改定ではないから、「憲法改正」というより、「憲法修正」と呼ぶべきだ。

 平成があと8ヶ月あまりで終わるが、私は平成を憲法修正が果たせなかったことによって、記憶したい。


  日本を守るC トランプには緻密な頭脳と胆力あり
    Date : 2018/08/21 (Tue)
 “トランプ旋風”という、異常気象が吹き荒れて、全世界を翻弄している。

 トランプ大統領は、いっきょに、中国、イランの経済を締めあげる、勝負に出た。中国、北朝鮮、イランは秘策を練っているにちがいない。

 日本の頭上に重くのしかかる暗雲は、少しも晴れていない。

 いったい、日本にこの荒波に耐える秘策が、あるのだろうか。それとも、国民はこれまでの行きかたを改めずに、ひたすら平和を念じていさえすればよいと、信じているのだろうか。

 トランプ大統領のやり口は、この人の育ちによって、説明される。

 父親がニューヨークの成功した不動産業者だったから、青少年時代から地元のマフィア(暴力団)と交際があった。トランプ青年はハーバード大学のビズネス・スクールより格が高い、フィラデルフィアの名門校ペンシルバニア大学大学院のワートン・スクールで、MBA(経営学修士号)を取得したから、緻密な頭脳の持ち主だ。

 私はフィラデルフィア大学に、講師として招かれたことがある。

 トランプ大統領は、ただのボンボンのセレブではない。マフィアと付き合ったことから、肚にドスを呑んで、微笑を浮べておだてながら、相手を脅すことを身につけている。

 欧米のマスコミは、トランプ大統領が奇矯、衝動的で、国際秩序を破壊しているといって、足蹴にするのに熱中して、快感に浸っている。だが、中国を甘やかしてきたことが、中国を増長させ、イランに対して手を抜いていたことが、中東を危ふくしてきた。

 欧米の“ぶりっ子”の大手マスコミも、良識ぶって、ことなかれ主義なのだ。

 しかし、トランプ大統領をいくら罵ってみても、米国民のあいだで、トランプ大統領の人気は高い。トランプ大統領の世論調査の支持率が41%にあがって、米国のどの政治家よりも高いし、米国の景気は“規制マニア”だったオバマ大統領が行った規制を、次々と撤廃したために、上向く一方だ。

 11月の中間選挙は、州による候補者の人本位だから、共和党が下院で僅差で敗れるかもしれないが、いまのところ、次の大統領選挙におけるトランプ優位は、揺るぎがない。

 対する民主党は、政策を打ち出す能力がなく、トランプ大統領をけなすことだけに、血道をあげている。どこかの国のようではないか。


  『大西瀧治郎中将を偲ぶ会』御案内
    Date : 2018/08/20 (Mon)
『大西瀧治郎中将を偲ぶ会』御案内

 先の大戦の終戦から73年目の夏が巡ってきましたが、お元気でご活躍のことと存じます。

 戦後の日本の平和と繁栄は、先の大戦で祖国を守るために散華された英霊の御加護によるもので、国民として日々感謝の誠を捧げねばなりません。

 日本は矢折れ弾盡きて、大戦を終えることを強いられましたが、祖国の弥栄のために、空に海に陸に殉じた勇士たちの尊い犠牲によって、連合国に対して名誉ある条件付降伏を行うことができました。

 これは、日本がよく戦い、とくに特攻機による航空特攻、人間魚雷・回天による海上特攻作戦などが大きな戦果を収め、連合国の心肝を寒からしめたためでありました。

 至純な愛国心を発露した特攻隊による貢献は、私たちの大きな誇りとして、今後、長く語り継がれてゆかねばなりません。

 大西瀧治郎中将が、特攻作戦の生みの親であられますが、終戦の翌日の8月16日に、特攻隊員のあとを追って、介錯を頼むことなく、壮烈な自刃を遂げております。

 大西中将の霊を慰め顕彰するために、『大西中将を偲ぶ会』を、ミズリー号における降伏調印式典の翌日に当たる9月3日に、催すこととなりました。

 お忙しいなかとは存じますが、御参加いただきたく、ご案内申し上げます。                        
       
 発起人 加瀬英明、藤井厳喜、茂木弘道、岡野俊昭、片岡都美、大高未貴、葛城奈海、ケント・ギルバート、ヘンリー・ストークス
                                   記

日時  平成30年9月3日(月) 12時〜16時
場所  昇殿参拝 靖国神社参集殿 11時45分集合
    偲ぶ会  靖国会館2階 偕行の間 13時開演司会   女優・キャスター 葛城奈海(産経新聞にコラム連載)
次第  講話 外交評論家 加瀬英明(偲ぶ会実行委員会代表)、大西中将を偲ぶ動画(製作 東映)、スピーチ(登壇予定者)、特攻隊戦没者慰霊顕彰会会長 藤田幸生(元海幕長)、鶴田浩二御令嬢さやか様、中村珠緒様他、特攻隊員を演じる東映の若手俳優による歌
参加費 4000円(直会費用含む)、別途玉串料1000円
主催 大西瀧治郎中将を偲ぶ会 実行委員会
後援 二宮報徳学園(理事長 藤田裕行)/「空の神兵」顕彰会(会長 奥本康大)/二宮報徳会(会長 工藤明彦)/新しい歴史教科書をつくる会(会長 高池勝彦)/英霊の名誉を守り顕彰する会 (会長 佐藤和夫)/一般社団法人 美し国
(代表 菅家一比古)/史実を世界に発信する会(会長 加瀬英明 会長代行 茂木弘道)/ 手本は二宮金次郎の会(会長 原口美穂)/二宮尊徳を伝える大和の和の会(会長 飯本和美)/ 世界に二宮金次郎を広める会(会長 田口鉄之)


付記 日本は『ポツダム宣言』を受諾して降伏しましたが、同宣言は「われらの条件は次の如し」と述べたうえで、「日本国軍隊の無条件降伏のみ」を要求しており、今日、マスコミや、学校教科書が「無条件降伏した」と述べているのは、歴史の重大な改竄です。


  日本を守るB あえぐロウハニ体制
    Date : 2018/08/20 (Mon)
 8月に入って、イランのロウハニ大統領がホルムズ海峡を封鎖するといって、トランプ大統領を威嚇した。

 トランプ大統領は「そうしたら、イランは壊滅的な打撃を蒙る」と、応じた。

 日本は、ペルシア湾と紅海に挟まれたアラビア半島に、石油・天然ガスの80%以上を依存している。まさに、日本の生命(いのち)綱だ。日本はペルシア湾の玄関口のホルムズ海峡と、紅海の出入り口のバブ・アル・マンダブ海峡を封鎖されたら、水を抜かれた池の鯉のように、干上がってしまう。

 5月に、米国がオバマ前政権が行ったイラン核合意から脱退するという、“トランプ砲”が炸裂すると、米欧のマスコミは「トランプの暴挙」だと、いっせいに非難を浴びせた。

 トランプ政権はイラン核合意を反故(ほご)にして、イランに対する国際的な経済制裁が復活したために、イラン国内で暴動が続いて、ロウハニ体制が喘ぐようになっている。

 トランプ大統領はイスラム二大宗派の一つのシーア派の総本山のイランが、かねてからシーア派武装勢力を支援して、米国と結んでいるサウジアラビアなどのスンニー派諸国や、イスラエルを脅かしてきたために、中東を不安定化している胴元のイランを、締めあげる賭けに出た。

 イランは、サウジアラビアに隣接するイエメンの反乱勢力のフーシ派を操っている。7月末にサウジアラビアは、フーシ派が同国のタンカー3隻を攻撃したために、フーシ派への武器援助が通過するバブ・アル・マンダブ海峡を、一時、封鎖した。世界の石油の3分の1が、この海峡を通じて運ばれている。

 トランプ大統領は、レーガン大統領(在任1981年〜89年)を彷彿(ほうふつ)させる。レーガン大統領といえば、ブレジネフ書記長のソ連に大規模な軍拡競争による喧嘩を吹っかけ、ソ連は軍事費の重荷に耐えられず、経済が破綻したために、1991年に崩壊してしまった。

 中国とイランは、ともに脆い経済の足の上に立っている。トランプによって、中国とイランが調教されるだろうか。

 トランプ大統領が、7月にロシアのプチン大統領と会談して擦り寄ったために、米欧のマスコミに嘲笑されたが、中国とイランを孤立化させるのに、ロシアの協力が必要だった。

 世界が激動している。日本に備えがあるのだろうか。


  日本を守るA 非核化 成果なければ米国「海上封鎖」断行か
    Date : 2018/08/20 (Mon)
 米中間で、“関税合戦”による死闘が始まった。

 そのわきで、いま、中東が爆発しそうだ。

 米中間のデスマッチの幕があがるわきで、北朝鮮危機がどこかへ行ってしまったように、みえる。米朝はここ当分のあいだは、交渉を続けてゆくのだろうか。

 8月はじめに、シンガポールで東南アジア諸国連合(ASEAN)サミットが催された。

 北朝鮮の李容浩(リヨンホ)外相が、「米国が同時並行する措置をとらなければ、わが国だけが非核化を進めることはありえない」と演説したのにもかかわらず、ポンペイオ国務長官は北朝鮮の非核化について、「北の決意は固く楽観している」と述べて、李外相と固い握手を交わした。

 日本では、6月にシンガポールにおいて「歴史的な」米朝首脳会談が行われてから、しばらくは緊張が解けたものと判断して、北朝鮮からのミサイル攻撃に備えて、東京(防衛省構内)、島根、広島、愛媛、高知各県、北海道に展開していた、PAC3ミサイル迎撃ミサイルを撤収した。

 北朝鮮は、米国から南北平和協定、制裁の緩和など段階的な見返りを求めて、トランプ政権をじゃらしている。北はワシントンを甘くみているのだ。

 だが、トランプ政権は北朝鮮をあやしながら、北朝鮮に鉈(なた)を振るう瞬間を、待っている。

 もし、11月初頭の米国中間選挙の前までに、北が非核化へ向けて、米選挙民が納得できる成果を差し出さなければ、海軍艦艇を用いて、北朝鮮に対する海上封鎖を実施することになろう。米国民は何よりも力を好むから、喝采しよう。

 私は本紙の『日本を守る』連載(4月27日号)のなかで、米国が北朝鮮に対して海上封鎖を断行する可能性が高いと予想している。

 海上封鎖という“トランプ砲”が発せられると、日本の政府と国会が激震によって襲われよう。米海軍が日本のすぐわきにある北朝鮮に対して、海上封鎖を実施しているというのに、自衛隊が燃料食糧の供給などの後方支援に役割を限定するわけには、ゆくまい。

 中東は日本のエネルギーの80%以上を、供給している。
日本を揺るがしかねない危機が中東で進行しているのに、日本の世論は目をそらしている。


  日本を守る@ トランプ「中国は最大脅威」と認識
    Date : 2018/08/20 (Mon)
 トランプ大統領が、世界を翻弄している。

 6月12日に、シンガポールで行われた「歴史的な」米朝首脳会談で、特異な髪型をした2人が、仲よしを演じた。水と油か、鰻と梅干しのような組み合わせだったのに、トランプ大統領は「大成功だった」と、胸を張った。

 その3日後に、トランプ大統領は中国を狙い撃ちにして、500億ドル(約5兆5千億円)の中国製品に、25%の追加関税をかけることを発表した。中国は米国と貿易戦争をたたかうのは不本意だったが、面子がある。同額の米国製品に、25%の関税をかけて応じた。

 トランプ政権は中国の対応によっては、2000億ドル分の中国製品の税率を、25%に引き上げると警告していたが、8月1日にそうすると発表した。

 この“トランプ砲”に対して、習近平国家主席は真っ青だ。中国が米国から輸入している総額は1500億ドルしかなく、さらに600億ドル相当の米国製品に報復関税をかけると発表したものの、米国と対等に渡りあいたくとも、できない。習主席が「偉大な中華民族の復興」と叫んでも、これまで中国経済は米国市場から稼ぎ出す黒字によって、支えられてきた。米国に寄生してきたのだ。

 トランプ政権は、中国を米国にとって、もっとも重大な脅威としてみている。もはや北朝鮮は、米国にとって最大の脅威ではない。

 中国はかねてから南シナ海に7つの人工島を埋め立てて、「古代からの神聖な領土だ」と主張して、習主席が2015年に訪米して、オバマ大統領と共同記者会見を行った時に、7つの島を「軍事化しない」と約束したが、長距離爆撃機や、ミサイルを配備するようになった。習主席は虚言症を患っている。

 オバマ政権以来、米国は中国が主張する7つの人工島の領海に、海軍艦艇を通過させる「自由航海作戦」を実施してきたが、中国からみて“遊覧航海”のようなものでしかない。

 そのかたわら中国は大軍拡と、金にまかせてアジアからヨーロッパに至る、壮大な「一帯一路」戦略を進め、パキスタン、スリランカ、紅海の出口などに、軍事基地を確保している。もし、南シナ海を占有することを放置したら、中国が世界を呑み込みかねない。

 トランプ政権は、中国を兵糧攻めにすることを、決めている。そこで、習主席は米国に譲歩せざるをえない。いったい、ワシントンに何を朝貢するのだろうか。

 そのわきで、北朝鮮はどうなるのだろうか。


  日本にとって危険信号となるサウジの「女性の運転解禁」
    Date : 2018/08/08 (Wed)
 いったい、女性が自動車を運転するのが、そんなに大(おお)事なのだろうか?

 6月24日から、イスラム世界において女性に対する差別と、もっとも宗教戒律が厳しいサウジアラビアで、女性がはじめて自動車を運転することが認められたことが、日本でも大きく報道された。

 日本はサウジアラビアに石油・天然ガスの40%と、その小さな隣国のアラブ首長国連合の20%を加えると、60%も依存している。日本が必要としている石油・天然ガスの80%が、サウジアラビアをはじめとするペルシア湾岸から、運ばれてくる。

 日本を人体にたとえたら、血液の80%がペルシア湾岸から、供給されている。

 サウジアラビアで、女性が自動車の運転を許されるようになったのは、日本に対する危険信号が灯ったようなことだ。

 もし、サウジアラビアが安定を失って、周辺も巻き込んで大混乱に陥った場合には、日本の国民生活が根元から揺らぐことになる。

 昨年、82歳のサルマン国王が、モハメド・ビン・サルマン王子を世継ぎとして擁立すると、今年、32歳の皇太子が2030年までにサウジアラビアの脱石油経済化をはかって、近代国家につくり変える大規模な計画を、強引に進めるようになった。

 いまや、皇太子は世界の注目を浴びて、MBSの頭文字によって知られるが、これまでサウジアラビアの政治が、1万人もいるという王子(プリンス)の合意によって行われてきたのにもかかわらず、ライバルの王子たちを逮捕、厖大な財産を没収などして、独裁権を手にしている。

 私はイスラム教の研究者であって、1980年代に三井物産と、日商岩井(現・双日)の中東の顧問をつとめたが、“ビジョン2030”として知られる大計画は、成功しないと思う。サウジアラビアは1932年にイギリスが砂漠につくった、多くの氏族からなる人工国家であって、もっとも力があったサウド一族によって、国名を「サウジ(サウド家の)アラビア」と、定めてきた。

 サウジアラビアは、砂漠と、棗椰子(なつめやし)と、駱駝(らくだ)の国だが、国民は先の大戦後に外国人の手によって生産される石油が、巨富をもたらすまでは、隊商が主な収入源で、農業に携わってきたイラク、シリア、エジプトの人々の勤勉な習性を欠いており、もっとも背が高い建物といえば、遊牧民のテントだった。

 それが、これまで国民が湯水のような巨額の石油の収入によって、税金、家賃、教育費、医療費、光熱費が免除され、肉体労働は外国の出稼ぎ労働者に頼るという、まるで不労所得者のような国となっていた。政府はサウド家に対する忠誠心が薄い、多くの氏族から成り立つ国民を、潤沢な石油収入によって宥(なだ)めて、安定を保ってきた。

 MBSの近代国家化プロジェクトは、2014年から原油価格が暴落したのと、急速な人口増に加えて、世界が脱石油時代へ向かっている危機感に駆られたものである。

 MBSは海外からの投資に、期待している。そのために、サウジアラビアが女性を差別しているのに対して、批判が強い両側諸国の好意を確保するために、女性に自動車運転を許すようになった。

 だが、サウジアラビアでは、2001年にサウジアラビア国籍のイスラム過激派テロリストが、ニューヨークの世界貿易センタービルを破壊した時にも、八年前にチュニジアで“アラブの春”が始まって、民主化の高波が中東を襲った時にも、危機に迫られるたびに、女性の権利を小出しに拡大してきた。

 MBSはまだ権力基盤を固めつつあるし、“2030年プロジェクト”が失敗すれば、この国が大混乱に見舞われることになる。

 私は6月に、経済産業省の担当官と意見する機会があったが、おそらく“2030年プロジェクト”がうまくゆかず、サウジアラビアの行方が危ふいという見方で、一致した。


  スウェーデンの国防の備えに日本は学ぶべきである
    Date : 2018/08/03 (Fri)
 北ヨーロッパのスウェーデンといえば、読者諸賢の多くが「スモーガスボード」という、魚貝類が中心となったスウェーデン料理を、知っていられることだろう。さまざまな料理が並び、客が好むだけ取る、日本で「バイキング料理」の語源となっている。

 スウェーデンはフィンランドとノルウェーと国境を接しており、親日国家で、人口が1012万人、国土は日本の1.2倍ある。平和国家だ。

 今年5月21日に、スウェーデン政府は『戦争、あるいは危機において、何をすべきか』と題する小冊子を、スウェーデン国民に配布した。

 この小冊子は、「敵国による侵略を蒙った場合に、侵略者に対して、国民全員があらゆる手段を講じて抵抗する」ことを、求めている。

 政府の民間防衛局によって発行されたものだが、「もし、わが国が侵略された場合に、国民は最後まで戦い、絶対に降伏しない。抵抗をやめるようにという、情報が流れたとしても、虚偽のものであるから、いっさい信じてはならない」と、述べている。

 ヨーロッパでは、4年前にプーチン大統領のロシアが、武力によってウクライナからクリミア半島を奪取し、ウクライナ東部の内戦に介入しているために、ロシアがさらに侵攻するのではないか、緊張がたかまっている。

 スウェーデン対岸のバルト海に面する、冷戦後にソ連から独立した3つの小国のエストニア、ラトビア、リトアニアを守るために、米英独、カナダ軍部隊が進駐している。

 なぜ、スウェーデンが危機感に駆られているのだろうか?

 スウェーデンとロシアの間には、フィンランドがある。
先のスウェーデン政府の小冊子は序文で、次のように述べている。

 「わが国では長期間にわたって、戦争に対する備えが、限られたものでしかなかった。

 しかし、わが国を取り巻く世界情勢が大きく変化しつつあることから、政府はわが国の防衛体制を強化すべきことを、決定した。

 平時における防衛態勢を確固としたものとすることが、戦時において国防を強靭化することになる」

 政府は侵攻を蒙った場合に、若者、壮年の男子は銃を執って戦い、婦人、高齢者は、負傷者の看護、補給などの後方支援に当たることを、期待している。

 もっとも、スウェーデンはロシアがすぐに侵攻してくることを、予想していない。10年後を、見据えているのだ。アメリカが「アメリカ・ファースト」の掛け声のもとで、米軍をヨーロッパから引き揚げてしまう可能性に備えているのだ。

 それに対して、日本はどうだろうか?

 日本を取り巻く状況が、重大な危機を孕むようになっているというのに、憲法に自衛隊の存在を書き込むべきか、不毛な論議に、国論を二分して熱中している。

 自衛隊は「憲法解釈」による、「専守防衛」の鎖によって縛られているために、敵の基地を攻撃する能力がまったくなく、敵が本土を侵すまで、戦うことを禁じられている。

 中国が虎視眈眈(たんたん)と、尖閣諸島だけでなく沖縄全体を奪おうと狙っているのに、現行憲法の呪いによって、日本独力で守ることができない。脆い国は、侵略を招く。

 一刻も早く、憲法改正が求められる。


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